"いい投資"探検日誌 from 新所沢

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています

お金の地産地消白書2014を読む会@東京に参加しました

5月8日に職場近くで開催されたこちらの会に参加しました。

『お金の地産地消白書2014』を読む会@東京
〜地域金融機関がNPO支援に本気で参画するには〜

日時:2015年5月8日(金) 19:00〜21:00
場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社会議室
主催:コミュニティ・ユース・バンクmomo
共催:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社ソーシャルエコノミー研究センター

愛知県でNPOバンクと呼ばれるNPO向けに融資を行っているコミュニティ・ユース・バンクmomoが発行した『お金の地産地消白書2014』を読み解くイベントです。この白書には副題として「地域金融機関がNPO支援に本気で参画するには」と書かれており、ただ制度を作るだけでなく意味ある形で取り組むための一歩となるような内容が書かれています。

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イベントではmomoの代表理事 木村真樹さんが白書の内容を説明するだけでなく、グループワークをふんだんに取り入れて参加者側も考えながら本気で読み解いていく内容でした。

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信用金庫さんでは地域密着型金融推進計画というのをたてているのですが、NPOへの融資を計画に組み入れているのは愛知県では15信用金庫あるうちの4金庫に過ぎず、岐阜県や三重県ではゼロです。

地域に深く根ざした地域密着型金融を目指すという理念がある信用金庫であっても地域の課題解決に取り組むNPOに融資という本業を通じて支援する事を計画としてコミットしているところは少ないのが現状です。momoでは計画としてコミットメントする信金をまずは過半数にしたいと活動しています。

地域金融機関が本業でNPO支援するメリット

地域の金融機関であった信用金庫も預金をどれだけ融資したかという預貸率は1998年に全国平均で70%を超えていたのが2014年には50%程度まで下がりました。その背景には預金の増加や融資先となる中小企業数の減少といった問題があるのですが、一方でNPOセクターは年々数が増えています。

NPOへ融資するというのは一見儲からなさそうなイメージがありますが、既にNPO向けに融資している金融機関の実績を見ると貸倒率はむしろ一般企業以下で、日本政策金融公庫でもNPO向けの融資を増やしています。

また、地域の課題解決に取り組んでいるNPOが活動資金を得ることで地域の課題が解決され、住みよい地域になるというような効果もあります。

地域金融機関のNPO支援の取り組み

momoの木村さんはNPOバンクを運営しながらも自分達の融資実績を客観的に見たときにこのままのペースでは課題は解決しないと感じ、地域の金融機関を巻き込むことを考えました。大事なのはあくまでも地域の課題が解決されることだという視点からの行動です。

白書ではNPOへの融資の事例として西武信金、京都信金、埼玉県、日本政策金融公庫の取り組みが紹介されていました。

また、momoが行った金融機関とNPOのギャップを埋めるプロボノプロジェクトについても紹介されています。これは信用金庫の職員さんが地域のNPOの社会的価値をSROIと呼ばれる指標を使って評価するのもです。NPOの活動が貨幣価値としてどのくらいの価値があるのか定量的に評価する取り組みの中でNPOとの相互理解を深めていきます。

民間企業に勤めているとNPOの人は利益を追求せずにきれいごとをしている人達という目で見がちですが、彼らの取り組んでいるインパクトを数値化、貨幣価値で表すことによって金融マンとしてNPOを顧客として認識するという効果があるそうです。

また、プロボノプロジェクトを通じてチームプロジェクトの経験や自己啓発、金庫内での人脈拡大など参加した個人にとっても効果があり、momoでは信用金庫の人事を含めて連携しながらプロジェクトを行っています。

こうした体験を通じてNPOの支援に本気で取り組む人が地域金融機関に増える事で制度だけ用意して活用されないといったような事が解消されていきます。地域密着型金融の目指すべき先にNPOがいるんだというメッセージがこの白書には込められています。

グループワーク後の質疑応答でもSROIの算出方法や向いている事業や向いていない事業などSROIの算出について活発な質問がありました。

感想

私も地方出身なので地元にいる頃は信用金庫さんは割と身近な存在だったものの、就職で東京に出てからは給与の振込先が都市銀行になり、住んでいるところも別に将来にわたって定住するつもりではなく、更には働いて稼いだお金も世界中に投資することで世界からの成長の果実を自分の生活に取り込むというように自分が住んでいる地域からどんどん自分の存在を切り離していたように感じます。

そんな投資を続けているうちに自分ばっかり稼いでも自分が住んでいる環境が過ごしにくかったら意味ないよな・・・という気づきから寄付をしたり、社会的投資に興味を持つようになりました。今回のワークでは地域の課題を解決するために自分が出来ることってなんだろうと改めて考えるきっかけにもなりました。

金融機関についても、地域の金融機関より都市銀行の方が便利なのになんであるんだろう?というような感覚でいたのですが、テラ・ルネッサンスの鬼丸さんからエコ貯金という地域のためのお金の循環を紹介していただき、地域の金融機関の役割について改めて認識したという事が今年の初めにありました。

結局地銀も地元に融資しないで国債買ってるだけだし・・・というようなうがった見方をしていたのですが、西武信金さんや京都信金さんのような地元への融資に本気で取り組んでいる事例を知り、信用金庫さんの見方が少し変わりました。

信金の職員さんが地元のNPOのSROIを算出する中でNPOに対する見方が変わっていくというのはいいですね。SROIの精度についてはまだまだ事例を積み重ねていく中で上げていくものという説明がありましたが、金融マンにとってなじみ深い貨幣価値でNPOの活動を評価することで見方を変える事がプロボノプロジェクトの狙いであり、NPOセクターにとっては最大の成果だと思います。

企業のCSR活動などを評価する評価機関からのアンケートも項目が細かくて答える方も大変だという話も聞きますので、きっとこのプロボノプロジェクトもNPOにとって負担がかかっていると思います。小規模であればこそきっと負担感は相当なものだと思うのですが、やっぱり民間企業とNPOセクターの間には壁があると思いますし、それぞれ違う価値観に基づいて行動しているのでSROI算出というイベントを通じて喧々諤々お互いを知るという事に価値があると思います。

お金の地産地消白書は地域の金融機関さん向けにNPO支援を訴える内容なので一般個人にとってはちょっとベクトルが異なるのですが、一部の預金は地域の金融機関にするのもいいかもって思える内容でした。

朝ドラの「まれ」の中で「土の人、風の人」という言葉が出てきて自分は風の人なんだなと思ったのですが、だからこそ土の人に憧れを持ち、応援しているんだと思います。

(たぶん)2011年に西粟倉村に行った時、ちょうどmomoレンジャーの人とすれ違い、西粟倉・森の学校の牧さんからコミュニティ・ユース・バンクmomoのことを聞いてからずっと興味を持っていたのですが、今回初めて木村さんにお会いし、取り組みを聞いてみて自分もmomoに出資したいと思いました。

京都にある信頼資本財団がやっていた京都信金との共同事業への寄付はしたことがあったのですが、自分で寄付先を探して寄付するのとは違う楽しみがNPOバンクへの寄付や出資にはありそうです。

今月の寄付:信頼資本財団 京都ソーシャルビジネス共感ファンド