スパークス・アセットマネジメントが運用しているスパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンドは潜在価値と株価に乖離の見られる企業と「目的を持った対話」をすることで企業価値を高めることを目指すファンドです。
2016年5月末時点の月次レポートで企業へのエンゲージメント活動が実を結んだのではないかと思われる事例が紹介されていました。
ある企業へのエンゲージメント活動について
月次レポートに記載されていた部分を抜粋します。
エンゲージメント活動として、当月は投資先の一社である発電所の建設・メンテナンス企業の決算説明会に参加しました。説明会においては中長期的な成長戦略について説明がなされ、今後発電所の建設ラッシュが続くことを商機と捉え、売上、利益ともに拡大させる方針が打ち出されました。
同社がアナリスト・投資家向けの決算説明会を開催するのは今回が初めてであり、投資家との関係強化に向けて姿勢が変化したことが感じられます。また、純資産を大きく下回る現状の株価を課題と捉え、その一手段として自己株式取得を発表しました。
当ファンドの活動として、本年3月に同社の社長と面談をしておりますが、これは同社社長にとって初めての投資家との面談 だったとのことです。当ファンドでは2014年12月の設定来、当該企業に投資をしていますが、当ファンドを運用しているスパークス・アセット・マネジメントの活動としては2009年から当該企業と対話を続けており、信頼関係を構築してきたことから社長面談を実現することができたと理解しています。
ファンド設定前の2009年から当該企業と対話を続けてきた結果、アナリスト・投資家向けの決算発表会を行うようになったこと、自己株式取得の発表、投資家と社長が初めて面談するなど長年にわたって行ってきた対話が実を結びつつあることが窺えます。
ピカピカではなく、磨けば光るポートフォリオを磨き上げるファンド
日本企業ではROE(株主資本利益率)が8%を超えたあたりからPBR(純資産倍率)が1.0倍を超えるようになる特徴がありますが、このファンドが投資している企業の2016年4月末時点での平均ROEは7.3%(TOPIX配当込:1.17倍)、PBRは0.93倍(TOPIX配当込:1.17倍)、PERは12.7倍(TOPIX配当込:13.5倍)といずれもTOPIXの平均を下回っています。
これはブランド力などを持ちながらも経営に改善に余地がある企業に投資している事を表していて、これは一般的に想像されるこれから株価が上がりそうなピカピカの企業ではないポートフォリオです。
例えば投資先のヤマハは世界的な楽器メーカーとして確固たるブランドを持ちながら経営の多角化に乗り出してしまい業績が低迷しました。現在、本業回帰へ向けて動いている最中でこのファンドでは収益性の低い事業の処分や資産構成の見直しを通じたバランスシートの効率化を求めています。
運用報告
ファンドの運用報告動画がスパークス・アセットマネジメントのHPで公開されています。前半の6分がファンドの説明、後半6分が投資先企業についての説明です。
運用報告書(全体版)でも投資先企業の一覧やエンゲージメント活動について報告されており、業績が上がりそうな会社に投資するのではなく、業績を自らの力で上げる投資の姿を確認できます。
運用実績
運用開始から約1年半が経過しましたが、2016年5月末時点でTOPIX(配当込)を約10%超えるパフォーマンスを残しています。