いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

いい会社訪問 トビムシ in 飛騨 参加レポート Vol.1 飛騨産業編

8月11日、山の日に鎌倉投信のいい会社訪問 トビムシ in 飛騨が開催されました。私は前日のNPO法人いい会社をふやしましょうの大人の社会科見学に続いての参加でした。いい会社訪問ではトビムシが飛騨市、ロフトワークと一緒に作った株式会社飛騨の森でクマは踊るへの訪問だけでなく、飛騨高山で飛騨の匠と呼ばれる技術を生かして家具づくりをしている飛騨産業とオークヴィレッジを訪問。木を生活に取り込むという観点でも見学しました。

行程:いい会社訪問 トビムシ in 飛騨 (2016年8月11日) 

いつもならバスガイドは鎌倉投信の運用責任者 新井さんが担当するところですが、この日は遅れてきたお客様を迎えるために途中からの合流となりました。変わってバスガイドを勤めたのは飛騨の森でクマは踊るの取締役 松本さん。トビムシの社員でもあります。最初に向かったのは飛騨産業さん。お盆で工房が休みのためショールームへ向かいました。

飛騨産業

飛騨産業さんは鎌倉投信の投資先ではありませんが、 トビムシと価値観を共有する会社という事で見学先となりました。私は参加出来ませんでしたが2012年のいい会社訪問 in 飛騨でも訪問先になっていました。 

飛騨産業は1920年に創業しました。縄文時代からこのあたりは下呂石のような加工しやすい石がとれたので木工に長けていた人達が住んでいたようです。1300年ほど前に律令時代に都へ労働力を提供するようになって京都や奈良で神社仏閣を作り飛騨の匠と呼ばれるようになった人達のDNAを受け継いで家具を作っています。

大正時代に木を蒸して曲げる技術は飛騨に伝わり、地場産業として興したいという事で飛騨産業が創業しました。その後、アメリカからバイヤーがやってきて椅子を作るようになりました。戦争中は高山航空工業となり、燃料タンクを作ったり飛行機を作っていましたが戦後は再び家具を作っています。

殆どがアメリカへの輸出だったので1960年くらいには外貨獲得優良企業として表彰された事もあります。その後円が自由レートになった事で輸出から国内市場への販売に転換、高度成長期の中で成長しました。

とと姉ちゃんで登場する花森安治さんは高山のことが好きで何回も足を運んで下さり、日本橋三越で飛騨高山展を開催するにあたってプロデューサを務め、家具などを三越に持って行って販売した他、暮しの手帖でも当社の家具を紹介していただきましたし、ご本人にも使っていただいていました。

元々は地元の木材を使って家具を作っていましたが高度成長期を迎える中で国産材が不足するようになり、徐々に輸入材を中心に使うようになりました。しかし、2000年に岡田社長が就任したのを機に創業の精神に立ち戻ろうと国産材を使った家具を作りに再び始めました。

日本にある木の17%が杉だと言われていて戦後に植えられてから70年が経過して伐り時を迎えています。現状、使わないままほったらかしになっていて、花粉症だったり台風がくると山が崩れたり杉が悪いように言われていますが、植えたのは人間で杉そのものに罪はありません。山を見ると緑できれいだなと思いますが、同じ種類の木がずらっと生えているのは畑と一緒なんです。自然界においてそれは異常なことであって、植えた人間が活用してかないと日本の環境は守れません。 

CO2削減の動きの中で日本はどうするかというと森林を活性化することで賄うと言っています。伐って、使って、新しい木を植えることで循環します。杉を使って家具をつくるのが一つの命題だろうと活用を進めています。

スギの木は柔らかくて家具づくりには不適と言われていますが、植えてから60年〜70年で一人前になり使うことができます。一方で広葉樹の橅は家具に使えるようになるまで200年かかります。江戸時代末期に植えられた木が今になってようやく家具になっているんです。将来のためにも今、適切に木を使ってまた植える必要があります。

柔らかい杉の特徴を克服しようと圧縮技術を開発しました。曲げ木と同じく熱と水分を杉に加えてプレスすることで最大70%圧縮することで堅くなり、家具にすることができます。2014年にKISARAGIシリーズはグッドデザイン賞金賞を受賞しました。

高山という土地の地場産業が地元の材料を使って地元の労働力で皆様に家具を提供しています。できる限り地元の材料を使ってものづくりをしています。

岡田社長のお話

飛騨産業の岡田贊三社長のお話をお聞きしました。以前はホームセンターを経営したいた岡田さんは異業種からの視点を持ち込みました。

丸太から家具を作る際に節があるとその部分は使えないというのが業界の定説でした。しかし、それでは勿体ないという事で節もデザインの一部として家具を作ったのが「森のことば」シリーズです。

森のことばシリーズは若い世代から支持を受け、節もデザインとなるという事が照明されると今度は杉で家具を作れるのではないかと杉の圧縮技術の開発にも取り組み、更には杉の圧縮技術の応用として3次元に曲げたものやアロマオイルの抽出など岡田社長の代になってからこれまでは使えないと思われていた素材が次々と有効活用されるようになっています。

これまで使われてこなかった国産の杉が商品価値を持つことで伐った杉に値段が付くようになり、それが山の手入れを行うインセンティブとなり、それは豊かな森づくりにつながります。

飛騨産業の業績についてあまり利益は出していませんが・・・と謙遜されていましたが、余裕があると雇用を生み出すようにしています。必要以上の利益は求めず、地元に雇用を生み出す事が地域のためになるという事を実践されているのです。

地域の材料を地域の人が商品化して全国に販売する。岡田社長はトビムシがアミタHDから独立する時に支援してくださった方でもあるのですが、こういったところでもトビムシの森林再生・地域再生と同じ考えを持たれた方なんだなと感じました。

飛騨産業では家具職人の育成にも取り組んでいて、まさに飛騨を代表する企業だなと思いました。鎌倉投信の投資先ではありませんが、まさしく鎌倉投信が考える「いい会社」だなと感じました。

飛騨スタイル―日本の暮らしのいいカタチ

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Vol.2 オークヴィレッジへつづきます