9月5日に開催された結い2101受益者総会の詳細レポートの3回目は運用部長の新井和宏さんによる運用報告(前半)です。結い2101の第6期(2014年7月23日〜2015年7月21日)の運用を振り返ります。
第6回「結い2101」受益者総会
〜循環型社会創造元年〜
京都議定書が交わされたこの地で民間の力で循環型社会を再構築する
日時:2015年9月5日(土) 10:00〜17:00
場所:国立京都国際会館アネックスホール
主催:鎌倉投信株式会社
新井:
今回は運用報告会で冊子をお配りすることができました。バナナペーパーで出来ていて日新堂印刷さんで作りました。ちょっと高いですが私の本の印税で作っています。
【概況】
純資産総額
184.31億円(前期末 101.74億円)
総顧客数
12,405人(前期末 7,829人)
純資産もお客様も増えていますが、主にテレビのおかげです。(NHK プロフェッショナルの)放送終了後、私のFacebookにお友達申請が300名以上ありました。もちろんそんなに多くは確認出来ないので全員友達になりました。
その後は資料請求が1ヶ月で1万人来ました。それまで受益者が9千人しかいなかったのにです。おかげさまでその後も毎月1,000人のペースで増えてます。現時点で約13,000人で定期定額購入の比率は若干比率が下がりましたが、それでも6割ちょっとです。
【いい会社】
人、共生、匠のキーワードで選んでいます。共創経営・オンリーワン経営が特徴ですが、今年の受益者総会のテーマは共生です。
テーマの「人」は人財を生かせる会社ということで障がい者やニート、フリーターの雇用について取り上げます。
「共生」、つまり共に生きるということは循環型社会を創造するという事でもあります。共生には物の循環、水と営みの循環、地域の循環の3つの循環が含まれます。
第一次産業は人として行う事ですが、森がいい水を作り、畑が豊かになります。そうすると豊かな川の流れでは魚が豊かに育ち、やがて海へ流れた水は蒸発して雨となって森へ帰ります。地域の循環として人やモノやお金がぐるっとまわるような会社を応援しています。
「匠」は日本の匠のサービスを持った会社、日本らしさを意識しています。
投資先の会社は50社になりました。昨年の決算時点では48社でした。マーケットが順調に高かったのでなかなか追加できませんでしたが、だいぶマーケットが落ち着いてきたのでそろそろまとめてと考えています。今月は頑張りたいと思います。
新しい投資先を紹介します。
日本環境設計。今日のメインスピーカーは岩元社長です。後ほどお話を聞いていただきます。
リオンはプロフェッショナルにも出てきた補聴器の会社です。放送では社員と会っているシーンだけで社長と会っているシーンはありませんでした。何故かというとNHKはヤラセがないからです。取材は1月からスタートしているのですが、社長との面談は12月に済ませていました。NHKとしては撮りたい画ではあったのですが遡っては撮影しませんでした。
モリタホールディングスは消防車を作っているトップメーカーです。鎌倉投信として輸送用機器の中では初めての投資先になります。消防車なんてめちゃくちゃニッチです。
お客様ツアーをしようと思っていますが工場見学についてひとつだけお願いされました。何かと言うと時期が決まってるんです。
消防車を発注するのはどこでしょう?彼らが一番お金を使うのはいつですか?そう、年度末の少し前の2月にならないと見学に行った時に消防車がラインに並んでないかもしれないんです。兵庫県の三田にある工場へ見学ツアーを予定しています。楽しみにしていて下さい。
消防車はカスタマイズして作っています。車体は別の自動車メーカーが作り、そこに様々なオプションを自治体毎に付けていきます。そうやって個別に作っているのでシェアをひっくり返すのは大変です。これからは海外にも進出していく会社です。
決算後ですが、今月の結いだよりでも報告したのがマイファームです。耕作放棄地をレンタル菜園にしています。マイファームを合わせて現時点では51社に投資しています。
【投資行動】
株式比率は前期末の57%から62%に増えました。マーケットが上がると株式が増える仕組みです。逆に急落すると株式は減ります。マーケットが急落した先月末は株式比率が6割くらいでした。債券は前期と変わらず3%のままですが新規投資もしています。
リスクは10%以内になるように買っていて現在の個別銘柄の目標ウエイトは1銘柄あたり1.7%です。
新規投資 4社
全売却 2社(みらい教育研究所、アメニティ)
アメニティはグリーンシートに店頭登録していましたが、市場が無くなる事が正式に決まり、公開廃止となりました。公募投信では完全な未公開の会社は持てないので社長に引き取っていただきました。
2014年10月末に2回目の金融緩和がありました。そこから大型株相場となりTOPIXが追いつきました。結いは年率リターン4%ラインを目標として提示しています。
今年から交付運用報告書が変わり、騰落率の比較データが付きました。1年間だけ持ったらどうなったか過去5年間のデータで1ヶ月ずつずらしたものがこちらです。
これを見ると1年リターンの平均は12.2%、最高35.9%、最低-0.5%だった事がわかります。これを見るとかなり成績が安定して良いですがたまたまです。1年で-10%は起こりうるとして運用しています。
実はデータの取り方が他のインデックスと比較して8ヶ月分足りていないためサンプル数が少ないという事を補足しておきます。ただ、マイナスになったのはTOPIXは17回だったのに対してたった1回だけでした。
このデータを見て日本債券に投資するより結いの方がいいと勘違いはしないで下さい。100%結い2101に投資していいのは私と社長の鎌田だけです。皆さんの基本は分散投資です。
企業が5%稼がないと皆さんに4%お返しできません。アベノミクスの後も円安で順調に上方乖離しています。インフレターゲットと言っていますが5%+インフレ率になるくらいに企業業績をウォッチしてます。会社が利益を出さないと投資の利益が出ないと考えています。実際は市場の期待が変るのでぶれますが、市場の期待が変らない限りにおいては利益成長と同じだけ利益が出るはずです。
取引コストは5bpsでした。1万円あたり約7円。前期は6bpsでした。
売買回転率は71%。前期は79%です。
残高が急増したためあまり下がりませんでしたが、本来もう少し下がるはずです。将来的には最低30%くらいまで下がる見込みです。
分配金は0円でした。
なぜならNISA口座でも分配金を出すとその分は課税口座に入ってしまうからです。非課税制度なのに分配すると課税されるようになる。変な話ですが、来年度以降分配金は制度を見ながら出すかどうか検討していきます。
【いい会社との対話】
議決権行使において反対は2議案ありました。
アメニティはグリーンシートから公開廃止するという議案に反対しないと買取請求ができないので仕方なく反対しました。(公募投信は未公開の株式を保有できないため)
企業との対話については20社以上と行っており、具体的な事案としては10社程度行っています。
会社からは株主満足度を上げるための意見を聞かれる事が多く、人材不足対応についても意見交換しています。鎌倉投信からは受益者からの問題意識などの共有をしていて皆さんからの声はクレームなども全部伝えてます。
例えばコタさんで押し売りのような事をしているという受益者からのクレームがありました。私たちはコタさんにこういう声が来てますと伝えたところ、全社調べてくれてレポートにしてくれました。
いい会社は人で出来ています。問題はどうしても起こりますが、どう対応するかで会社が見えます。結果的にそのような事を行っているのは見つからなかったのですが、強くセールスするとそういう印象を持たれるという事で対応してくれることになりました。
投資先への社会課題解決に向けた協力依頼としては登山家の栗城さんがネパールの震災への支援活動で現地の物流が止まっている事に困っていたのでヤマトHDのノウハウを使えないか相談しました。スピード感も素晴らしく、すぐに会っていただけました。
【受益者総会(2015)レポート】