ポートフォリアが運用するみのりの投信が3月31日に第一期決算を迎えました。4月28日には運用報告書がリリースされましたので早速内容を確認したいと思います。
運用報告書の表紙には運用部長の立田さんとファンドマネージャーの金崎さんの写真が載っていて私たちがご説明しますと書かれています。最初のカラーページでざっくり要点を把握できる内容で丁寧にわかりやすく運用報告しようとしている姿勢を感じました。年次の運用報告書では現時点で日本で1番良い出来なのではないかと思います。
それでは投資信託を評価する5つのPで内容をチェックしてみましょう。
1.Philosophy=投資哲学
みのりの投信では運用環境にかかわらず、長期的に階段型に基準価額が上昇する絶対収益を目指しています。そのために時代の変化を読みつつ、世界から選び抜いた「剛・柔・善」に表される長期成長企業の株式に規律を持って集中的に投資をし、環境変化に合わせて柔軟に適応していきます。
また、金融庁が策定した日本版スチュワードシップ・コードで定義されているような投資先企業との対話を通じた長期的な価値の拡大とその結果としてお客様の資産が増えていくことを支援する運用を行っていると運用報告書の2ページ目で立田さんが書かれています。
2.Peple=人材
運用報告書の8ページ目に運用担当者の経歴が書かれています。また、ポートフォリア役職員のみのりの投信保有状況も開示されていました。社員11名全員が保有しています。
3.Process=投資プロセス
みのりの投信では種を蒔く、育てる、収穫するのサイクルを繰り返します。
- 種を蒔く
世界の環境変化をもとに「剛・柔・善」企業=種を世界中から選びます - 育てる
時代とともに変化する世界に、柔軟に適応し続けます - 収穫する
気候変化にかかわらず、階段型に上昇する基準価額を目指します
4.Portfolio=ポートフォリオの構成
3月31日現在で組入銘柄は21銘柄で株式比率は83.7%でした。16.3%の現金は株価が下落した際の買い付け資金として保有しています。日本電産や西島製作所、アスクルなどが基準価額上昇に寄与し、アダストリアHDは下落に寄与しました。
また、第一期において全売却した銘柄はありませんでした。今後の運用方針についても世界ではさまざまな二極化が進むと考えており、保守的な運用方針を継続する見込みです。
5.Performance=パフォーマンス
第一期の運用結果は+0.3%でした。これについて”資産は増えましたが、結果には満足していません。より良い銘柄の選択、より良い売買のタイミングを目指します。”とのコメントが書かれていました。
また、基準価額のリスク(変動幅)について上下に約5%と想定以上に動いてしまったと総括されています。みのりの投信では絶対的に資産をふやすのを目指しているため上下に変動することよりも資産がどの程度下落するかを本当のリスクと考えています。その意味で第一期は一時的に高値から9.5%下落したことについて今後さらに弛まぬ運用努力が必要と書かれていました。
その他
その他の項目で注目すべき点として日本の投資信託としてはおそらく初めて総経費率(トータル・エクスペンス・レシオ)を運用報告書に掲載しています。法律で定められている1万口あたりの費用の明細はもちろん書かれているのですが、1万口あたりの費用ではなく、パーセンテージで各費用と総経費率が明記されているのはわかりやすさという点で全然違います。義務づけられていないにも関わらず記載したことは素晴らしいことだと思います。
第一期の売買回転率は3.26でしたが、これは毎月順調にファンドの資産が増えていったことにより計算上大きく見えているものです。
まとめ
第一期は+0.3%ともともとそんなに値動きしないファンドになるだろうと思っていましたが、事前の想定以上に値動きしないファンドでした。それでも年間を通じて基準価額の上下幅が約10%でも大きいと認識しているようですので今後はさらにマイルドな値動きになるものと思われます。
1年目は様子見のため当初募集で買い付けた1万円をずっと保有していましたが、2年目も継続して様子見としたいと思います。
ファンドとしては今のところ少々期待外れの面もありましたが運用報告書は最初のカラーページで要点を説明したり、役職員がどの程度みのりの投信を保有しているのか開示していたり、総経費率を開示したりアメリカ的な情報開示がこれまでの日本の投資信託とは違うなと感じました。他の投資信託でもぜひ真似をして欲しいと思います。
直販だったレオスを辞めて間接販売で理想のファンドを追求したポートフォリアの「みのりの投信」ですが、運用成績がよくなれば月次報告や運用報告書を通じた丁寧な情報開示で投資家の支持も広がっていく可能性を感じます。
アベノミクス相場の中では強みを発揮できませんでしたが、大幅上昇した翌年に待ち受ける(可能性の高い)波乱の中ではひふみ投信設定直後にリーマンショックをうまく切り抜けた手腕が遺憾なく発揮されるかもしれません。
運用報告書も定型フォームではなく、このように個性が出てくるとアクティブファンドも検討しやすくなりますね。