日経オンラインでフィナンシャルタイムズの翻訳記事として「バリュー投資で成功するのは難しい」という記事が掲載されています。
バリュー投資と一口に言っても源流は2つあり、バスケットボールのチーム作りでたとえると以下のようになります。
- 全員の実技審査を行い、最も上手な15人を選ぶグレアム型
- 最も背の高い100人を選ぶフレンチ型。
ウォーレン・バフェットが父親の次に影響を受けたと話しているベンジャミン・グレアムは投資家はあらゆる株を大きな会社の一部と捉えてその会社を買うことで得られる資産の本来価値を見極めるべきといい、企業をどれだけ本来価値より安く買うかに焦点をあてています。
対してユージン・ファーマとケネス・フレンチは株価純資産倍率(PBR)から見て割安な株価で購入した株式のパフォーマンスは長期的に全体を上回るというバリュー効果に焦点をあてました。
ちまたに溢れるバリュー投資家はこのどちらかだったり両者のミックスだったりする事が多いのですが割と簡単にできるのがフレンチ型です。一般的にバリューインデックスと呼ばれているのもフレンチ型に属します。
バリューインデックスが欲しいと言うのは常々話していることなのですが、バリューインデックスって本当にバリューなんだろうか?というのも自分の中でもやもやしていた部分でした。自分の場合、グレアム型のバリュー投資家を目指していた事もありバリューインデックスに組み込まれる銘柄を見るとうーんと唸ってしまう銘柄が多かったのです。
例として大和住銀日本バリューファンド(黒潮)のポートフォリオを見てみます。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- トヨタ自動車
- 日本電信電話
- みずほフィナンシャルグループ
- 三菱商事
- 三菱電機
- ブリヂストン
- NTTドコモ
- 三井物産
- 野村ホールディングス
なんか他に割安な銘柄はないの?というくらい見事に大型株がずらりと並びます。また、昨日紹介したアムンディ・ターゲット・ジャパンファンドはポンと10年ぐらいほっといても安心なファンドを目指すとファンドマネージャーの鎌田氏が話すようなバリュー株ファンドですが、こちらはPBRを重視していながらも時価総額をあまり気にしないで投資先を選んでいます。
fund.nsjournal.jp » 「地味でもしっかりした企業はいずれ上がる」を経験から学ぶ ファンドマネージャーインタビュー
結局、どんな投資手法でも毎年、毎月、毎日総合インデックスに勝ち続けるというのはたぶん無理な話だと思っているのですが、バリュー投資と言いつつもそれってどの程度?という濃淡はしっかりと把握する必要があると思います。
冒頭に紹介したフィナンシャル・タイムズの記事でも
今日「バリュー投資」を標榜するファンドの多くが、本当にバリュー投資を実践しているとは信じがたい。またこういうファンドが投資家に、長期的に市場を上回るリターンをもたらす見込みがそれほどあるとも思えない。
と書かれていましたが、せっかく尖ったバリュー投資という哲学を拡大解釈してしまうと凡百のファンドに近づいてしまいます。投資しようと思ったファンドがどの程度の時間軸を想定してポートフォリオを構築しているのか?どんな事を考えてポートフォリオを構築しているのか?など把握してから投資したいところです。(個別株投資でバリュー投資をする場合はずーっと割安に放置されるバリュートラップにも注意が必要ですね)