トビムシ主催の八女の町並みを巡る里山資本ツアー、続いて向かったのは馬場水車場です。二代目の馬場猛さん。こちらで杉の葉を使ったあるものを作っています。
水車小屋へ。
水車というとのんびりと回っているイメージがありましたが、こちらの水車はかなりのスピードで回る働き者。
現在の水車は5代目。だいたい20年で寿命が来るそうです。
水車は木で出来ていますがずっと水に浸かっているので腐らないそうで、流木などがぶつかって傷が出来たところから徐々に痛んでしまうという事でした。
水車へ水を引き込む水路。
大雨が来そうな時は早めに水門を閉じて水車を守るそうです。
杉の葉を乾燥させたものを搗いて粉状にしていきます。
写真では伝わりませんが、水車小屋は杉のいい香りで充ちています。
杉の葉が粉状になるとこんな感じになります。
杉の葉の粉とつなぎのタブノキの粉を混ぜてそばのように伸ばして棒状にしたものを乾燥させたものがこちらです。
お線香はもともと杉の葉が原料だったんですね。
今では国内に流通する95%ほどが海外から輸入された線香なんだそうですが、杉の葉を原料にした線香は杉の香りがするそうです。(香り自体は輸入したものの方が香料入なので強いとのこと)
原料の杉の葉です。
林業の現場で杉を伐ってもなかなか使われることが無い杉の葉ですが、昔はちゃんと使い途があったんですね。他にも材として利用できない部分も薪にして乾燥のために使うそうです。
山の産物をムダなく使い切る生活の知恵ですね。これも立派な里山資本です。
杉の葉を使った線香屋さん昭和50年代くらいまでは40軒くらいあったそうですが、今では2軒しか残っていないそうです。八女には色んな伝統産業が数件ずつ辛うじて残っていると聞きましたが、杉の葉線香づくりもその一つです。
この後はいつも杉の葉を拾いに行くという馬場さんの山へ一緒に行きました。
杉の木を指さしてこの辺りの山の特徴的なものがあるという馬場さん。
よく見ると杉の木の上の方が股割れしています。
これは20年くらい前にムササビが大発生して木をかじったためにこうなってしまったものだそうです。当時は被害が甚大でムササビを一匹駆除する毎に1万5千円もらえたそうです。
70年生の杉の木でも市場に出すと1本2千円程度だそうです。
木は丸太のまま売るのではなく3〜4mごとに玉伐りして市場へ出されます。
ちょうと4mがあと1本取れるかどうかというところで萌芽してしまっていました。
70年生にしては細いなと思いましたが、年輪がしっかり詰まっているいい木だと話していました。
山主さんがしっかり管理していると何年生かわかるけれども、育った環境にもよって太さが変わるので山主さんが管理していない山では伐ってみるまで樹齢はわからないんだそうです。
せっかくなのでと伐採現場へ。
伐採の様子も見学させていただきました。
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