「うみやまあひだ 〜伊勢神宮の森から響くメッセージ〜」という映画で著者の畠山重篤さんを知りました。気仙沼で牡蠣の養殖をする一方、海にとって森が大切なものだと気づき、植林活動もされている人です。
映画を観ていてもただの漁師さんじゃないなと思いましたが、この本を読んで畠山さんの教養の深さ、そしていつも向き合っている自然から学び取る力、そしてそれを表現する力の素晴らしさに驚きます。少なくとも僕の知っている漁師さんでこんな人はいなかった・・・。
昔ながらの漁の仕方を振り返ると、そこに山の恵みがあり、分断される前の山の民と海の民の交流がいきいきと描かれていて、現代人が便利な生活を手に入れた一方、里山と人、そして海のつながりはこうして分断されていったんだなということがわかります。
気仙沼の山や海といった自然を通じて大きな循環の輪が描かれている姿を見ると物流が今ほど発達していなかった昔の日本はまさに循環型社会だったんだなと思いました。
モノという面では船、櫓、海苔柴といった木製品を海の民が山の民から手に入れる一方で養蚕の忙しさがピークを迎えるころには海の民が桑の葉摘みに働きに来ていたり。人やモノが地域の中でうまく循環していました。石油で船のエンジンを動かしたり、家の暖を取るようになったりするようになって循環の輪は地球規模での大きなものになり、地域の中で役割を持っていた森という資源は見向きもされなくなりました。
でも、実は海の恵みには森が大きな役割を果たしていたんです。畠山さんは長年の直感から森と海の関係に注目し、上流域に植林を始めました。そうした活動を続けるうちに山の民と海の民の交流が再び生まれるようになっています。
畠山さんに会ってみたいな〜!