Fanetマネーライフに鎌倉投信の鎌田社長が「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」というコラムを書かれています。責任ある機関投資家の諸原則というのは投資と対話を通じて企業の持続的成長を促そうというもので今年度より実施されることになっています。
「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫〜投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために〜の確定について:金融庁
投資先の企業との対話を通じて企業の持続的成長を促すという言葉を聞いて思い浮かぶのがコモンズ投信と鎌倉投信なのですが、鎌田社長は制度の実効性を高めていくためになお議論が必要と書かれています。
- そもそも機関投資家の投資哲学や運用方針が曖昧であってはならない
- 投資先企業の株式を長期で保有する機関投資家はそもそも少数派であり、当コードに準拠しながらの短期売買はどう考えるのか
- 中長期的視点から投資先企業の価値拡大を促し投資リターンの拡大を図るとあるが投資リターンの概念が多様化している中でどう位置づけるのか
鎌倉投信は企業の持続的成長を促すだけではなく、同時に豊かな社会の形成に貢献したいという立ち位置にいたいという面もあり、日本版スチュワードシップ・コードで定義されている投資リターンの拡大を目的とした対話とは価値観が同じとは言えません。
先日開催された運用報告会でも日本版スチュワードシップ・コードについて質問がありましたが、運用責任者の新井さんは周りからは鎌倉投信が準拠しないでどこが準拠できるんだ?と言われているものの、制度で定義されている対話の目的で鎌倉投信の哲学と一致しない部分があるため検討中という回答をされていました。
個人的には準拠表明して欲しいと思っていましたが、確かに投資哲学と一致しない部分がある中で準拠表明するというのもよくないなと思いました。かといって、大手運用会社が準拠表明してきても本当に?って思うんだろうなというところもあり、悩ましいところです。
この制度自体は機関投資家に企業の成長による株価上昇を受け入れることになる長期投資を促すという意味で意義のある制度だと思いますし、制度の実施により投資先に責任を持つ株主が増えるという意味でも日本の株式市場の質がよくなるのかもしれませんね。(もちろんちゃんと実態が伴えばという話です)
制度を作って終わりではなく、実態を伴ってよい成果が出るようしっかり制度に魂を込めた運用をして欲しいと思います。