8月10日(水)にNPO法人いい会社をふやしましょう主催の大人の社会科見学(夏休み特別編)が開催されました。飛騨古川にあるいい会社、西野製材所、田中建築を見学した後、飛騨の森でクマは踊るが運営するFabCafe Hidaで大久保寛司さんと竹本吉輝さんのトークセッションという半日ツアーです。
行程:大人の社会科見学(夏休み特別編)in 飛騨古川 (2016年8月10日)
NPO法人いい会社をふやしましょう代表理事の江口さんからツアーの概要説明をお聞きして早速1社目の西野製材所さんへ向かいました。
西野製材所
たくさんの広葉樹を取り扱っている西野さん。昨年秋のヒダクマ秋祭りで初めてお話をお聞きしましたが、木への愛情が伝わってきます。
西野製材所 西野真徳さん
丸太はまず最初に皮を削るところから始まります。ベルト状の機械を使って皮を削り取っていきます。削られた皮は飛騨牛のベッドに。無駄がありません。
丸太を製材して板にします。
出来上がった板がこちら。どこで切るとどんな木目が出るか、そこは腕の見せ所です。
味のある木目ですよね。
アメリカから輸入した木材の中に鉄線やネジなどが混入していることがあるそうです。これらは鉄分を木が吸収するとよいと思われていた時代の名残で、事前に見つけて除去しないと製材する機械が故障してしまいます。
板にしたら今度は天然乾燥の工程へ。木は多くの水分を含んでいるので乾燥させる必要がありますが、乾燥機を使った人工乾燥をいきなり行うのではなく1年間かけて水分量を20%程度までじっくり減らしていきます。人工乾燥だと1〜2週間で乾燥できますが、急激に乾燥させないことで木の脂分がしっかり残って艶がある木材に仕上がります。
外に置いておくと雨で濡れて乾燥しないようにも思いますが、表面にある程度の水分量がないと蒸発していかないそうです。なので雨の少ない時期は散水するとか。木場で海に丸太を浮かべているのも表面を湿らせるという意味があり、海水は塩分を含んでいるので樹液との浸透圧の関係で内側までは湿らないそうです。
じっくり自然乾燥させた後は人工乾燥で水分量を10%くらいまで一旦減らし、再度外に出すことで少し水分が増えて仕上がります。水分量はこちらの機械で計測します。
在庫の一枚板も見せていただきました。家具屋さんなどからの注文に応じて出荷されます。丸太を仕入れて乾燥、製材してから出荷までは1年以上時間がかかるわけで、質を求めてあえて天然乾燥をすることで経営は大変だろうなと思います。
こんな変わった木目もあります。綺麗な木目は値段も高くなります。
生えている木の多くが広葉樹という飛騨地域ですが、西野製材所さんでは95%ほどが輸入材という事でした。広葉樹は樹齢200年〜300年という木が必要ということで国産材はそもそも市場に出てこないそうです。目の前にたくさん木があるのに品質のよいものを安定的に仕入れようとすると輸入材になってしまうという現実がありました。
飛騨の家具づくりを影で支えている西野製材所さんを見学して木の温かさ、良さを感じましたが、一方で国産材を使おうとすると森に手入れをしないことには始まらないなと改めて思いました。
Vol.2 田中建築さんへつづきます