先日、鎌倉投信が運用する結い2101の運用報告会に行ってきました。運用報告会の中で紹介された投資先の会社説明(主に社会的価値)をレポートしたいと思います。
まず最初は循環型社会を実現するキーとなることが期待されている日本環境設計です。上場はしていないため、鎌倉投信では社債に投資を行っています。
日本環境設計
家庭用プラスチックゴミをエタノールにする会社です。共生をテーマに投資しています。第一回受益者総会でらでぃっしゅぼーやさんがFUKU-FUKUプロジェクトで綿製品を回収していたがようやく投資できるようになりました。昨年お会いして一緒にやりたいとオファーがあり、お付き合いすることに。循環型社会を構築する上でキーになる会社と思います。
バック・トゥ・ザ・フューチャー2で描かれた未来が実は2015年10月21日でその日はお客様にもお楽しみいただくイベントを予定しています。この会社自体、あの映画を現実にしようと起業されたものです。この会社の事業内容を説明します。
ステップ1:FUKU-FUKUプロジェクト
衣料品からエタノールを作り出すプロジェクトで良品計画やパタゴニアなどで回収を行っています。このプロジェクトは高校の教科書に載っているのですが、民間企業の事業が教科書に載ることは極めて稀です。通常のリサイクルだとボタンなど綿以外の素材をを外す手間がありますが、日本環境設計は衣類をそのままプラントに入れると酵素が綿だけ分解してプラスチックなどは沈殿する仕組みです。
ステップ2:携帯電話リサイクル
あまり知られていませんが実は日本一のシェアを持っています。通常、携帯電話のリサイクルというと分解して中の部品を取り外すイメージだと思いますが、これもプラントにそのままつっこんで分解してしまいます。プラスチックは再生油に、貴金属は沈殿するのでそのまま売却します。NTTドコモ全店舗の取り扱いがあり、ドコモで使用済携帯電話をリサイクルに出すと日本環境設計が処理をしています。
ステップ3 PLA-PLASプロジェクト
家庭用から出るプラスチックごみをエネルギーに変えるプロジェクトです。
プラスチックのリサイクルには3種類あります。現在主流なのがエフピコでやっているようなトレーtoトレーのようなマテリアルリサイクル、もしくは燃やすことで熱エネルギーとするサーマルリサイクルです。
化学的に分解してプラスチックを作り直すケミカルリサイクルという方法もありるのですが、2000年代に実験プラントで事故が相次いだため失敗に終わりました。400度の熱で液化するのですが、すると粘性が強いため配管がよく詰まります。修理のため配管を開けた途端に発火するという火災が続出したのです。
日本環境設計ではプラスチックリサイクルのためのプラント建設に取り組んでおり、仮プラントを建設済です。そちらでリサイクル生成されたエタノールはセブンカフェのカップの一部に使われています。1リットル100円を切るコストでエタノールにできるためガソリンの代わりにも使えます。
回収実施企業一覧を見るとイオングループとセブン&アイグループが名を連ねています。ライバル企業同士が同じプロジェクトに参画するのは歴史的快挙です。しかも従業員10数名の中小企業のプロジェクトです。
なぜイオンとセブン&アイグループが一緒にやろうとしたかというと、プラスチック製品を店頭で回収をする際に統計を取り、回収日の売り上げが4%増える事がわかったからです。このプロジェクトが強力な来店動機を持つことをデータで示すことで大手流通にも参画してもらうことができました。既に日本だけでなくインドにもこの技術を進出させようとしています。
プラスチックからエタノールに変える技術は他社も持っていますが日本環境設計のよいところは無料で回収できることです。他社の場合は原料となるプラスチックごみを購入しないといけません。消費者もリサイクルのためにプラスチック製品をお店に持ってくるのでリサイクルへの意識も高まります。ごみとして出したものが人知れずリサイクルされるよりもいい仕組みだと思います。技術よりも消費者参加型スキームに共感しました。
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日本環境設計 岩元社長の講演レポートです