いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

株式会社eumoの事業内容 〜第1回 eumo world(eumoお披露目会)参加レポート 後編〜

11月29日に開催された第1回eumo world(eumoお披露目会)からeumoの事業内容を解説します。

eumoでは主に3つの事業を通じて共感資本社会を目指します。

  • 教育事業
  • 投資事業
  • プラットフォーム事業

共感資本を配る仕組みとしての投資事業、共感資本を循環させる仕組みとしてのプラットフォーム事業、共感資本を学び、感じる仕組みとしての人材教育事業は相互に関係し、どれか一つが欠けても共感資本社会は実現しないとeumoでは考えています。

3つの事業にはコミュニティレベルの一つとして「地域」が関係します。

共感資本を配る「投資事業」

出資を募り、集めた共感資本を配るのが投資事業です。eumoでは共感資本社会の手本となるような事業に資金を循環させるため、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイのような自己資本による投資を行います。

投資にあたっては投資先の議決権による経営権の取得を目的とせず、議決権のない優先株への投資を中心に行います。また、投資先の会社が「いい会社」として成長するようeumoが行う教育事業の受講と社員幸福度・成人発達段階調査を全役員・社員に投資契約上で義務づけ、将来的には会議室を1室、共有スペース(ユーモスペース)として提供できるようにします。

教育事業を通じてテクニックではない人間としての成長を促すことで「いい会社」の成長スピードを上げようとしています。投資先となるIKEUCHI ORGANICについても全員が受講することになります。

また、ボーダレス・ジャパン と連携してソーシャルベンチャーの起業家育成にも投資や支援を行う他、QWANと連携してコミュニティに関する支援、また、第一勧業信用組合をはじめとする地域金融機関とも連携しながら投融資を行います。

【プレスリリース】株式会社 eumo と第一勧業信用組合との連携協力に関する協定締結のお知らせ | 株式会社eumo 

【プレスリリース】カヤックグループ株式会社QWANとの地域活性化に関する協業のお知らせ | 株式会社eumo 

 

榊 正壽さん(EY新日本有限責任監査法人 シニアパートナー)

「アメリカではROEの世界はもうダメで、サステナブルなものへ新しい価値を探している。最近はシリコンバレーなどの新興企業もeumoのような事をやろうとしていてユーダイモニア研究所のツールが使えないか問い合わせが来ている。ピケティさんも言っているように分配の適正性がないと成長性がないというのは世界のトレンド。アメリカはお金儲けのためにそういった事をやろうとしているが、eumoは幸せにするために行う。」

 

古里 圭史さん(飛騨信用組合 常務理事 総務部長)

「飛騨信用組合では地域の事業者へ融資しているが、融資だけではなかなか地域のソーシャルベンチャーに支援の資金が行き届かないという事で飛騨信イノベーションパートナーズという子会社を作り、5億円のファンドを2本運用している。事業に寄り添いながら一緒に育てていく資金を株式でも社債の引き受けでもどちらでも行っている。融資ではなく社債にすることで事業者の毎月の返済が利息だけになり、より長い年限で関わることが出来ている。」

 

プラットフォーム事業(共感資本社会の熟成に向けた普及啓蒙活動)

地域などのコミュニティにつながるためのプラットフォームを構築します。プラットフォーム事業では人間力や幸福度、美意識など大切とされているものの曖昧だったものを可視化し、感謝や信頼関係などの関係性を価値かすることによってコミュニティとの関わりを通じた成長を促す仕組みづくりを行います。

ユーダイモニア研究所はプラットフォーム事業で曖昧なものを可視化する部分を担当しています。人は幸せの為に生きるのにお金が幸せにしてくれる幻想を持ってしまいます。その背景にあるのがお金ははっきりしているのに幸せはあまりにも曖昧すぎるから。そこをユーダイモニア研究所の分析や前野先生の研究で数値で計測できるようになってきました。それらを活用しながらeumoでは人間力を数値化しようとしています。

成人発達段階がある程度測れるようになったところで、それを生かしながら人材育成を行います。伊那食品工業に代表されるいい会社の共通要素として「美意識」と「人間力」があります。社員の人達が何をもって尊いとするかのレベルがいい会社では高いのです。伊那食品工業では社員が目指すのは出世ではなく先輩のような人間になりたいという人間力の向上です。結果として、誰も会社を辞めません。

eumoでは地域ポイント(eumoポイント)を使って共感資本を循環させようとしています。基本的な仕組みとしてはアプリを使って期限のあるeumoポイントを発行しますが、地域に行かないと使えないめんどくさい仕組みになっています。また、使えるのも地域活性化につながるような商品のみに限定しています。

eumoポイントはeumoに出資していただいた方への株主優待やeumoアカデミー受講者に発行され、それをeumoの活動拠点のある飛騨市などで使えるようにします。eumoを通じて地域の素晴らしい人やものに出会っていただきたいという想いがあり、人間力を上げるには素晴らしい人に出会うのが早いのでスマホで一緒に写真を撮ってeumoアプリにアップロードするとeumoポイントが得られるような仕組みを予定しています。

eumoポイントを利用する人はお店にとっての常連さんをおもてなしすることと一緒で数限りあるものは関係性の深い人へ。お金に色をつけようとしています。共感資本社会を実現していく中でお金の素材を徐々に減らしていこうとしています。第一次産業の人にとって今はお金に色がないので金額でしか測れないが、本来はそういうものではありません。社会のために一生懸命やった人の為のお金であれば命をかけたものを渡すことが出来ます。生産者がそうするためにはお金に色をつける必要があります。そうすることで親戚や仲間、常連を見分ける事が出来るようになるのではないでしょうか。

eumoポイントのアプリは2019年9月リリースを予定しています。

 

古里 圭史さん(飛騨信用組合 常務理事 総務部長)
「(飛騨市の地域通貨)さるぼぼコインは電子通貨と地域通貨の特徴を併せ持つ静的QRコードのスマホ決済システム。ユーザが自分で金額を入力することで加盟店にかかるコストを下げて地域の隅々まで拡がるようにした。開始から1年たって加盟店は地域の18%にあたる800店でユーザーは6000名弱になった。地域の中で地元に目を向けて消費活動をするようにしており、これからはいかに地域の中でメンタリティが変革していくか、経済的なお得ではなく地域の中で一定程度消費するような仕組み作りを目指している。」

 

榊 正壽さん(EY新日本有限責任監査法人 シニアパートナー)
「ブロックチェーン技術のマーケットが大きくなったが自律分散型でルールで統制しないことで問題も起きてしまう。しかし、参加者の人間性が良くなると問題なく流通できるようになる。そうするとこれまでの交換価値としての金融が本来の価値で運用できるようになってくる。」

 

佐藤 純一さん(株式会社QWAN 取締役)

「QWANは8月に設立した会社で来春から夏にかけて情報を出していこうとしている。親会社のカヤックが鎌倉で若い働く人が増えたが観光客価格でランチが高いので「まちの社員食堂」という共同利用できる社員食堂を始めた。地域の人気店が週替わりで料理を出してくれる仕組み。他にもまちの保育園など地域を活性化する取り組みをしている。

こうした事を鎌倉資本主義と言っていたが鎌倉以外でもやっていきたいという事で地域資本主義と呼んでいる。地域資本を「環境」「社会」「経済」の3つに分けて指標化した。コミュニティを濃くするとやがて資産になり豊かになっていく、関係するコミュティが多ければ多いほど豊かになるつながりが作る新しい経済を目指している。

(カヤックが手がける)ゲームの裏側はサイエンス。そのテクノロジー(ゲーミフィケーション+ブロックチェーン)を使って地域のつながりを作り出そうとしている。eumoは会社と人に根ざし、QWANの活動する地域の中でそういう人達を支援することで全体として成立するようにしたい。」

 

片山 健也さん(北海道ニセコ町 町長)

「ニセコ町はかつて450haの農地を持っていた地主が小作人に農地を解放した相互扶助のポリシーが根付いた町。環境や水は生命線だという事で将来世代に汚して引き継ぐことはしないとダム開発をさせないことを決めた。住民自治を徹底していて責任を取るのは住民であり子ども。子どもも住民自治に参加できる仕組みを徹底して行ってきた。地域通貨ブームの際にはいまいち乗らなかったがeumoの挑戦は日本の社会を変えるのではないかと感じて参加した。」

 

林 千晶さん(株式会社ロフトワーク 代表取締役社長)

「今の時代を生きている人間をアップデートするのにロフトワークがやっているクリエイティブが関われるのではないか。コンサルティングのように正しくはないかもしれないがどうすれば楽しくなるか、新しいものを作っていくことが出来るのではないか。社会が良くなるために難しいところにクリエイティブがはまる。2月の吹雪の中、飛騨に行って生き様の美しさにこれが日本の良さだと感じるものに触れてここに何か関わらせて欲しいと飛騨の森でクマは踊るを設立した。」

 

教育事業(共感資本社会の実現を担う人財を育成する)

eumoにおける大きな柱が人財教育事業です。鎌倉投信では100年後に残したい「いい会社」に投資を通じて応援するのを大きな柱としていましたが、eumoでは更に踏み込んで投資先の人財教育を義務づけました。こうする事でいい会社を更にいい会社たらしめることに積極的に関わっていきます。

eumoアカデミーでは地域の抱える社会的課題解決プロジェクトを自ら立ち上げ実践するとともに人間性の成長を獲得していくプログラムです。最初に1ヶ月間の基礎教育で固定感覚からの脱却をした後、5ヶ月間地域に行って地域の方と一緒にプロジェクトを立案するフィールドワークを通じて共感社会資本や自律社会の体感を行います。出口として立案したプロジェクトを自身で実行したり、地域には人が足りていない会社もあるので副業やパラレルワークとして参加することになります。

教育事業はトビムシの事業先でもある飛騨市のFabCafe Hidaの他、検討中の地域として北海道のニセコ町、島根県海士町を予定しています。人が成長したり、副業として関わったり、最終的には定年後でもよいので移住定住につなげていこうという狙いがあります。

eumoアカデミーの説明会を12月と1月に開催します。

2018年

  • 12月17日(月) 19時〜21時@乃木坂eumo office
  • 12月26日(水) 19時〜21時@乃木坂eumo office

2019年

  • 1月16日(水) 19時〜21時@乃木坂eumo office
  • 1月23日(水) 19時〜21時@乃木坂eumo office

説明会の申込は academy@eumo.co.jp で受付中です。

 

岩波 直樹さん(株式会社ワークハピネス 取締役)

「人間の成長の二軸として知識やスキルに代表される水平方向の能力と意識や認識に代表される垂直方向の心の成長があるが、水平方向はアプリの追加、垂直方向はOSのアップグレードに例えられる。垂直方向の成長は成人発達や心の成長であり、意識や認識が変容する。合理性と数値の正解からステークホルダーバランスやSDGsの世界へ向かおうとするとOSがアップグレードされ、追加されるアプリも変わってくる。水平方向は自分が頑張ればできるが、垂直方向は一人だけで抜け出す事ができない。そうした人間性の向上をが無ければ堂々巡りになってしまうので2019年4月にeumoアカデミーを開講予定。」  

 

渋谷 行秀さん(MS&Consulting 常務取締役)

「(人財育成をしていく中で何が難しいか、重要か?)

130名の社員とミステリーショッパーが45万人いて、7万店舗の顧客満足度や従業員満足度を覆面調査している。その中で働いている人がいかに働きがいがあるか、チームのみんなが働きがいがあるか、尊敬できる上司と仲間、仕事が飲食であっても必要とされている実感、自信を持って提供できるものがある誇りが大事なのではないか。

成人発達理論には共感した。人財育成で創業社長の訓話なども大事だが人材を段階に分けて一つ上の段階からいい影響を受けるのが大事。ちょっと前を行く人のナレッジが必要で、優秀な人のノウハウを全員に教えていてもうまくいかない。」

 

鈴木 雅剛さん(ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長)

「ボーダーレスジャパンは2007年に創業した会社で貧困や差別偏見など社会問題に苦しむ人が多くいる中で社会問題を解決する事業しかしていない。これまで9ヶ国11拠点で23事業をしているが、自分達だけではすべての課題に取り組めないので社会起業家を生み出すボーダーレスアカデミーを始めた。現在49名がビジネスプランを練りながら起業準備している。

(人間力を高める仕組みを作りたいときどうしたらよいか?)

みんな夢や志に向かって突き進める時が一番幸せなのではないか。そう言うと気持ち悪く感じることもあるが、本来それはあっていいものだと思う。子どもの頃の将来の夢がケーキ屋さんやプロ野球選手だったのが大人になると・・・というのをどう解きほぐすか。固定概念を取り崩していく。力はみんな必ず持っていて誰かが喜んでくれる。まずやらせてみて現実を知った上で顔の見える関係性の中で自分の在り方を確立していくのではないか。」

 

まとめ

eumoアカデミーの受講など都会で獲得したeumoポイントを使いに地域に行くことはeumoが支援している会社のお客さんを都会から地域に送り込むことに相当します。鎌倉投信でもいい会社ツアーなどで投資先のいい会社を受益者に紹介してきましたが、eumoではより直接的に支援している会社や地域の消費活動まで促す仕組みを作りました。そして、投資先の会社の社員教育を通じてより早くいい会社として成長するように会社の内部からも支援をします。

お金を出すだけの金融ではなく、共感というキーワードで人、もの、お金、情報を集める機能としてのeumoという表現をしていますが、より多面的にいい会社の起業や事業を支援する会社だという事がわかったお披露目会でした。

 

eumoを知る上での参考図書  

持続可能な資本主義

持続可能な資本主義

 

新井さんが書かれた著書。「誰かの犠牲で成り立つ経済を、終わらせよう。」という帯の文章がすべてを表しています。 

鎌倉資本主義

鎌倉資本主義

 

eumoと事業連携した株式会社QWANの親会社でもあるカヤックの柳澤さんが書かれた本です。鎌倉資本主義から始まり、レイヤーを一つあげて地域資本主義へと昇華しようとしています。地域資本主義の考え方を知るのにちょうといいタイミングで出版されました。  

幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える

幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える

 

鎌倉投信の流れからeumoを見ると、持続的幸福って何?それがどう事業に関係するの?という疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。企業経営でなかなか論じられてこなかった社員幸福度について書かれた一冊。

金融排除 地銀・信金信組が口を閉ざす不都合な真実 (幻冬舎新書)

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新井さんがeumo設立のきっかけについて説明する際に話していた橋本卓典さんの著書。IKEUCHI ORGANICの事例が書かれています。  

 

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