いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

トレンド・アロケーション・オープン(トレアロ)の運用報告を5つのPでチェック

国際投信投資顧問のトレンド・アロケーション・オープン(以下トレアロ)が1月27日に第二期決算を迎え、運用報告書が発行されています。第一期は組み入れているファンドがまだ決算を迎えていないため寂しい内容でしたが、二期目となった今回は充実した運用報告書でした。

 運用報告書:トレンド・アロケーション・オープン 第二期

どんなファンドかを目論見書から読みとる際には竹川美奈子さんが提唱するP-CCAPの法則がいいと思いますが、運用報告書からファンドを評価する際には機関投資家も採用している(らしい)5つのPという評価方法を使ってみるのもいいと思います。

P-CCAPの法則:
ポリシー(Policy)、コスト(Cost)、継続性(going-Concern)、資産配分(Asset)、パフォーマンス(Performance)

5つのP:
運用哲学(Philosophy)、人材(People)、投資プロセス(Process)、ポートフォリオの構成(Portfolio)、運用効果(Performance)

今回はトレアロを5つのPの観点でチェックしてみます。

また、不定期で発行されているKOKUSAI Fund Bridgeでも運用報告書の内容を抜粋してわかりやすく報告しているのでこちらも参考資料とします。

 トレンド・アロケーション・オープン 2回目の決算と直近の運用状況について

 f:id:m-at:20140329034131p:plain

運用哲学(Philosophy) 

目論見書によるとトレアロの運用には下記のような特色があります。

  • 世界各国の株式・債券・リートなどへの幅広い資産へ実質的に投資します。
  • 安定的な資産成長のために、市場環境に応じて機動的な資産配分を行います。
  • 原則として円建以外の外貨建資産については対円で為替ヘッジを行います。

人材(People)

運用報告書の1ページ目にファンドマネージャーのコメントが掲載されています。アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ヨーロッパ・ゲーエムベーハーのミハエル・スタモスさんという方が運用を担当しているようです。運用経験などは掲載されていませんが、それでも誰が運用を担当しているか書かれていますので、仮に今後担当者が変わった場合でもそれに気づくことができます。ファンドマネージャーの名前を公開した上でのコメントは運用報告において義務化されてもいいくらいだと思いますが、やっているファンドは数少ないんですよね。

投資プロセス(Process)

トレアロが主に投資しているダイナミック・マルチアセット・プラス・ファンド(JPY)は基本資産配分を行う「トレンド・アロケーション」、基本資産配分に対する微調整を行う「タクティカル・アセット・アロケーション」、下落リスクへの対応を行う「ダウンサイド・リスク・マネジメント」の3つの観点から運用を行っています。

基本資産配分はトレンドによる資産配分で各資産の価格トレンドが上昇トレンドの資産を多く、下降トレンドの資産を少なめに投資します。

ポートフォリオ構成(Portfolio)

2014年2月末時点でのポートフォリオは以下のようになっていました。実際の投資先となる商品について株式やリート、コモディティはETF、債券は現物への投資とすることで運用コストを下げるようにしています。

f:id:m-at:20140331004907p:plain

また、第二期におけるポートフォリオ構成の推移は下記の通りです。直近でまた低リスク資産を増やしつつありますが高リスク資産を60〜70%の割合で保有していたことがわかります。また、期首と比較してリートの比率がだいぶ少なくなったのと新興国株式の比率を上下させていたことも読み取れます。

f:id:m-at:20140331000936p:plain

運用効果(Performance)

トレアロの第二期騰落率は+6.1%でした。先進国の株式が堅調だったことから年間を通じてプラスで推移していました。為替ヘッジをかけているのと債券やリートなどへの分散投資を徹底した結果、2月末時点での標準偏差(1年)は6.34とモーニングスターのバランス型カテゴリー122本中1位になっています。

f:id:m-at:20140331005705p:plain

NISA向け商品として販売会社は増加中。個人型確定拠出年金へも進出。

 

トレアロは価格変動リスクを抑えた長期投資向け商品という事でNISA向け商品に位置づけられ販売会社は続々と増えています。純資産総額も3月28日時点で94億円と100億円も目前です。また、4月からは秋田銀行の個人型確定拠出年金(個人型DC)としても取り扱いが開始されることが発表されています。

実質保有コストは1.2%弱ですが、値動きを抑えながら徐々に資産を積み上げていくことを志向する人達にはよい投資商品だと思います。運用会社が情報公開にも積極的ですので、ゆくゆくはグロソブに変わる中核ファンドに育っていくといいなと思って見ています。(実際、うちの家計口座ではトレアロをメインにひふみプラスをスパイス程度に保有するように積立をしています。)