インパクト投資が出来る投資信託探しを続けていたら、野村アセットマネジメントにもすごいファンドがありました。
■ インパクトの試算ができる本格派
なんと、こちらのファンドでも自分が投資した金額で生み出される社会的インパクトを計算できるサイトがありました。
ベイリー・ギフォードのインパクトファンドにもありますが、こういうのがあるとインパクト投資した実感がわきやすいです。
というところで、アクティブファンドなので5つのPでどんなファンドなのか見ていきましょう。
■ Phirosophy(投資哲学)
目論見書によると日本や新興国を含む世界各国の株式にESGの観点を考慮し、社会的課題に対するインパクト創出に寄与すると考えられる企業に投資するとあります。
「野村サステナブルセレクト株式戦略」のクォリティ投資について という資料を見ると高ROEのクォリティ投資をしつつ、社会的な目線では環境関連・医療関連・権利関連に対して目指すべきインパクトを設定し、その課題解決に取り組む会社に集中投資するようです。
野村アセットでは機関投資家向けにグローバル・サステナブル・エクイティ・オープン投信を設定していて、住友生命が100億円投資しています。そちらのファンドではインパクトレポートを出していますが、運用チームは一緒ですし、マザーファンドの名前も似ていることから同じか似た運用をしているものと思われます。
■ People(人材)
こちらのファンド、実質的な投資先となるマザーファンドはノムラ・アセット・マネジメントU.K.リミテッドが実質的に運用しています。外部委託といえばそうですが、グループ会社内ですね。
インパクトレポートというまとまった形ではありませんが、投資先の会社が生み出すインパクトについてのレポートがこれまでに3本出ています。
この中で運用者による社会的インパクトに関するインタビュー記事もあったり、読み応えのあるレポートです。
■ Process(投資プロセス)
目論見書には「ポートフォリオの構築にあたっては、ESGの観点および株主還元の観点で定量評価を行ない投資ユニバースを絞り込み、ファンダメンタルズ分析、バリュエーション分析およびESGへの取り組 み等の定性評価により投資候補銘柄を選定し、自然環境を含むステークホルダー※3との関係性分 析、株価の割安度、市場動向、流動性やポートフォリオのリスク状況等を総合的に勘案して、組 入銘柄・組入比率を決定します。」と記載があります。
※目論見書より
■ Portflio(ポートフォリオ)
2023年7月の月次報告書によると、39社に投資していました。
投資先企業については上位10社について目指すインパクト、ESGへの取り組みが企業価値向上に資する理由についても書かれています。インパクト投資ファンドらしく、通常のアクティブファンドに比べてなぜ投資しているのかが詳細に説明されています。
運用報告書を見ると日本ではダイキン工業にのみ投資していました。
■ Performance(パフォーマンス)
2023年7月の月次レポートによると1年間のリターンは16.6%でした。特にベンチマークはありませんが、参考としてMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算)が19.4%ですので、全世界インデックスよりはリターンは下回っています。
ウェルスアドバイザーによると同じカテゴリー平均より低く、リターンは上回っていました。(2023年7月末現在)
医療関連もインパクトテーマとして含まれていることからリスク控えめなポートフォリオになっていることを考えると、この結果はなかなかのものだと思います。
■ まとめ
野村證券でしか買えないのが残念ですが、ノムラの本気を感じるインパクト投資ファンドでした。まだ運用から1年ちょっとですので、今後の運用が楽しみです。