インデックス投資ナイト2014 1.11新宿大決戦が開催されました。
日時:2014年1月11日(土)16:00〜19:30
場所:新宿FACE
第一部:I-1グランプリ2014 1.11新宿大決戦
出演:タカちゃん、マスクマン@新宿、イーノ・ジュンイチ、吊られた男、個人凍死家テリー
第二部:「NISAメッタ斬り!」
出演:島田知保、竹川美奈子
司会:イーノ・ジュンイチ
第三部:座談会「新時代のインデックスvsアクティブ最終決戦」
出演:今井幸英、平山賢一、藤野英人、山崎元
司会:カン・チュンド
第3部「新時代のインデックスvsアクティブ最終決戦」
出演:今井幸英(日興アセットマネジメント)、平山賢一(東京海上アセットマネジメント)、藤野英人(レオス・キャピタルワークス)、山崎元(楽天証券)
司会:カン・チュンド(晋陽FPオフィス)
(個人的な)重要ポイント
- イケてないパッシブ運用の皮を被ったようなアクティブファンドが多い。そうなる背景として年金運用などで成績が下位になると解約されてしまうのでアクティブなのに他社と同じような値動きでちょっと勝てばいいという事がある
- パッシブ運用が有利というアメリカでの説にはファンド内のキャピタルゲインにも課税されるという税制の違いによる要因があることに注意。(日本ではファンド内のキャピタルゲインには課税されません)
- オールジャパン中小型株や等配分ポートフォリオのインデックスファンドは個人的にも欲しいところ。
- パッシブ運用では資産規模が大きければいいというものではない。新興市場など流動性が少ない場合、大きな資金が入っても指数銘柄を買い切れないことがある。フロンティア市場インデックスで時価総額の大きな銘柄に偏るのもこれが原因なんですよね。
- インデックス派は市場の値付けを受け入れ、アクティブ派は常に疑っている。自分はバブルとか暴落が起こるから疑っている方だな〜。上も下も行き過ぎを許容できないのでリスク低めな戦略をアクティブファンドで探ってます。
カン:第三部は白熱のディスカッションをお送りします。山崎さん、今井さんがインデックス派、藤野さん、平山さんがアクティブ派ということになっています。それでは、小声で他陣営のここが嫌いというのを一言添えて自己紹介をお願いします。
平山:小声じゃないといけないんですか?大きな声でいいますが、生きてる雰囲気がしない。ワクワクしないといけない。アクティブが大好きです。
藤野:なんでしょうね・・・インデックス投資というと女の子にもてなさそう。
今井:ずっとインデックスの仕事をしてきましたがアクティブの人を見るとうらやましい。楽しそうにやっているので。でも、それでうまくいっているように見えないところ。
山崎:昔FMのころはアクティブだったけれども手数料が高すぎる。あのサービスに対してあの費用は下品。他には宗教がかったところ。御利益があることが約束されていないのにお金をとるのは科学の世の中にどうだろう?
カン:会場の方に質問です。一番最初に買ったファンドはインデックス、アクティブどちらでしたか?アクティブは・・・結構多いですね。169人。それではインデックスの人・・・209人。拮抗してますね。(※数字はカンさんの目測です)
藤野さんに質問ですが、実際のマーケットでのインデックスとアクティブの比率はどうなんでしょう?
藤野:あまり気にしたことがないのでわかりません。平山さんがわかるのでは?
平山:売れ行きなど見ると8:2でアクティブが多いと思います。年金運用になるとインデックスの方が多くなりますが。
カン:それでは、今日この会場にいる皆さんはおかしい?
平山:人それぞれなのでいいと思います。合理的に考えるとインデックスに行くというのは私もわかります(笑)。変に宗教がかってないしコストが安い。合理的に考えていくとインデックスになりますよね。合理性を否定する人が売っているからアクティブが売れやすかったという背景もあると思います。
藤野:山崎さんがいうこともわかります。いけてないアクティブが多すぎるんです。
カン:藤野さんは著書でもいけてないアクティブが99%を占めると書かれてましたね。
藤野:そこまでは言ってません、90%です(笑)。
カン:どこらへんがいけてないアクティブなんでしょうか?
藤野:本当のアクティブが少ないと思います。インデックスに近い運用をしながらアクティブの信託報酬を取っているんです。ほとんど一緒の運用なのに信託報酬が高い。そういうのが多いです。
今井:今の会社に来る前に銀行系研究所にいました。そこで大手運用会社の日本株旗艦ファンドを調べてみましたが結果に愕然としました。指数に対してどのくらい違う銘柄構成や値動きなのかを表すアクティブリスクが低すぎるんです。インデックスファンドに近いファンドも多く、それで信託報酬を1.5%とるのはどうかと思いました。
山崎:推定トラッキングエラー(アクティブリスク)でどれくらい?
今井:5%くらいとらないとどうしようもないですが、その半分くらいでした。
山崎:やりそこなったインデックスファンドみたいな。
カン:なぜ、こういうのがふえたんでしょう?
平山:周りを見て運用する人が多いからですね。アクティブのファンドマネージャーにとって競争相手は他社。そうすると他人よりちょっと良ければよく、逆に大損したらやばいことになります。
カン:それがアクティブでは?
平山:そんなやりかたをするとどんなに巧いマネージャーでも指数に対して1%くらいしか勝てません。でも信託報酬はそれより高い。すると負けるのは当たり前です。周りと同じ事をしてちょっと色をつける運用をしてしまいます。
山崎:FMが11人だけの世界を想像してみてください。その中に一人インデックスがいると仮定すると彼は毎年6番前後をとることができます。年金運用だとまずかった下位2社が解約されことになりますが、インデックス運用の彼のポジション(真ん中あたり)だとクビを切られません。
アクティブはお互い売り買いするのでトレーディングコストでも負けるしフィー(信託報酬)も高い。長くやればやるほど真ん中をとってる人が勝ちやすくなります。アクティブな人はリスクも高まるので分散されてリスクの小さなポートフォリオが相対的に有利。だんだんそっちに近づいていきます。
藤野:今の話を聞いていて思い出したことがあります。レオスを起業した頃、某大手投信会社の専務とご飯を食べました。その席で一緒に来ていた若手社員を専務が「こいつはうちの金の卵だ。」と話していたのですが、その彼から翌日自分宛に「レオスに入社したい」と電話がかかってきました。
「君は専務に金の卵と言われているし、期待されているんだから今の会社に残った方が得だと思う。」と言ったけれども「とにかく一回話を聞いて下さい。」と言われて話を聞くことになりました。
彼はいいアパレルの銘柄を発掘して3〜4倍になると思って提案したのですが、先輩FMにその銘柄は却下されました。後で先輩に飲みに行こうと言われ、その席で「もっと大人になれ。」と言われたと。「いい銘柄を選んだってどうせ評価されないんだから。東レでも推奨していろ。」と言われたそうです。
後日、やっぱりその銘柄が上がったので、こういう会社をいれたいとまた提案し、また却下されました。やっぱり先輩に飲みにつれていかれて、「○○先輩を知っているか?優秀だったけどある一年だけ成績が悪かったから支店勤務になって今では営業になったんだ。横を見て同じようにしてればビリにはならないぞと。」
僕もそれが嫌だから起業したので「わかった、レオスに来なさい。」と話しました。
カン:給与で評価されないんですか
平山:今はある程度評価されるようになりました。ただ、それが長い目で見たときに本当にそれがいいのかというのはあると思います。長期的にいいパフォーマンスを提供できれば給与がいいとか関係ない幸せを感じるのでは。
山崎:宗教がかってきた(笑)
平山:安定して一定給与があればいいというのが昔はそうでした。今は変わろうとしている会社が少しずつ出ています。
カン:アクティブ運用をしていて楽しいのはどんなときですか?
藤野:3つあります。絶対パフォーマンスでプラス、インデックスに勝つ、そしてライバルに勝つという事です。投資信託は毎日成績が出ます。成績で勝つことが大事。僕の価値はリターンをリスクでわったシャープレシオで見ています。リスクを低くしたいんです。
12年サラリーマンFMだったのでその中で生き残る必要がありました。下位1/4になると解約されたりクビになったりするので絶対にビリにならないためにはリターンのよさではなく、死なないこと。激的に悪い仕事を一回でもやるとゲームオーバーです。
カン:今井さん、インデックス運用で楽しいことってあるんですか?
今井:自分は実はパッシブ運用をした経験がありません。きっとそういう質問がくるだろうなと思ったので当社のFMに事前に聞いてきました。
共通していたのがエキサイティングではない。単調の繰り返しだということ。大きなファンド、小さいファンド、伸びている、伸びていないファンドといろいろありますが目立たないのをコツコツやるのがいいという人もいれば、注目をあびるのがいい人も逆にプレッシャーになるので嫌だという声もある。総じて草食系志向が強い人が多いようです。
山崎:パッシブマネージャって社内で評価高い人がやってます?
今井:きっちりやる人が多いので評価されている人が多いです。1日でもミスをすると取り返しできないので緻密にやる必要があり、自分には真似できません(笑)
山崎:あいつらちゃんと報われないとかわいそうだよね。
カン:キャラクターの違いはありますか?
平山:アクティブのほうが人間っぽい濃い顔をしています。インデックスは平安時代のような薄い顔の人。インデックスの人と飲みに行ったりは全くしません。宗教違いますから(笑)
カン:どうすればベンチマークを上回れますか?
山崎:運がよければじゃないの?
藤野:確かに運がよければというのもあるのですが・・・アメリカ株は自分にも勝つ自信がありません。アメリカは市場が効率的だから。日本の場合はあと10年は勝てると思っています。機関投資家の質が低くそこまで効率的でないと思っています。個別に会うといい人が、がんじがらめの中で非効率的な運用をしています。
そうしたマーケットに巨大な非効率があるんです。アメリカの本を見ると市場は効率的と書いてありますが、日本を見るとそうであった時期はありませんでした。しかもここ10年は非効率が強まっていました。
カン:どういうことですか?
藤野:リーマンショックの後、小型株のFMの90%が解雇されたりいなくなりました。そこに巨大な穴があります。コンプライアンスの縛りもあり、自由な運用ができなくなったり販売にドライブがかかって運用ではなく販売手法を担う投信企画に優秀な人が行くようになりました。
個人投資家もインデックス派が増えて穴が大きくなってアクティブ派にとって有利な非効率が生まれています。
カン:インデックス派が増えると出し抜ける機会がふえた?
藤野:増えたし、大きな会社の経営者の質が低いんです。そういう会社はめちゃくちゃパフォーマンスが悪い。そこを除くとパフォーマンスがいいのに。
かなりだめな経営者でもクビにすることができません。ドコモや三菱UFJFGなどは株価が激下げしてるのに2期4年社長をやってその後は会長をやっています。アメリカなら途中でクビになるのに。
アクティブなFMが少ないのでお前はクビだという人がいないんです。だから非効率が増えたんです。
カン:インデックス派はの人は今の意見をどう思いますか?
今井:効率性が高まっているかはよくわかりません。インデックスは今の価格を受け入れてるだけなので。アクティブ運用はまず市場がつけた価格を疑っているのでアプローチの違いだと思います。
山崎:率直に言ってアメリカも日本もそんなに変わらないと思います。アメリカを考えてみてもネットバブルも起きているし、所詮アメリカもそんなもんなんです。結局市場のウェイトを平均に買うのをインデックスと位置づけて他をアクティブにすると売買料などの面で相対的にアクティブはインデックスに勝てません。
まず市場の効率性を語るのがイケてない。チャンスがあるかないか。プライスが正しい時には馬鹿でもフェアでアクティブにはチャンスがありますが、彼らがどんぐりの背比べをやっている中でインデックス派は負け抜けを待っています。市場は効率的でないし、効率的になるとかそんな心配はいりません。ゲームの戦い方としてインデックスが有利というだけです。
カン:インデックス運用をされていてつらいなと思うことはなんですか?
今井:同じ事の繰り返しなんですね。決まり切ったことを毎日繰り返す。毎朝どれくらい指数とずれてるか確認して売買注文が入ってくるのを見ながら当日分の注文票を作り、執行された結果を想定して基準価額が最後に狙ったとおりか確認します。他に分割や配当などのコーポレートアクションによってどれくらいずれるか細かい作業の繰り返しです。
カン:ロマンはないですか?
今井:ロマンはないですね。
カン:アクティブはどうですか?
藤野:ロマンとかいうとどっかの運用会社のようになるし・・・
山崎:あと長期投資とかいうと(笑)
藤野:機械ではなく人間を評価するのがアクティブ。それができるのか?人間が人間を評価することにどうかというのはありますが、人間が評価しないといけないと思います。
平山:人それぞれ好きなことや興味があります。アクティブだからこそ、その興味にあった運用ができるんです。全てをそれにする必要はありませんが。海外ではデヴィット・ボウイの債券や自分の地域で夜回りとかして安全性を増すなど自分の住んでいる地域の不動産価値を上げようとする動きがあります。きれいごととリターンを一緒にしていくのも投資。自分の思いを社会に反映するツールです。
山崎:そういう事は他人の金でなく自分の金でやらないと
平山:人それぞれですね。公的年金でSRIはどう思うかという問題もありますが。
山崎:あれはだめ。自分のお金でやるならいいけど、他人のお金でSRIをすると買えない銘柄が出てきます。例えばたばこや武器関連など。JTがいくらいい株価でも買えないんです。それは受託者責任違反だと思うし、ぜんぜんイケてない話だと思います。年金の中にも投資で社会貢献だとかそういう連中にたぶらかされているろくでもない人がいます。
平山:いろんなSRIがあるので自分の好みにあわせて使い分ける必要があります。個人投資家は自分で好きなものを反映させたものを選べばいい。ただし、それだけだと偏るので(インデックスと)使い分ければいいと思いますね。
山崎:なんか怪しいな・・・(笑)
カン:インデックスにはアクティブが考えた結果をもっていくフリーライダー批判がありますが?
今井:市場にはアクティブとインデックスだけではありません。価格差を取るアビトラージャやマーケットメイカーもいて非効率な値付けを直しています。そんな単調な議論ではありません。逆にインデックスがなければアクティブが付加価値をとることがなくなります。
平山:アクティブがいい時と悪いときを繰り返すと思っています。今はアクティブがいいとき。だいたい20年単位で循環します。アメリカも80〜90年代はアクティブがダメでした。株価が右肩上がりで金利が下がっている時。チャールズ・エリスが『敗者のゲーム』を書いたのはこの時期の話。2000年代をアップデートした本を読むと違った議論がされている。
藤野:今の話を聞いていてそうだよなと思って話したいこと忘れちゃった(笑)
山崎:エリスは運用業界の人ですよね。すごいひとがやってるからアクティブは勝てないという運用業界に幻想をもたせる議論をしているのであれは正しくない。上げ相場でアクティブがいいといってる人は脳内が破綻しています。
平山:株価ではなく金利の話です。
山崎:特定のFMがやりやすいとかいうのはあるが、全体でどうというのはないのでは。
今井:アメリカの市場のパフォーマンスを見るときに注意する点があります。課税制度が日本とは違い、アメリカではファンドのキャピタルゲインにも課税されます。そのため、あまり売却しないパッシブ運用ではキャピタルゲインの課税機会が少ないというテクニカルな要因もあるのです。これはご留意いただきたい。
山崎:今日来た人は賢くなったね。
カン:例えば今の100倍の資金量が集まったらフィー(信託報酬)を下げるというのはビジネス上できますか?
藤野:当社のひふみプラスでは既に設計としてやっています。純資産残高が増えると段階的に信託報酬が下がります。これが誠実だしすべきことと思います。
山崎:先輩ファンドはなんでやらないんだろうね?
平山:年金では当たり前の話ですね。
カン:個人向けはなんでできないのですか?
平山:そうなんですよね。されている会社もちらほらでてきてますから。いいほうに収斂していくのではないでしょうか?
カン:コストが下がればインデックスとの競争力はあがりますか?
藤野:残高がふえると運用はやりにくくなります。どれだけ?ときかれたら100万円ならデイトレーダーなどどんな投資家にも勝てる自信はあります。ただ、デイトレーダーと違ってコンプライアンスや金融庁がいる中で戦うのはまた別のゲームになります。
1兆円でひふみをやってインデックスに勝つ自信はありません。そうなったらやりたい事は議決権行使をやりまくること。そうしないと儲からなくなるからです。アクティブのリターンと規模は関係があります。ただ、こうした事が大手の運用会社でできるか?というのは別問題。ブティック型運用会社だからできることだと思います。
カン:インデックスには残高によるしやすさというのはありますか?
今井:連動対象によって違ってきます。流動性がある指数であれば資産が多い方がいいですが、例えば日本の新興市場株は資金が多すぎると運用は難しくなります。資金が大きくなりすぎて流動性のない銘柄を買えないケースが出てきますのでやりやすい適正規模というのは指数それぞれによって異なります。
カン:議決権行使はパッシブでもやってますか?
今井:会社全体として議決権行使をやっています。
カン:個人投資家がインデックス運用とアクティブをどのように使っていけばいいと思いますか?
藤野:インデックス投資ナイトという名前がついている間はアクティブがいいと思う。投資ナイトになったら中立。逆にアクティブ投資ナイトになったらインデックスに。
平山:私はいい時が分かれると思うので。インデックスは普通時価総額加重になっていますが他に等金額ポートフォリオというのがあります。時価総額加重と等金額ポートフォリオを比較すると面白いんです。等金額にするとアクティブファンドに近い結果になります。サルが適当にダーツを30回なげた銘柄買うサルダーツと同じことになるんです。アクティブはほとんど儲からないから全体で見るとサル投げポートフォリオ(等金額ポートフォリオ)になる。2000年からはサルが勝っていますが、藤野さんも言っているので後10年は続くかな。
山崎:サイズ効果ですよね。(補足:小型株のリターンが大型株よりも相対的に高くなるということ。全銘柄に等しい金額で投資することで時価総額加重ポートフォリオより小型株の比率が上がります)TOPIXも等金額で作るとすればものすごいアクティブができますよね。
平山:それやんないといけないですよね。アクティブですから。
カン:そうなるとインデックスとアクティブの区切りはどこにあるんですか?
今井:インデックス運用からちょっとリスクをとった運用戦略もあります。投資成果をインデックスに似せるという意味で。
平山:等金額のETF欲しいんですよね。そうすれば僕は全部それにしますね。へそくりを除いて。
山崎:欲しい。
今井:日本だと指数があるのが前提になっているのでそういったETFはないです。TOPIX等金額は不可能に近いんです。小さな株もかなりあるので等金額買い付けるのは至難の技ですね。
平山:日経225とかJPX400とかでもいいんだけど。MSCIジャパンにはありますよね。
山崎:アクティブだと銘柄選択にこだわりがちだけれども、実はウェイトが大事。インデックスについて言うと用途がいくつかあります。統計的な意味、インデックスファンドのベンチマークとしての運用的な意味、デリバティブの原資産としての意味。日経225は統計的にもよくないし運用にもイケてないけどデリバティブの原資産としてはいい。
藤野:東証や日銀にもオールジャパンインデックスを作って欲しいと言っています。日本証券取引所の全銘柄を大賞とした指数。東証二部やJASDAQ、マザーズまで含めて。これが一番いいじゃないですか。時価総額加重平均にしないと運用上の問題があるので。できれば二つあればいい。オールジャパン指数と上位100社のぞいた中小型株指数があればいいと思ってます。もし、それができたらオールジャパン中小型指数と戦うのは嫌だけど。
カン:会場にいらしている運用関係者の方はぜひ見ておいてください。
山崎:インデックスファンドより安いアクティブは可能ではないですか?というツイートがありました。売買はインデックスは大変だけどアクティブはFMが選んだ銘柄をポロポロ売買するだけだし、アナリストの意見なんてきいてないし。
藤野:可能です。ひふみ投信でもアクティブファンドとして5年保有すると信託報酬を(通常の信託報酬と比較して)20%、10年保有すると40%下げています。運用残高が増えればもっと下げることもできます。弊社は現在23名でやっていますが例えば運用資産が2000億円のファンドであれば人数はあと3名も増やせばできるんです。経営努力が足りないという事です。
平山:アクティブがコストを下げていく中でパッシブもコストを下げて個人投資家にとってWin-Winになればいいと思います。
カン:手数料のようなコスト以外でインデックスファンドがアピールするポイントはなんでしょうか?
今井:頑張っているのは開示。毎日フレッシュな情報をBloombergに流しています。これはETFの歪みを正すアービトラージャーの為にやっていることでシステム開発が大変で経営に怒られながら続けています。自分も自分がつくったETFはすべて買っていますがどこまでコストを抑えられるか考えながらやっています。いまのところ今度出る新製品も業界最安値の0.1%。JPX400のETF(1592)です。
山崎:でもあれ指数がよくないよね。
藤野:よくない。もっといいもので作って欲しい。
今井:JPX400は全市場でいい銘柄を選定したインデックスで最大でも同じ銘柄を1.5%しか組み入れできないようになっています。例えばTOPIXでトヨタが5%組み入れられていたり日経225でファーストリテイリングが10%という偏りはなくなります。中長期的にはいい指数になっていくのではないでしょうか?
山崎:等金額がいい。入れ替えするのはあんまり好きでないな・・・
平山:インデックス派内で戦えばいいんですよ。
【質疑応答】
Q.インデックスマネージャーが増えたらインデックス投資にどういう影響がありますか?
山崎:大きな影響はないと思う。年金もそうなっているが自分はうまくやれると思う投資家が枯渇するということは考えられない。藤野さんみたいなひとが喜んでいい株を買ってくれるんだから心配するとかやましいとか考える必要は無い。
Q.インデックスファンドだと0になることはないが、ナンピン買いの是非について聞かせて下さい。
山崎:よくないと思います。そもそも買った価格にこだわることが良くない。自分が買った価格というのは将来に関係ない数字で天動説的な錯誤。いいと思えば買えばいいし、ダメだと思えば売ればいい。自分の買った価格は気にしなくていい。
藤野:簿価(取得価格)を忘れることが投資の極意。自分もほとんど覚えてません。下がったときでも簿価に関係なく、良くないと思ったら躊躇無く売ります。今の価格に対してどう思うかが大事で投資にとって最も関係ない数字が簿価。
カン:ファンドの業界のなかでここをこうしていきたいと思うことを最後にお願いします。
平山:ETFで等金額ポートフォリオのものを作ってくれればいいと思います
藤野:めちゃアクティブなファンドをやってるのでこっちに呼ばれましたが、インデックスが嫌いなわけではありません。ここの会場にいない人にもたくさん来て欲しいと思います。日本には投資家が少なすぎます。投資家がふえれば日本はもっとよくなると思います。
今井:今日はかなりアクティブな人が集まっていると思います。自分でどの指数がいいか選択をしているので皆さんはアクティブ投資家だと思います。そういった方に使いやすい商品を作っていきたいです。等金額ポートフォリオは以前考えたことがありましたがそうしたインデックスが認知されないと買ってもらえないのでやめた経緯があります。
山崎:インデックスについていうとアクティブなインデックスがあってもいい。インデックス投資にももっと広い可能性があると思います。それにしても運用会社の経営が悪すぎる。藤野さんのところのような独立系の会社が出てこないといけないと思います。親会社の金融機関の社長のなりそこないがやっているような運用会社が販売会社に売ってもらうためにぺこぺこしてるのはよくない。そういうものを買わないこと。そこから日本の運用を正していきたい。
カン:皆さんがポジティブな意見や感想を友人や知人に伝えて欲しい。投資信託を通じて皆さん自身が生活をよくすることだと思ってます。ぜひ宣伝してください。
【感想】
第三部はインデックス派として楽天証券の山崎元さん、日興アセットマネジメントETFセンター長の今井幸英さん、アクティブ派として東京海上アセットマネジメントチーフファンドマネージャー兼チーフストラテジストの平山賢一さん、レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者の藤野英人さん、そしてまとめ役兼司会がカン・チュンドさんという豪華メンバーでした。
平山さんは直販系ファンドにもよく組み込まれているTMA長期投資ファンドのファンドマネージャーさんで著書も面白い方なのでお話を聞くのを楽しみにしていましたが、かなりぶっちゃけた話をされる方でお話も楽しかったです。山崎さんは相変わらず突っ込みどころを虎視眈々と狙う刺客のような立ち位置でインデックス投資ナイトには欠かせない人ですね。藤野さんもサービス精神旺盛に話しつつ、今井さんがテクニカルな面を含めて引き締めるという最終決戦といいつつ楽しい座談会でした。
お酒が入りつつ(お酒が飲めない藤野さんは除く)ヒートアップしていく話を聞くのは楽しいですね。
多くの方に来ていただこうという努力の結果、ライブハウスという場所柄こうなったのはわかりますが、椅子の間隔が狭かったのとパイプ椅子で長時間というのはキツかったですがイベントは楽しかったです。あとは、テーブルがない人がほとんどだったので昨年までのように観客側が飲食しつつゆる〜く話を聞くという雰囲気はなくなってしまいましたね。
いつもはTwitterで中継しつつ、帰ってからツイートをもとに記事をアップという流れだったのですが今回は会場でメモをとってほぼそのまま第一部、第二部終了後にブログに速報版としてアップという試みもしてみました。第三部だけはアップし忘れましたが・・・二次会の後の帰りの電車の中でアップしました(笑)。
会場の雰囲気は変わりましたが、このイベントに参加することで楽しみながら勉強になることがたくさんあったのではないかと思います。個人投資家のレベルの底上げにも役立っているイベントなんじゃないかな。
東京だけでなく全国各地から来ている方もいらっしゃったので、ぜひ地元に帰ってからこの場であった事を周りの人に話したり伝えたりして欲しいと思います。
実行委員の方、登壇くださった方、そして会場にいらして素敵な雰囲気を作った参加者の皆さん、とても楽しい会でした。ありがとうございました!
【関連記事】