いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

「貯蓄から投資へ」ではなく「FX、仮想通貨と一緒に並べるな!」じゃない?/本日のスープ100皿目

リレーエッセー「本日のスープ」記念すべき100皿目はrennyさんの寄稿です。

 

このリレーエッセー、

 

本日のスープ〜株式投資をめぐる三重奏〜

 

今回100皿目を迎えました!

 

毎回独自の味わいのスープをご提供してくださる、m@さんまろさんのお二方に心より感謝しています。また、このスープを楽しみにしてくださっているグルメ?な皆さんにも厚く御礼申し上げます。良いスープが出来るまで時間を要することもあるので、これからも不定期で継続して新しいスープをお届けできたらいいな、と個人的には考えています。

 

つみたて専業証券会社の新たな挑戦/本日のスープ98皿目 | 投資を楽しむ♪

 

この20年で改善された資産形成のための投信事情/本日のスープ99皿目 | rennyの備忘録

 

 

揃って先日営業を開始した「tsumiki証券」への期待を述べられていますが、私もお二方同様、大いに期待を寄せています。色んな意味で大胆で、ただ結構しっかりと練られた事業だと感じています。「株式投資を通じて時間をかけて資産形成する」というスタイルに全く馴染みのない、もっと言うと株式投資にネガティブ(怖い、難しい、自分には関係無い・・・)な先入観を持っている人たちに、どのようにしたら理解してもらえるだろうか、一歩踏み出してもらえるだろうか、ということに真摯に向き合ったからこその事業モデルではないでしょうか。まずまずの滑り出しのようですね。

 

つみたて専門のtsumiki証券、40代までが口座開設の90%を占めるほど若い世代を惹きつける| モーニングスター

 

最近感じていることがあります。

 

「貯蓄から投資へ」がダメ!

 

いつまで言っているのか、と。

 

金融庁の資料を見ても、このtsumiki証券のWebサイトを見ても、株式等のリスク資産と対比しているのは預貯金です。預貯金では利息がカスカス、ミジンコの糞("雀の涙"って見たことないですが目視できそうですものね)。それでいいんですか!?と。米国では株式等の割合が高くて、云々。。。

こういうお話がずーーっと繰り返されてきた。。。

結果、「株式投資を通じて時間をかけて資産形成する」の普及は今一歩。

 

預貯金では利息がミジンコの糞であること、

それは今の20-40代、みんな知ってます、分かってますよ、そんなこと。

 

でも、時間を掛けて資産形成、そんなの本当?株式投資?怖いじゃない?

それだったら時間を掛けるよりもっと手っ取り早い方がいいじゃない!

 

といった具合に、行動する人はFX、仮想通貨といった時間を掛けずに白黒ついてしまう方を選んでいるのが実態なのではないでしょうか。

FX、仮想通貨の取引をけしからん!否定するつもりはありません。

しかし、FXや仮想通貨と、「株式投資を通じて時間をかけて資産形成する」とはまるっきり別物、

一緒に並べるな!って思うんですよ。

お金を投じるところまでは同じかもしれませんが、投じたお金が何に置き換わっているのかは全然違っています。FXや仮想通貨に比べて成果を得るまでには相応の時間を与えなければならないのも大きな違いでしょう。そうした区別、違いこそハッキリと伝えるべきではないか、と最近強く感じます。

 

「時間をかけてじっくり育てる」その喜びや面白さ、最近の若い人には響かないのかな。手っ取り早くチャッチャッと済ませて手じまいするのがスマートだと考えるのですかねえ。

 

jnj_stock_calculator

 

 

 

http://www.investor.jnj.com/calculator.cfm

 

私が株式投資を検討し始めた頃、同じようなグラフをいくつか米国企業のサイトで見つけました。

「時間をかけてじっくり育てる」のを楽しむことこそが株式投資なのだ、とつくづく感じたものでした。

 

年配の方が詐欺的な商品で大きな損害を蒙ったというニュースや、年配の方をターゲットにした妙な仕組みの投資信託が設定されたというニュースを見るたびに、株式投資で「時間をかけてじっくり育てる」という考え方が根付いていないことを痛感します。

 

最後に、もう一度書いておきましょう。

 

FXや仮想通貨と、「株式投資を通じて時間をかけて資産形成する」とはまるっきり別物、一緒に並べるな!

 

renny@rennyの備忘録


【バックナンバー】

積立投資比率76%のファンドが問いかけていること/本日のスープ97皿目

2014年2月に始まった『本日のスープ 〜株式投資をめぐる三重奏〜』。97皿目はrennyさんからの寄稿です。

前回のまろさん、

 

積立投資が良質な投信を育てる/本日のスープ96皿目

 

「積立投資が良質な投信を育てる」というご意見、私も賛成です。

 

ところで「積立投資」から何を連想されますか。

 

「積立王子」

 

ご自身のブログ や 連載コラム で自称されているくらいですから、セゾン投信の中野社長を想起される方も沢山いらっしゃることでしょう。

 

そのセゾン投信で「積立投資」の実態はどんな感じかご存知でしょうか。

2017年12月にセゾン投信のファンドが11回目の決算を迎えたのですが、その運用報告書にこんなグラフが載せられています。

 

https://www.saison-am.co.jp/fund/master/_pdf/annual_report2_k_1712.pdf

 

65.8% という非常に高い値となっています。

 

過去の推移はこんな感じです。

 

  積立投資利用率
2007年12月 63.7%
2008年12月 64.7%
2009年12月 62.3%
2010年12月 61.5%
2011年12月 61.7%
2012年12月 61.4%
2013年12月 61.7%
2014年12月 64.4%
2015年12月 68.0%
2016年12月 67.1%
2017年12月 65.8%

 

最高値は2015年12月の68.0%でした。

 

しかし、日本にはこれよりもずっと高い積立投資利用率のファンドがあるんです。

セゾン投信を10ポイント以上上回っています。

 

2017年10月時点で 

 

76.4%

 

こちら の28頁をご覧ください。

 

そのファンドは

 

ユニオンファンド

 

といいます。

 

  積立投資利用率
2009年9月 65.6%
2010年9月 68.0%
2011年9月 72.0%
2012年9月 73.8%
2013年9月 75.1%
2014年9月 77.6%
2015年9月 77.6%
2016年9月 76.2%
2017年9月 76.4%

 

 

ユニオンファンドを設定、運用、販売する、ユニオン投信はその名前が示す通り、労働組合の皆さんがリードして起業された投信会社です。そういうことも影響しているんでしょうけれど、口座をお持ちの方の4分の3以上が「積立投資」を利用されているというのはとてもスゴいことだと思いませんか。月次レポートやコラムから丁寧に説明したいという意思を感じるのですが、そうした面もこの数字を支えているのだと思います。

 

201710_ユニオンファンド_積立投資_年代別平均額

 

年代別の月間の購入額を見てみると、年間40万円以内という方が多そうですね。

「つみたてNISA」にはピッタリ!だと思いませんか。

しかし、このファンドでは「つみたてNISA」の対象にはなっていません。

 

 

20180413_金融庁_つみたてNISA_アクティブファンド

 

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/26.pdf

 

 

つまり、

 

ユニオンファンドを毎月コツコツと積立投資している投資家は

税制優遇を受けられないのです。

 

ユニオン投信の体力、つまり、つみたてNISAを扱うだけのシステム投資が叶わなかったのかもしれませんが、それ以前に、金融庁が課した「コスト」基準で足切りになっていたものと想像されます。

 

おそらく、ユニオンファンドは(小規模ですが)積立投資比率は国内最高値でしょう。

 

「普通の人が普通に長期投資で資産形成をするため」という視点で良い投信を徹底的に探してみよう! という趣旨で選定されている「1億人の投信大賞」で上位入選も果たしています。「 過去36か月のうち資金純減月数13か月以上のものを除外」という選考基準もクリアし続けることでしょう。このファンドが登場した理由が「低廉なコスト」ではないことは明らかです。

 

コストの値下げ競争を促す(煽る?)ことが良質なファンドを育てることになるのか、 「ユニオンファンド」という存在が問いかけているように感じられてなりません。

 

renny@rennyの備忘録 


【バックナンバー】

「運用報告会」で長く愛されるファンドを育てましょう!/本日のスープ94皿目

2014年2月に始まった『本日のスープ 〜株式投資をめぐる三重奏〜』。94皿目はrennyさんからの寄稿です。

前回のまろさんのスープ。

 

投信版・料理の鉄人。そろそろできる?/本日のスープ93皿目

 

 

ファンドマネジャー同士が、自身の哲学・価値観、それを基にしたどんな行動でポートフォリオを管理しているかを、公開、かつ、ライブで説明する「投信版・料理の鉄人」がそろそろできるんじゃない?というコメントで締め括られていました。m@さんが「投資信託の顔が再び見えてきた/本日のスーフ゜92皿目」でも指摘されていました通り、 ファンドマネージャーを前面に押し出して投資家への情報開示を積極的に行うファンドが誕生し始めているのも確かですし、その機運が少しずつ高まっているのは間違いありません。が、しかし、他方で、ライバルのファンドマネジャー同士で真剣勝負を感じさせるような対決は、まだまだ実現しないではないか、とも感じています。私の全くの個人的な感触なのですが、ライブで対決となると、コンプラチェックなるものが単独の催し以上に幅を利かせそうですからね。

 

そこで、提案です。

「単独の催し」で結構です。

 

志ある投信会社、ファンドマネジャーの皆さん、

年に一度は、実際にファンドを保有している投資家を招いて

「運用報告会」をやりましょうよ。

 

直販投信会社の何社かが定期的に催している「運用報告会」やそれに類するイベントに足を運ぶと、様々なことをナマで体感することが出来ます。ファンドマネジャー、運用に携わる人たちの話やその場の雰囲気から「これからも引き続きよろしく」と確かめることもあれば、「うーん、なんかフィーリングが合わないな」と考え直すきっかけになることもあります。でも、そこに「投資」で一番大事なことがあるのではないか、と思うのです。運用を託す相手への信頼です。ファンドマネジャーにとっても資金を提供してくれている投資家の存在をナマで感じることには相応の意味があるのではないでしょうか。

 

もう一つ、この「運用報告会」で分かる重要なことがあります。それは、同じファンドを保有している投資家がどんな人たちか、ということです。ファンドマネジャーへの質問を聞いていると、それを感じたりすることができるのです。そこに集まっている投資家がどんな人たちか、はファンドのパフォーマンスを大きく左右しますからね。

 

「運用報告会」は

長く愛されるファンドを育てるための必須要素です。

志ある投信会社、ファンドマネジャーの皆さん、

ぜひご検討ください!

 

renny@rennyの備忘録


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