10月30日(日)に八女市文化会館で藻谷浩介さんの講演をお聞きしました。
講演:「八女で考える里山資本」
講師:藻谷浩介さん(日本総合研究所調査部 主席研究員)
地域活性化とは何か?
地域活性化という言葉があちこちで聞くようになりましたが、藻谷さんは地域活性化というのは交通の便が良くなることでも、企業を誘致してくることでも、観光客がたくさんやってくることでもないと言います。
地域活性化というのは人口が増えること。
「若者が戻ってきて子供が生まれ続けることが人口増につながります。八女市の皆さんがすることは誇りを持って地域を次の世代に残すことです。」
という藻谷さんの言葉は地域活性化の根本なんでしょうね。
八女市の現状
藻谷さんは人口の動向を0〜14歳、15歳〜64歳、65歳以上、75歳以上の4つのカテゴリに分けて分析しています。
2013年1月1日〜2016年1月1日までの3年間の八女市の人口はどうだったでしょうか?
- 0〜14歳 -4%
- 15歳〜64歳 -7%
- 65歳以上 +3%
- 75歳以上 +0%
八女市は子ども世代が減っているものの現役世代の方が減少が大きく、大人が減っている程は子どもは減っていないという特徴があります。また、75歳以上がほとんど増えていない事から老人福祉にかけるお金がそれほど負担にならないと指摘していました。
一方でこの3年間のペースで人が減るとあと88年で人口がゼロになる勢いでもあります。15歳〜64歳の現役層を住民税を主に払う世代という風に見ると市の税収がこれから減っていくことが見通せます。
高齢化が進む都市部
八女市、勢いが無くなってきているのかな?と思った後は筑後市、九州を代表する都市で今最も人が増えている福岡市、日本の中心の首都圏、世界のトヨタ自動車のお膝元の豊田市、里山代表として宮崎県西米良村、島根県海士町の現状が紹介されました。
詳しい数字は藻谷さんの講演を聞いていただくとして、なんとなく持っている先入観を見事に数字で覆す結果でした。特に、豊田市のようにリストラをこれまでしなかった街では現役を引退した団塊世代がそのまま住んでいて、一方で機械化が進んで若い世代は増えないためびっくりするくらい高齢化が進んでいました。
昨今では工場を誘致してもなかなか雇用が増えないという事も起きていますし、色々とこれまでの常識を考え直す必要があるんでしょうね。
八女市は今が転換点
八女市はもう少しすると高齢化が落ち着いて子どもが増え始めるかもしれないというちょうど転換点に位置していました。
若者が一旦都会に出てしまうのは止められようがないけれども、地元に誇りを持って子どもを大切にしていると子育て世代が地元に帰ってくるようになるかもしれないというのは子育てが大変な首都圏に住んでいるとそうかもしれないなと思いました。
里山資本主義を簡単に言うとこういう事です。
- なるべく良いものを売りましょう
- 消費は地域の中で回しましょう
- 外部に支払うエネルギー代を削減しましょう
身近にある山の資本を生かしていきましょうというお話でした。
藻谷さんのお話は西粟倉、埼玉の三富に続いて3度目でしたが、今回も刺激的な内容でした。八女市はちょうど高齢化がピークに差し掛かろうとしているくらいのところで、福祉にあまりお金をかけずに済みそうというのは周辺都市と比較して有利だと思いました。
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