スパークスの阿部修平社長の最新刊です。スパークスの運用哲学が知りたくて買ってみました。
帯には2020年に日経平均は市場空前の4万円を目指すと威勢のいい言葉が書かれていました。
目次
第1章 デフレ環境下で強靱に鍛えられた日本企業
第2章 日本慶事亜はデフレのスーパーサイクルから解放された
第3章 日本株投資に一点の曇りなし
第4章 ソロスに学んだ株という恐るべき「知的兵器」
第5章 「富のブレイクスルー」チャンスをつかむ原理原則
第6章 五輪イヤー2020年に日経平均は「4万円」を超える
主な内容
日本企業は長引くデフレの中でも利益を上げられる筋肉質な体質に生まれ変わりました。政府、日銀などが揃って日本をインフレにしようとしており、2%のインフレが達成できた暁には日本企業の業績は大きく伸びることが予想されます。本来株価は長期的に上昇するもので長らく低迷していた日本株の今後は明るいというものです。
感想
昨年から始まった機関投資家と企業に長期的な視点での対話を促すスチュワードシップ・コード、ROEという資本効率を重視したJPX400インデックス、今年から始まるコーポレートガバナンス・コードなど次々と日本企業が海外の投資家から見ても魅力的になるように制度を変えてきています。さらに日銀は異次元緩和を行い、なんとしてもインフレに持っていこうと必死です。
小学校でインフレやデフレを学んだ時には値段が安くなるデフレの方がいいと思っていましたが、実際に自分が経験するとデフレはどんどん後ろ向きなマインドを生み出します。将来にも希望を持ちにくくなるし、考え方も保守的になりがちです。
インフレは確かに生活する上で苦しい部分もありますが、ちゃんと企業も儲かって従業員の給料も増えていけば国が元気になる活力にもなります。将来に希望が持てる世界というのは適切な水準のインフレの事をいうのだと思います。
正常なインフレ下においては長期的視点にたった成長企業への株式投資はしっかりとした成果を生み出せるやり方であり、良い会社を安く買い、長期的に投資するというのは投資の原則でもあります。巻末付録としてベンジャミン・グレアムとフィリップ・フィッシャーの投資哲学を紹介している点も好感を持ちました。
「投資とは価値と価格の乖離が解消されるプロセスに参加すること」
日経平均は足下で15年ぶりの高値となっていますが、一方で個人投資家の日本株売りが続いています。インフレの世界になることさえ出来れば一層の上昇が見込めるわけで、ここにも価値と価格の乖離が生まれているのかもしれませんね。
ひふみ投信の直近での投資行動もインフレがやってくる事を念頭においての行動ですので、ひふみ投信の投資家にとっても参考になるのではないかと思います。
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