いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

大人の社会科見学(夏休み特別編)in飛騨古川 参加レポート Vol.2 田中建築編

8月10日に開催されたNPO法人いい会社をふやしましょう主催の大人の社会科見学レポートの2回目は田中建築さんです。

行程:大人の社会科見学(夏休み特別編)in 飛騨古川 (2016年8月10日)

田中建築さんでは健康住宅にこだわりを持った家づくりをしています。弟さんが田中建築に入社するようになってこれから先、田中建築をどのような方向に持って行くか話し合っていくうちに住んでいる人が健康でいられることが一番だという事になり、「健康住宅」を理念に様々な取り組みをしています。


田中建築代表の田中一也さん

田中建築

健康住宅の施工例として田中さんの自宅を見せていただきましたが、家の中は無垢材がふんだんに使われており、入った瞬間に空気が違うことを感じました。木造住宅では強度が心配という声もありますが、構造計算をしっかり行い100年住める家を作っています。主要な柱は7寸(210mm)角の柱を使用。これは一般的な住宅メーカーが使う4寸(120mm)角の柱と比較して断面積は3倍にあたりしっかりとした耐震性能を確保します。

大きな梁はデザイン的な意味も込めてなだらかな曲線を打っています。お寺などにも見られるデザインです。本当は大きな梁は必要ないように設計しているそうですが、ここはあえて梁を見せるデザインになっています。

こちらが大黒柱。しっかりと太い柱が家を支えています。壁板や床板にも40mm厚の厚板を使うことで断熱性も確保。木はコンクリートの9倍の断熱性能を持っています。高気密と断熱はセットのように考えられますがこのように無垢材を贅沢に使うことで断熱はしっかりしながら空気は流れるのです。

床材も求める強度によって材を変えています。木は切った後も生きていて呼吸をしています。そのため、たくさんの無垢材が部屋に存在することで防湿効果が働き温かく気持ちのよい空気が部屋に漂っていました。

そしてこのテーブルです。田中建築さんで家を建てた場合、施主さんに一枚板で作ったテーブルをプレゼントしているそうです。東京で買ったらすごい値段になりそうですが、自分達で作っているのでそれ程でもないと田中さんはおっしゃいましたがでも凄いです。

家を建てるだけでなく、家具についても原木から仕入れて自分達で手作りしているのでびっくりするような値段で作ってもらえます。

無垢の床板タイル(ユカハリ)をしいた部屋が心地よいのを体感していましたが、無垢材の木をふんだんに使った部屋がこんなに気持ちのいい空気になるとは思ってもみませんでした。今はマンション住まいですが、田中建築さんの家なら一戸建てもいいなと夢は膨らみます。飛騨地区だけでなく遠くは茨城でも家を建てているそうです。

ここまで見ると大工さんとして素晴らしいと思いますが、実は圧巻はここからです。すぐ隣には自社の製材所がありました。

実は田中建築さんでは原木を市場から買い入れて自社で製材を行っています。そうする事で中間コストをカットして無垢材をふんだんに使った家でもコストを抑えています。

さらに健康住宅というこだわりを持った家づくりに必要とされる品質の高い木材を自分達で選んでいます。大黒柱になるような杉材は四国から仕入れていますが、多くは飛騨の木を使っています。

丸太から製材をするという事は西野製材所さんでもそうでしたが乾燥の工程が入るという事でつまりは仕入れから販売までの間在庫として寝かせている期間がある事を意味します。それでも「健康住宅」という理念を全うするために自分達に出来ることは一切妥協しないという姿勢が見事です。

製材所で出た端材は燃料として使うそうですが、オガコは圧縮することで固形燃料にして販売しています。国産無垢材をふんだんに使った家づくり=国産材をたくさん使う=日本も森の手入れが進むという事でもあります。

結局いい事をしようと思っていても出口がしっかりしていない事には持続性はありません。色々国産材を使おうと工夫はしていますが、やはり家づくりは木材使用量が圧倒的です。日本の家づくりは35年ローンに最適化されていますが、しっかり作ると木の家は100年以上持つものです。3世代にわたって同じ家に住むという生活慣習がなくなりつつある日本において100年もつ家を作る意味はどこにあるのかという考え方もあると思いますが、今ある資源を使ってスクラップ&ビルドを繰り返す生活も地球全体の資源を考えた時に無理が生じます。

海外だとレンガや石で家を作っているので100年もつというのは割と普通で家は中古の方がむしろ値段が上がるという事もあるようですが、日本は多湿という事もあって家は長持ちしないものという考えでいたように思います。

日本の全ての大工さんが田中建築さんと同じことをしてしまうとまた日本の山が禿げ山になってしまうのですが、そこまで極端なことにはならないでしょうし、日本の眠っている森林資源を有効活用しつつ山の手入れをしっかりするためには田中建築さんのような大工さんが日本全国に増えるといいなと思いました。

FabCafe HIDAのリノベーションを一緒にされていたという事で田中建築さんの名前は聞いていましたがこんなに素晴らしい会社だとは思ってもみませんでした。飛騨は昨年秋のヒダクマプレオープンイベント以来2度目の訪問でしたが想像以上にいいところです。

Vol.3 FabCafe Hidaへつづきます。