11月22日(土)にレオス・キャピタルワークス本社で開催されたひふみ投信の第6期決算 運用報告会に行ってきました。東京会場午前の部の運用報告会の模様を私のメモを元にレポートします。
休日の昼間開催という事でひふみアカデミーには足を運べないという方が中心に集まっていました。先日のひふみアカデミーと被る内容もありましたが、年に1度の運用報告会という事でひふみ投信の性質を直に聞く事ができる貴重な場だったと思います。今年はアナリストによる発表の場もあってひふみの運用チームをより知ることができたのではないでしょうか。せっかく個性的な方が揃っていますので、いつかアナリストによる個別セミナーを開催してくれると嬉しいです。
ひふみ投信 第6期決算 運用報告会
日時:2014年11月22日(土) 10:00〜12:00
会場:レオス・キャピタルワークス本社
ひふみ投信のゆるキャラ「ひふみろ」がお出迎え。
岩田社長挨拶
最初にレオス・キャピタルワークスの岩田社長の挨拶がありました。
岩田:こうして皆さんとお会いするのは1年ぶりになります。昨日はひふみ投信の最高値更新で、そのような状況で皆さんにお会いできて胸をなで下ろした感じです。この一年を振り返ると期待を膨らませた年だったと思います。
山あり谷ありでしたが、年末にむけてなんとか改善されてきたのではないでしょうか。直近でせわしい話題も出ていますが来年に向けてしっかりやっていきたいと思います。
ぜひ皆さんから忌憚の無いご意見やご質問をいただき、満足いただければと思います。
運用報告
続いて、最高投資責任者(CIO)の藤野さんからひふみ投信の第6期の運用について報告がありました。
藤野:ひふみ投信の運用開始から6年たちましたがこれまで早かったと感じています。ひふみ投信は運用開始早々にリーマンショックに見舞われるという最悪の状況でスタートしましたし、その後も東日本大震災やギリシアショックやなんとかショックなど色々ありました。
それでも昨日また最高値を更新できて、この瞬間お客様の誰も損をしていないのが嬉しく思います。
基準価額について
今では色々なところで姉妹ファンドのひふみプラスも間接販売しています。ネット証券や地銀さん。近く新しく地銀さんでも始まりそうです。
地銀の行員さんとも話していますが、基準価額最高値を更新しているファンドは危険だと言われます。じゃあ基準価額が安いと安全なんですか?と聞くと安全ではないけれども買いやすいと言われます。高いので恐いとか、上がったものは下がるからとか言われてちょっと残念です。
一生懸命上げたのに不安と言われても、下がらないようにして上げるのはファンドマネージャーの仕事。買いにくいと言われようとこれからも高値を更新し続けたいと思います。
概況
純資産総額は149億円まで増えました。昨年度比64%増です。
口座数は11,525。こちらは前年度比47.5%増です。
積立も63.7%という多くの方にしていただいていて嬉しいです。
第6期の実質費用は1.105%でした。第5期は1.521%でしたので前期比で下がっていますが、理由は売買が減ったからです。
昨年はポートフォリオの3分の2を入れ替えるような大規模な入れ替えをアベノミクスの始まりと終了のタイミングで2回行いました。アベノミクスの終了と聞いておや?と思った方もいるかもしれませんが、昨年5月23日にアベノミクスの第一部が終わったと考え、ポートフォリオを入れ替えました。今期はそうしたドラスティックなことがなかったので売買回転比率が少なくなりました。
ファンドの純資産額は大きくなっても売買手数料が減っているのは銘柄が安定しているためです。これからの第7期も回転比率は高くないと思いますが、少し考えていることがあります。マーケットが変ると思っているのでそれに向けた切り替えはあります。
配当原資はたくさんありますが今期も0円にしました。分配はできるだけしないほうが税金を払わずに済むのでお客様にとって有利だと考えたからです。
R&Iファンド大賞を3年連続受賞しました。日本株アクティブファンドの中で1位、2位、1位になる確率は2000万年にの1度の確率です。4年目も狙ってますが今度は10億年に1度の確率。2000万年前というと人類が猿人から分かれた頃で、10億年前というとパンゲア大陸からユーラシア大陸がが分かれたくらい昔の話になります。マーケットが変ったので合わせていかないと難しいですが頑張ります。
ひふみ投信の性質
これが危険なファンドの成績です(笑)。
これを見てもらうとわかりますが、下げるときに豪快に下がります。いいファンドですが下がります。振り返ってみるとひふみ投信は設定当初からリーマンショックに見舞われ、大きく下がっています。
そこから元の水準に戻るのにTOPIXは4年かかりましたがひふみ投信はすぐに元に戻しました。東日本大震災の時もものすごく下がりました。でも、直近最安値以下まで下がったTOPIXよりも下がりませんでした。また、反発力があって半年後には戻しています。ギリシアや5.23ショック・・・この時もお客様には結構怒られましたが、やっぱり半年くらいで値を戻しています。
比較してみるとなんとかショックなどがあると約3年後に値を戻すTOPIXに対してひふみは半年程度でした。今年1月の下げもそうです。頂上で買うと嫌ですよね。自分は投資のセンスが無いと思うかもしれませんが、半年我慢してもらえば最悪パターンでもだいたい戻ってます。これから先は明言できませんが、半年我慢するか下がった時に更に追加投資するといいリターンになるのではないかと思います。
ひふみ投信の反発力が高いワケ
繰り返しますが、ひふみは市場と同じくらい下がります。でも、上がるときの反発力が高いのです。それはなぜでしょうか。
根本的にいい会社に投資しているので上昇率が高いんです。下がる時というはそれまで儲けが出ている銘柄から順に売られます。そのため儲けが出ているファンドほど下げの局面で大きく下がりますが、ひふみは工夫して市場と同じくらいの下げにしています。
逆に上がる時はこんなに株価が下がってチャンスだとこれまで買えなかったいい会社に買いが入るので反発力が出ます。相場の上げ下げを当てるのは難しいのですが、将来的にいい会社だと判断できる会社に投資するのが安全な方法だと考えています。
第6期も結果的に良い成績でした。前半下がりましたが後半盛り返して大きく勝つことができた1年でした。
今後の見通し
これまで儲かったことは知ってるよと思ってらっしゃると思いますので、これからどうなんだ?という話をします。それがダメだったら乗り換えるよと(笑)。もし立場が逆だったら自分もそうします(笑)。
結構世の中が激しくなりました。リズムが変ったように感じます。マーケットも世の中にもリズムがありますが、テンポが速くなったと感じます。黒田砲第二弾でアップテンポに変りました。
消費税増税は微妙だと思っていましたが解散風が11月7日くらいから吹き始めました。GDPの数字は事前の2%台という予測に対して悪くなるだろうと官邸にインサイダーとして情報が入ったのだと思います。また、週刊誌でも書かれましたがあと2大臣にスキャンダルがあったと聞いています。
官邸はこれら2つのことを知ったとしてどうするか?
一つにはGDPが悪化しましたと17日に発表されてもこのままやり続けるという道があります。そして消費税を増税するかどうか判断しているうちに閣僚に爆弾が出てきて野党に突かれるとアベノミクスは失敗だと言われ、その段階で政権はもたなくなります。4閣僚が辞任で内閣総退陣となるとその後の選挙の負け方が半端ないものになるので、こうした状況を比較考慮した結果、負けが少ない方を選んだのではないでしょうか。それがなければ続けたと思います。このままだとやられてしまうので増税延期と言って解散、選挙が終わってから再び内閣改造して問題がくすぶっていた2閣僚を排除すれば収まる話です。
黒田さんが大きな緩和をして株価が大きく上昇したのは意外でした。あの瞬間に大規模な緩和をするとはほとんどの投資家が読んでいませんでした。3連休前だしGDPも悪そうという見通しが出始めてポジションを手仕舞う人が多く、空売りしている人もいました。そのように市場は下を見ている状態だったので空売りしていた人は黑田バズーカ第二弾で急いで買い戻しました。また、海外の投資家にとっても買わずにいると世界の時価総額比率的に劣後するだろうというので買いが入りました。奇襲は大成功です。
日銀はマーケットを食い止めるから増税して欲しいと願っていましたが、安倍さんが政治的にもたないので延期ということになり、結果的に日銀からのメッセージを裏切る形になりました。
今後どうなるかというと、一回引いてしまった金融緩和を逆戻しにすると副作用が大きいのでやり続けるしかありません。そのまま第三弾、第四弾と。増税ができない場合1000兆円の債務の価値をなくすにはインフレにするしかなくなります。そこでテンポが変わりました。
「インフレになるかもね」から「インフレにならざるをえない」へ相当舵を切りました。マーケットサイドや外人はそれを知っているので円安になっています。経済に関係なく日本株も買い始めました。日本人の多くは2割上がったからもういいよねとトレンドより基準で考えています。これらの数字で行動しているので2兆円分個人と機関投資家が売って、日銀と外人が買っています。この流れは当分続くのではないかと見ています。
激しい波が押し寄せてきているので3つのポイントがあります。
- 今までのやり方を踏襲する
地味で地道ないい会社に投資し続けます - ROE革命が起こる
大企業の非効率を攻撃されるようになり、ROE向上をせざるをえない会社へ投資します。ひふみにも徐々に大企業が入ってきていて、例えば富士写真フィルムはエボラの治療薬ではなくROE革命で買っています。 - マーケットがロックンロール
激しいマーケットに対応する売り買いが多少あると思います。