"いい投資"探検日誌 from 新所沢

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています

「結い2101」受益者総会(2015)レポート(6) パネルディスカッション

9月5日に開催された結い2101受益者総会の詳細レポートの最終回はパネルディスカッションの模様をレポートします。日本環境設計の岩元さんがリサイクルの概念を変えるようなお話をした後でしたが、モノを長く使う、自然や森、水の循環に思いを巡らせるなど関心を持って行動することが大切なのだと改めて思いました。

 第6回「結い2101」受益者総会
 〜循環型社会創造元年〜
 京都議定書が交わされたこの地で民間の力で循環型社会を再構築する

 日時:2015年9月5日(土) 10:00〜17:00
 場所:国立京都国際会館アネックスホール
 主催:鎌倉投信株式会社

 竹本吉輝さん(トビムシ)
 池内計司さん(IKEUCHI ORGANIC)
 西辻一真さん(マイファーム)
 篠健司さん(パタゴニア)

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新井:
まずは皆さんの自己紹介からお願いします。企業展示のツアーでも話しましたが環境と言えば篠さんです。自分達の製品が環境にとっていいのか常に考えています。

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篠:

パタゴニアでも日本環境設計様の技術でリサイクルをしています。もともとポリエステル製品のリサイクルをしていたのですが、綿製品や混在の場合は出来ませんでした。日本環境設計さんと出会ってそういった素材もリサイクルが出来るようになりました。
まず言いたいのはリサイクルは最後の手段というのが私たちの立場であるという事です。廃棄の前に何か出来ることがあるのではないか?修理をしたり、環境負荷の少ない生産などを考えています。

リサイクルの前にできる環境配慮としてオーガニックコットンがあります。価格最優先で農薬を大量につかって出来た綿を使って安い工場で生産するよりも、手間はかかっても無農薬有機栽培された綿を使っています。また、製品を使っていた方が修理しようとし時、買った方が安いと思えるような値段では長く使おうと思えないと思います。
パタゴニアでは環境にも配慮した認証工場で縫製をしていて、もちろん労働条件もチェックしています。他にも自社で修理部門を持っているので壊れたとしても直してまた使っていただけるようになっています。

そのような形で長く使っていただき、最終的にリサイクルになると本当に循環型社会と呼べると思います。サプライチェーンの中でもひとつひとつ付き合い方を考えるのが大事だと思います。

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池内:

昨年池内タオルからIKEUCHI ORGANICに社名を変えました。創業してから最初の60年間で口に入れても大丈夫なところまで安全になったので次の60年で食べても大丈夫なタオルを作ると言いました。2073年には乳幼児が食べても大丈夫なタオルを作るよう社内に言っています。

日本環境設計のFUKUFUKUプロジェクトにうちも参加していて回収BOXをストアに置いているのですが、昨日京都店に行って店長に「IKEUCHIはもっと長く使える」と書きなさいと言いました。

回収BOXにうちのタオルが1枚も入らない事を願っています。大事に使えば10年は使えると思いますので。

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西辻:

蜂のマークの話がが出ましたが私たちの会社で事件がありました。うちは農業をやっていますが養蜂業もやっています。兵庫県養父市で昨日の朝、巣箱が熊に全部襲われたのです。まだ冬眠の準備の時期には早いので熊は来ないだろうと思っていたら巣箱がぐちゃぐちゃにされていました。ショックを受けましたがそこから得られる気づきを大切にしたいと思います。

今度は蜂箱をどうしようか?人員配置を変えたり気づきを大切にできるのが農業です。私たちが大切にしている言葉は「地産地消ができる」という言葉ですが得られる気づきを大切に出来る社会とも言えます。

日本の使われていない耕作放棄地を農業を楽しいよと家庭菜園や市民農園などの貸し農園として100カ所以上で展開しています。その中でもっと農業について知りたくなってきたという人を対象に学びの場となる農業専門学校を3カ所で開いています。卒業生も500人を超えて各地で農業をしています。また、卒業生の野菜を買い受ける場所として八百屋もやっています。 

卒業生と私たちの間で人と物の循環ができている他、森は海の恋人という言葉がありますが水と営みの循環についても農業をしっかりまわしていく事で栄養が海に流れてお魚にも優しい事になります。 

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竹本:
第一回の受益者総会で池内さんと一緒にお話させていただいて、3回目には単独で話して4回目には西粟倉の牧が話し、6回目の今回も私が話させていただくことになりました。我々は地域内でのお金や資源を循環させていこうとしています。その起点となるのが森なんじゃないかと思っています。

畠山さんも「森は海の恋人」と言っていますが、森から流れ出た養分が川を下って漁業という恵みをもたらし、蒸発した水はやがて雨となって森に帰ってくるという循環です。一方で水の流れを不自然に止める事で淡水である時間が減っています。

山がクッションのように水を吸収して少しずつ川に出していくのがもともとの姿だったのが山に留まらずそのまま流れて海に行ってしまうのです。大雨で濁流が流れることで河川の漁業や沿岸漁業にも問題が起こっています。

6年前に森を起点にヒト、モノ、カネをしっかりまわす会社を始めました。手の入っていない森に手を入れてお金にするという活動です。森から今出る木が柱やフローリングとして使えていないため、50cm四方のタイルのような今ある木を製品化してお金を生んで地域の循環を生み出しています。

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新井:
水ということでパタゴニアの辻井さんと話していて綿には大量の水が使われると聞きました。育てる過程でも多くの水を使いますが平均的にどのくらい使われているのでしょうか。

池内:

綿が出た後の染色過程だけでも100倍ですね。

新井:

大手衣料メーカーが売る量を考えるとすごい量ですよね

篠:

世界的に水の危機と呼ばれています。汚染水は浄化すれば使えますが浄化にエネルギーも使います。地域差はありますがこの秋に販売したジーンズは染色技術をうまく使って使用する水の量を84%減らすことができました。水も出所をしっかり考える必要があります。海なのか川なのか。魚はいるのか?

新井:

作る過程が見えるという事はあまりないですね。どこの水なのかどういう状態なのか本当にわかりません。畑でも水を使ってますが、水に対する問題はどんなことがありますか?

西辻:

東北の宮城県亘理町でトマトを7ha露地栽培しています。なぜしたかというと震災による津波で流された場所で塩害があったからです。そこを耕作放棄地と考えてトマト栽培を始めました。

塩があると作物が栽培しにくいと言われますが、現場は塩水が流れ出る水路が震災で壊れてしまった事で塩害が起きていました。水路の整備は農業にとってとても大切な事です。

新井:

はじめて聞きました。スタートが森ですが、林業って農林水産業の中で一番難しいですよね。口にしないのでしょっぱくてもすっぱくてもいいわけです。起点は森ですよね?

竹本:

どうしても地域で、特に今は地方創生で自立していこうと予算がついてますが、林業に予算をというのはありません。農業、漁業、加工業には話が行きますが林業は「難しい」の一言で片づけられてしまいます。そんな中、森を起点に西粟倉や奥多摩、飛騨市でも活動していますが、こういうやり方でやっていく可能性を感じていただけるといいなと思います。

関係者はどだい無理だ。林業は国のお金を入れてやらないとと決められている事もあり、最近木質バイオマスが注目を集めていますが木は切って燃やしてしまえと一気になってしまいました。

新井:

一緒に作っていかないといけませんね。
消費者の方に楽しんで関わっていただこうという事について池内さんからどういった観点で関わって欲しいか聞かせてください。

池内:

何を見せたら安全だと思ってもらえるのか考えています。お百姓さんがやっているのと同じようにしてみようとしています。

会社としては赤ちゃんが食べてもいいというなら工場を食品工場と位置づけ、認証(ISO22000:食品安全マネジメントシステム)を取ろうとしています。

新井:

本当に取れるんですかね?

池内:
フードファブリックということで審査日程は決まっていて、来月一次審査があります。
問題はタオルは食品じゃ無いんじゃないかということですが。

新井:

日程が決まっただけすごいですね。
わけわかんないですよね。

池内:

仮に食品工場の認証が取れたとしても安全かどうか消費者は感じないと思うので、できればどこそこで何日に収穫してどこを通って日本に運ばれてきていつ作られたというトレーサビリティが全部わかるといいのかなと考えていて、今月からテストしたいです。

新井:

審査の結果は結いだよりでもお知らせします。

西辻:

池内さんの話のせいで飛んでしまいました。何の質問でしたっけ?
農作物を食べる時、安心・安全野菜と言われますが安心と安全は違います。安心は作り手、安全は食べる側が愛しているかが大事では無いでしょうか。

消費者にとっての第一歩は自然を愛するという事で、そのためにプランター栽培でもいいので土に触れて野菜作りをしてみてください。その上で食べる分を全部作れないと思いますので生産者ともっと密接にコミュニケーションすることではないでしょうか。

新井:

自然を愛すると先に言われちゃいましたが・・・

篠:

自然を愛することは大事で、定期的に行くことで変化がわかるようになります。
ダムができた、雪が降らなくなったなというような事を感じるでしょうし、そうした事はスキーとつながりがあるかもしれません。

自然を愛する、よく知ってもらうというのは大事だと思います。

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新井:

恵みの雨って都会にいると感じないですもんね。傘がいるしズボンは濡れるし、電車の中でくっついても濡れますし。竹本さんは森とどう関わっていただきたいですか?

竹本:

池内さんの話を聞いていて木も食べていいのかなと思いましたが・・・(笑)
関心のある方は現場に行くと思いますが、木の話もぜひどこからどういう風に出てるのか消費者であるみなさんに知って欲しいと思います。

愛媛県の内子町に昔ながらの美しい街並みがあるのですが、そこを修復しようとすると土壁など地元では全部調達できないんです。小さな町なのに循環していないということです。特に林業がまったく手に付いてないので農家もそう言い始めました。地元の材を使えないという認識が地元に高まってきたんです。

観光業が盛んなので内子産の食べ物が美味しいという人が増えるといろんな人の目にさらされるんです。「どうして味がおちたの?」「これは(当然)内子の木で作ってるんですよね?」と観光客に言われた時に目を逸らすことになります。直接それに対価を払うことで初めて地域内で循環させないといけないと認識したんです。

究極に使われていないのが森で、先進的な目を持っているのではなくお客様からそういうことを言われる事で目が森を向きました。

木は安全じゃ無いイメージがあります。足を運んだり、関心を持ってもらいたいと思います。ここにいる5人が言っても循環型社会は作れません。皆さんの意識が変わっていかないと。行動を変えていくことが大事です。

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【質疑応答】

会場からの質問

消費者を含んだ循環型社会という観点で家は全国に5100万戸あってそのうち800万戸が空き家だと言われています。それなのに年間60-70万戸作ろうとしていてつぶすことで社会が成り立っているようなところがあります。家は建てるのは家族で1回程度です。何がトリガーになる可能性がありますか?


竹本:

家はなかなか4回目でうまくいくって話はないですもんね。昔は家は三世代のなかで一番いいお金の使い方だったのが、気づくといつのまにか豊かさを享受するものから不動産になってしまいました。

どうリサイクルしていくかは最終的な姿でいかに愛してもらえるのかという観点で家は35年ローンの中で最適なものになり、3世代でいかに地域の中で最適化するという絵から離れてしまいました。

今の仕組みの中では本当に難しいと思いますが環境にやさしいというのと同じように家や住まう空間をより長くより豊かなものとして提供したいと思います。

 

会場からの質問

日本で問題になっているのが後継者がいなくなっていることです。廃屋が増えていますが廃屋の燃料化はできないのでしょうか?

岩元:

技術的には間違いなくできます。とはいえ順番があるのでまずは消費文化を変えようとしています。消費行動がかわると順番にいけるのではないかと思います。

新井:

順番が大事だと思っています。プロセスがはっきりわかるものを使うことが大事です。
色んな使い方、修理ができるできないというものを考えて欲しいと思います。
ある人がパタゴニアに10年くらい使ったウエアを修理に出したら新しいの出しますと言われたことがあるそうです。

篠:
ギャランティの制度があって修理ではなく交換したいという事にも応える場合があります。一方で何年たってもなんとか修理して欲しいという人もいます。交換する割合よりも修理の方が圧倒的に多いです。

新井:
修理をしてその上で他の用途で使えないのか考えて、使えない時にゴールキーパーの岩元さんが全て受け取ってくれる社会を早く作りたいと心から思っています。

篠:
建物の話で思ったことがあります。パタゴニアの本社は手を入れて中古の方が価値があると考えています。日本では中古で安くなりますが、モノをつくるときに価値が下がらないような作り方をする必要があると思います。

新井:

鎌倉投信を古民家にしたのもそういった意味があっていいものを残していく、そうしたことに関わっていくという事です。生きてきた中での思い出を残して違う価値を見出すことを日本文化の中に残したいと思っています。


会場からの声

質問ではなく意見なのですが、岩元さんがしている仕事は素晴らしいと思いますし、壇上の5人はそれぞれが素晴らしいと思います。

私が感じたのは全く別の事で、リサイクルは最終的な行きつくところではなく、いいものを作って長く使って欲しいというのは別だと思います。

本当にいいものを大事につかっていく仕分けをして古くからあるお寺のように長く使う価値観のある目を育てる事が大事ではないでしょうか。

新井:

最後は岩元さんというだけではないと思います。いろんな立ち位置で。

池内さんの製品は10年たっても使っているものもあるでしょうしそれぞれ役割をもってやっていけばいいと思います。関わってもらうことが大事です。

見えることと見えないことがあります。地下水なんて見えないのでわからないですが、わからない中で行動していかないといけません。そこに納得して行動してもらうという事をどんな形でもいいので関わってもらいたいと思います。

最後に一言ずつ。どう関わって欲しいかをお願いします。

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竹本:

地域にある森にぜひお越し下さい。

池内:

綿製品を作っていますが、種を蒔かれてからの情報をできるだけ毎月自分の店で話しています。どういう経緯で作られたものなのかわかるものから買っていけば循環型になるのではないでしょうか。

西辻:

安心して接することができ、安全であることを確認するために学びに来ていただくのがいいのではないでしょうか。

篠:
一つ一つの製品がどこでどういう風につくっているか公表しています。
本当に必要なのか考えてみてください。

【受益者総会(2015)レポート】