4月30日(日)に鎌倉投信の「いい会社の経営者講演」日本環境設計に参加しました。
いい会社の経営者講演
講師:日本環境設計株式会社 会長 岩元美智彦さん
日時:2017年4月30日(日)14:00~16:00
場所:FinGate
後半は鎌倉投信の運用部長 新井さんとの対談でした。2015年の年初にテラルネッサンスの鬼丸さんと一緒に登壇したイベントで初めて岩元さんの話を聞きましたが、夢のような話を次々と実現しています。そして本当に楽しそうに話されるんですよね。
これから北九州の工場が稼働するとリサイクル由来の商品が店頭に並ぶようになるのが今から楽しみです!
それでは新井さんとの対談をメモを元にレポートします。
BRINGプロジェクト
新井:
BRINGプロジェクトの趣旨を説明してもらえますか。
岩元:
服のリサイクルをFUKU×FUKU(ふくふく)、プラスチックのリサイクルをPLA×PLUS(プラプラ)とこれまで私のダジャレのセンスが生かされてきましたが、ふくふくに茶々が入りました。
デロリアンの時にクリストファー・ロイドさんがふくふくと聞いてF○ck youに聞こえると笑ったんです。それで海外展開を考えて名前を変えることにしました。
Bee(蜂)がring(まわる)でBRINGプロジェクトにしました。海外メーカーと協力していく上で覚えやすい名前です。今後は国内もBRINGプロジェクトに統一していきます。ケチがついたおかげで海外にも展開できる名前になりました。
新井:
逆に海外で通用するようにグローバルプロジェクトとして動き出したんですね。
皆さんからよく聞かれるのが実家に大量の古着があるがどうしたらいいですかという事なんですが。
岩元:
簡単なのは回収拠点に少しずつ持ってきていただくことです。そうすればお店が送料を負担して工場に送ってくれます。お店としても来店してくれるメリットがあるから回収ボックスを置いています。リサイクルしに来ると意外に買ってくれるんです。そこからリサイクル代を出してもらっています。
個人や会社から直接受け入れるようにすると元払いでとか、地域によってリサイクルへの考え方が違ってできないのですが、お店は行政とそのあたりを調整済みです。日本には日本の法律があるので皆さんにも迷惑をかけていますが、皆さんの行動が変わると政治と行政も変わっていくのではないでしょうか。
新井:
近くの回収拠点にこまめに持って行って下さいという事ですね。
その継続が将来の普及活動につながるので、お店にもちょっとずつお金を落とさせる仕組みです。回収も小売りも原料もちょっとずつまわるようにお互いに考えてるんです。
岩元:
あるお店は神奈川に50店舗あって半分の25店舗に回収ボックスがあるのですが、あるのとないのでは4%くらい売上が違うんです。
リサイクル拠点は売上が増えます。最初は回収ボックスを置くことにごみを持ってこられるという事でありがとうございますという気持ちがありませんでしたが、今はニコニコしてもらっています。こうしてちょっとずつ回収費用を薄く広くいただいています。
新井:
みんなで負担するから出来るんです。これを1社だけでやろうとすると大変です。みんなでやっている仕組みに乗っかると楽に高くなく出来ます。
日本環境設計はなんでこの仕組みに乗らないんですか?と言えるようにしたのが大きいんです。
岩元:
1社ではこうした運動は出来ないんです。みんなでやってるので抜け駆けしようとしても効率は生まれません。トップメーカーと既に組んでいるのでこれから1社だけ別にやろうとしても規模を確保出来ません。
こちらも受け取るだけでなく、もちろん一番お世話になったところに最初に樹脂サンプルを持って行って喜ばれました。
技術をカートリッジとして考える
新井:
もう一つすごいのは技術はカートリッジだという考えというところです。
環境技術の会議に参加してほとんどの人が言う言葉があります。
「新井さんは環境問題の中で何を重視されますか?その点においてどの会社が素晴らしいですか?」
みんなで足の引っ張り合いをしているんです。僕はカートリッジ感覚なのでこの分野に関してはここが一番です、そして技術が進歩したらつけかえる。大事なのは仕組みです。
岩元:
大事なのは仕組みなんです。技術に世界的なものをもってくれば実現出来ます。
繊維から始めましたが、他にもあるので技術開発もするしものづくりのインフラも使っています。技術は連携とカートリッジです。技術はわかりやすいから皆さん好きですが、それだけではまわりません。
圧倒的な有言実行力
新井:
あと、まわそうとするとどうしても市場価格の問題になりますが日本環境設計は無料で手に入るんです。これが圧倒的です。他はリサイクルの原料を買っていますが、無料で手に入る。大手と結んでいて他を選択できない仕組みを作った。これが秀逸すぎます。
岩元さんの有言実行力は段違いだと思います。
岩元:
デロリアンやオリンピックの話を聞いてもみんなまた岩元がホラを吹いていると思っていたんです。先日、ある人から岩元はホラ吹きが面白かったが(実現してしまって)最近面白くないなと言われました。
最近は宇宙の話をしていますが、本当にやろうと虎視眈々と狙っています。
新井:
デロリアンの話にしてもそうですが確かにそうです。普通なんらかのネットワーク、つながりがあるから話しますが全くそういうのがないところから実現してしまうんです。
岩元:
すべて飛び込みでやってます。
新井:
全部実現してるんですよ。自分の常識では信じられないことが起こってくるんです。
こうなるともう選択肢がありません。失敗するかもというアドバイスは意味が無くなっちゃうんです。
岩元:
やれちゃうんですよね。不思議と。
新井:
普通の人間が普通に考えてはいけないなと思いました。
応援するのが一番いい。
岩元:
直接行って想いを伝えるとだいたい通じますよ。
今はデロリアンがありますから。そしてアショカ・フェローもあります。アショカは欧米では地位が高いのでアショカフェローが会いたいというと大体の経営者はスケジュールを調整した会ってくれます。で、会ったらデロリアンの会社だというとお前の会社か!と喜んでくれるのでアショカとデロリアンの二枚看板でやってます。ワシントンでも講演してきました。
新井:
戦争の話もありましたがNHKプロフェッショナルの撮影をしていた2015年1月に岩元さんが講演して、あそこから戦争なくそうというメッセージでスタートしています。共通キーワードで世界が動いているのがすごいなと思います。
岩元:
戦争やテロが大好きな人はいません。
だったらこの樹脂使うよね。環境にもいいしCO2は石油の半分だし、これからはこういうブランドしか生き残らないよと。
新井:
こうやって聞くと岩元さんがカリスマ的にやってるように見えますが会社に行ってみると逆なんです。
岩元:
社員が優秀なんです。自分は方向性を出すとかしていますが今53歳。社長が36歳です。
おいちゃんが行っていい時は会社に行ってサポートします。
ほとんど現場や海外には若い人が行くようにしています。僕が行くときは言ってだめな言葉だけ事前に聞いて説得に行くときです。サポーター役として頑張っています。
会社からMBA1号も生まれましたが女性の技術者で優秀な社員でした。まず100人飲み友達を作れと言ったらそれは簡単にクリアして首席で卒業しました。彼女は交渉ごともうまくやってくれます。MBA2号も技術者で地盤を広げろと言っています。
新井:
2015年初のイベントの頃、日本を牛耳ったなという感じでした。これから海外だと話していたくらい。したたかに世界戦略をずっとやってきたんです。準備万端でやっているなと感じます。
2020年のオリンピック・パラリンピックのメダルはうちに使わなくなったiPhoneがあるので持っていきます。全部で何台必要なんですか?
岩元:
3000万台必要と言われています。年間700万台回収しているので4年で回収できるペースですが、実は3億台のガラケーがまだ眠っています。ガラケーの方が金が多く含まれているのでありがたいです。
新井:
ガラケーの方がいいんですね。皆さんもお願いします。