ソーシャルレンディング事業をしているクラウドバンクの大前和徳社長が書かれたクラウドファンディングの本です。最近、流行になりつつあるクラウドファンディングについて基本から丁寧に解説しつつ、クラウドバンクが手がけている商品の説明もしっかりされています。
クラウドファンディングというのは一般大衆(クラウド)から資金調達(ファンディング)するという意味で、多くの人から少額のお金を集める仕組みのことです。
かつて銀行か一般庶民のお金を集めて事業会社に融資することで民間の力を生かしていましたが、インターネットの発達によりもっと少額でそのような事ができるようになりました。
クラウドファンディングには大きく分けて下記のような種類があります
- 非投資型 寄付型
個人やNPOが寄付を集めます。お金の出し手へのリターンはありません。 - 非投資型 購入型
NPOや会社がお金を集め、お礼として商品の事前購入権などがもらえます。 - 投資型 融資型
個人や会社に融資します。融資の金利に応じたリターンがあります。 - 投資型 事業投資型
会社の特定のプロジェクトに投資し、成果に応じたリターンがあります。 - 投資型 株式型
未公開会社の株式に投資します。2015年から始まる新しい制度です。
本書ではそれぞれの仕組みや実際にサービスを提供している会社などが紹介されています。
3章では融資型クラウドファンディングの例としてクラウドバンクの各種ローンファンドが紹介されています。不動産担保型、中小企業支援型など資金は欲しいけれども何らかの理由(短期間、少額、会社設立から日が浅いなど)で銀行からの資金調達が難しいケースにクラウドファンディングで支援しています。
また、マイクロファイナンスや再生可能エネルギー支援ファンドといった社会貢献的な側面を持ったローンも扱っているのがクラウドバンクの面白いところです。
4章では2015年から始まる株式型クラウドファンディングについてメリットだけでなくデメリットもしっかり説明されています。今のところこの分野について詳しく説明された本はありませんので、そういった意味でも貴重な本です。
クラウドファンディングはインターネットを使ってこれまでの金融では資金調達が難しかった層へ資金を供給する新しい形の金融です。金融とはそもそも今必要としていないお金を今必要としている所へ融通するのが役割でした。
銀行のような大所帯では難しい小回りの効いた働きが期待されている一方、詐欺なども心配されています。これは流行りそうだというところまで来ると雨後の竹の子の様に次から次へと新しいプレイヤーが登場して、粗悪な業者が紛れ込んでしまうことが(様々な業種で)往々にして起こります。
クラウドファンディングはこれからまさにそのステージへ向かうところだろうと思いますので、眠っているお金を少しだけ社会で生かしてみる一つの方法として検討してみてもいいのではないかと思います。
クラウドファンディングに興味を持たれた方が最初に読む本としてオススメしたいと思います。