いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

手間暇かけたその土地の気候にあった家づくり 井上建築・山口製材所 〜八女の町並みを巡る里山資本ツアー(3)〜

八女の町並みを巡る里山資本ツアー、続いては井上建築さんへ。代表の井上静夫さんのお宅へお邪魔しました。まだまだ新しく見えるテッカテカの家なのに既に築13年・・・。

井上静夫さん。

井上建築の代表で日本古民家再生協会の会員でもあります。

昔ながらの家づくり(在来工法)は住んでいて気持ちがいいので土壁の家づくりにこだわりを持っていると話していました。大工さんの世界ではプレカットが主流になっていて墨つけをしなくなってきている中、在来建築の技術が途絶えないように技術継承にも取り組まれています。

家を建てる時は設計図を元に1、2、3〜、い、ろ、は〜と縦横に分けてこの柱はろの2番というようにどこの柱になるのか書いておくと誰でも建てられるんだそうです。

柱の継ぎ目もプレカットでは1種類ですが伝統工法では何種類もあってしっかり木を繋ぎ止めます。

プレカットで現場で組み立てるだけの大量生産型の家はもって35年。6〜8ヶ月の手間暇かけて丁寧に作った在来工法の家が100年持つとしたら、最初に急いで建てる意味はあるのか価値観が問われるところです。

自然乾燥させた木は表面は割れるのに対して機械乾燥させた木は内側から割れるそうです。また、家は建てる場所の気候に合った地域材を使うのが望ましく、どんな木がいいか製材所に直接話して木を購入しているそうです。木が山に立っていたように上下、東西南北を揃えて建てるのが長持ちする家の条件です。

年間1〜2軒しか建てられないので正直割に合わないともおっしゃってましたが、家は建てて終わりではなく、建ててからが長いお付き合いの始まりなのでこのスタイルを崩さず続けていくと話していました。

先日、飛騨の田中建築さんを訪問した際も思ったのですが、木がふんだんに使われた健康住宅は空気が柔らかく、なんとも言えない居心地のよさを感じます。

 

井上建築さんを後にして今度は井上さんが材木を仕入れている山口製材所さんへ向かいました。こちらはトビムシの竹本さんが解説してくれました。

山口製材所は一般的な製材所には必ずある乾燥機が無く、自然乾燥を行っています。

自然乾燥は時間はかかるものの内側が丈夫に仕上がります。機乾燥は早く乾燥させることが出来ますが木の内部は脆くなってしまいます。

モルダーという表面を滑らかに仕上げる機械はあるものの、この辺りの大工さんは自分で鉋がけするので使っていないそうです。

製材所としてはせっかくの機械がもったないようにも思いますが、大工さんの手仕事がまだ残っている地域だという事がわかりますね。

地域の木材を生かすという意味で住宅向けは本命とも言える存在です。食の世界で言えばB級グルメではなく、ちゃんとしたグルメな料理に使われることで地域の資源は高い価値を生み出します。

周りは木だらけなのに輸入材をプレカットして家を作るというのは確かに安く、早く家を建てることが出来ると思いますが、ここは奮発して時間とお金を最初にかけることで長持ちする家を建てる事が里山資本の有効活用につながるんでしょうね。

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