いい会社訪問ツアー2日目は宇和島にあるベルグアースへ行きました。ベルグアースは道路沿いの看板もおよそ上場企業の本社の看板とは思えない素朴なものでしたが、こういうシンプルな本社屋は好感が持てます。
会議室で山口社長のお話を聞きました。
農業をする人は高齢化が進んでいて耕作できる土地も年齢とともに小さくなっていったりしています。メシを作る農家が百姓では食っていけないという現実を前に、じゃあ誰が食料を作るの?という事でメシを食っていける農業にしようと創業した会社です。
「メシが食えん人にメシを作ってもらってどうするんですか?」
山口社長から消費者に向けた問いかけは消費者側も真摯に受け止める必要があると思います。一番大事なのは生産者がもっと頑張ることと言いつつも、消費者にももう少し理解があればと話していました。
山口社長からは実家が農業と豆腐屋の兼業農家で豆腐の配達をしてから学校に行くと臭いがついていていじめられたけれども、子どもが集金に行くとツケで売っていた豆腐の代金を確実に回収できるという子ども時代の体験から商売人としてのノウハウを身につけたというようなお話がありました。
喜んでもらえればいい。そんな父親とは違う農業をしようと狭い農地でいかに儲けるか?を考えた結果、花作りを始めたら大赤字を出してしまいます。あれだけ跡を継げと言っていた親から頼むから農業を止めてくれと泣かれ、「わかった、もう一回やらしてくれ」と、今度はうまくやるからと苗を育てる事業を始めました。
その後育苗事業で収入も増え、いざ青色申告をしようと税理士さんに相談したら「どんぶり勘定やね」と言われて「いやいや僕はザルです」と答えたくらいだったそうですが、元銀行員の奥様が経理を立て直したそうです。
苗づくりはピークで坪あたり40万円稼いでいたそうですが(トマトだと坪1〜2万円、大規模農業で2.5万円くらい)、当時は死ぬほど働いていて正月の朝早くから畑に出ていたくらいでした。農業は生産性が低くて身体を使うか頭を使うかというと先に身体を使う人が多いんです。身体→頭→お金という順番なのをベルグアースは上場した以上、頭→お金→身体という順番で農業に取り組んでいます。そのくらいでないと若い人はなかなか農業が務まりません。
生産現場がヘトヘトになってはいい仕事ができないとベルグアースでは先を見越して大規模な投資を行いました。設備投資、人材への投資(昇級)、開発などです。
会社見学
続いて接ぎ木をしている現場も見学させていただきました。 手先が器用じゃないと出来ない仕事だと思いますが皆さん早い、早い。夏の繁忙期にはアルバイトさんも雇うそうですが、まずは練習をしてから実戦に投入されることになります。
受益者総会の女子社員トークで登壇した社員さんがハウスの中一面に広がる苗が感動的なので是非見て欲しいと話していた育苗ハウスです。閑散期だったので一面に広がる苗とはいきませんでしたが、ここ一面に苗があったら壮観だろうなというのは伝わりました。
計画に沿って苗を育てているので天候によっては計画以上に発育が進んだり調整が難しいそうです。まだ若い社員が自分の仕事をハキハキと説明している姿を見て受益者総会で壇上に上がって話していた女性社員の事を思い出しました。
いい会社の社員さんって本当に自分がこの仕事をして良かったと思っているからこそ、自然と笑顔でイキイキと質問に答えて下さるんですよね。
そして、その女子社員さんは仕事中にも関わらず接ぎ木の見学をしている時に顔を出して下さいました。結局、ちゃんとご挨拶できなかったのが心残り・・・。
続いて愛媛大学との共同研究施設へ。山の中に贅沢に広々とした施設が広がっています。
トマトも様々な方法で栽培されていました。
こちらではトマトを育苗ポットに入れたまま育てています。土に植え替えたりしないで済むので省力化が図れます。
こちらではトマトを縦方向に育てるのでは無く、横方向に育てることで農家が手に届きやすい高さで収穫できるようになっています。色々な方法があるんですね。
とにかく農家が農業だけでご飯を食べていけるように様々な研究がされています。
苗を育てているコンテナ。光、温度、風が管理されています。
ベルグアースではミニトマトのクリスマスツリーを予約販売中です。山口社長もベルグアースを応援することで農業を応援する事につながるので是非買って応援して欲しいと話されていました。うちでもロングタイプを1鉢購入しましたよ。(下の写真は受益者総会の時に展示されていたものです)
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