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"いい投資"探検日誌 from 新所沢

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています

食べる野菜×食べない野菜@IKEUCHI ORGANIC TOKYO STOREへ行きました(1)

京都市から「これからの1000年を紡ぐ企業認定」を受けたIKEUCHI ORGANICと坂ノ途中のコラボレーション「食べる野菜×食べない野菜」の発売を記念したトークイベントレポートの前編です。

両社ともオーガニックにこだわりを持った代表だなと感じるトークでした。

坂ノ途中コラボBOX発売記念トークイベント
 日時:2016年10月20日(水)19:00-21:00
 場所:IKEUCHI ORGANIC TOKYO STORE

ゲストスピーカー
 小野邦彦さん(坂ノ途中代表取締役)
 池内計司さん(IKEUCHI ORGANIC代表取締役)

ファシリテーター
 大室悦賀さん(京都ソーシャルイノベーション研究所所長)

未来からの前借りでない農業を 

大室:
利益だけでなく社会にもインパクトのある新しい経済について考えています。

京都市からこれからの1000年を紡ぐ企業認定を受けた両社の縁で開催されるイベントですが、ここにいる三人とも京都と関係ないので自分だけでも京都っぽく和服にしてみました。

坂ノ途中もIKEUCHI ORGANICも本質的なところを今までとは違う形でやっている本物の会社です。

まず最初にどんな事をしているのか聞きたいと思います。

小野(坂ノ途中):

僕らの会社では野菜を売っています。

どんな野菜を売っているかというと農薬や化学肥料を使わない特徴のある野菜です。
では誰の野菜を売っているかというと新規就農者です。これは日本で最初の例で、世の中は新規就農を後押しする一方で売る先はなかなか無いという崖から突き落とすような事をしていて死屍累々となっています。

八百屋をしている他レストランに卸していたりネット販売もしています。

現代農業は危ういと考えています。どんどん低コスト、省力化が進んでいますが、それは環境への負荷が高いという事です。これは将来的への負荷で、私たちは「未来からの前借りでない農業を」と呼んでいます。

しかし、現実的にはなかなか変わりません。

既存の農家に変わってもらうのはそれなりの理由があって今のやり方をしているので難しい一方で農業をやってみたいという人も都会にはいます。

空き農地に新規就農する人たちがいます。新規就農者の作物は少量不安定になる傾向にありますが、安定供給しないと売れない現実があります。

また、収納前の事前準備にお金かけすぎ、就農してからの低収入に悩んでいます。私たちはこうした少量不安定の野菜を集めて、全体として安定した形で売るようにしています。

出荷先からもこれまで新規就農者の野菜は量が不安定だったけど坂の途中だと安定していると言われています。

実は新規就農者には知られざる強みがあります。それは嫌々働いている人がいないということです。しっかりやる気を出してやっているので実は意外なほど美味しいのです。そして挑戦意欲が旺盛なので新しい作物にも柔軟な栽培をしてくれます。

そうした野菜をネット通販で定期宅配しています。ただ、ネット通販は同じような野菜が続いて飽きる人が多いのですが、様々な野菜を取り扱うことで続けていただき、野菜嫌いの子供も楽しみにしているという声もいただいています。

京都市の中京区では坂の途中の無料チケットがもらえます。子育て中の人達がメインのターゲットなので知ってもらうきっかけになっています。

就農希望者に対して研修する場ということで一緒に自社農場で働いていただくこともしています。

ウガンダのごま油の話をします。

乾燥してても育つのがごまです。ウガンダのごまは小さいのですが、皮が厚い特徴があります。皮は香りを出しますので、それを生かす焙煎をしています。

ほかにもラオスで焼畑してた人達に就農支援をしています。
焼畑農業は10年サイクルで次々畑をまわっている間に最初の畑が回復しているというものだったのですが、最近では3年サイクルになってしまって土に負担がかかっていました。

焼畑では土に負担がかかるので日陰でも育つコーヒーを手積みで高品質なものを育てています。

また、坂の途中は移住者の巣にもなっていて、人材募集をしています。

池内(IKEUCHI ORGANIC):
坂の途中の定期宅配をしていますが、前の週にメルマガでどんな野菜が届くかお知らせが来るんです。でも、全然予定していなかった野菜が届くのが面白いんです(笑)

小野:
補足すると色んなところの作物を収穫してみて実際に送るものを選んでいます。

事前に何が届くか知りたいという声に応えてメルマガでたぶん今週はこれっていうのをお伝えしているのですが精度がめちゃくちゃ低いんです・・・。

安全性にとことんストイックに

池内:
これが本当のオーガニックだという感想です。届く野菜の色がいいんです。
半分は知らない野菜が届くので植物図鑑のようで楽しいです。

池内タオルからIKEUCHI ORGANICに社名を変えて三年たちました。

これまで60年かけてやってきましたが、3月1日に社名を変えた時点で全ての商品をオーガニックコットンにしました。

すべて100%エコテックスのクラス1認証を取得し、もちろん今治タオル認証も取っています。今は社長ではなく代表になり、管理については後任の社長に任せてものを作ることに専念しています。益々ストイックになりました。

次の30年では赤ちゃんが食べても大丈夫なタオルをということで食べ物工場のISO認証を取りました。どこまですれば安全だと思ってもらえるかもう少し徹底的に取り組もうと思います。

先日、パナソニックのCMにIKEUCHI ORGANICのタオルが使われました。
洗濯機のCMですが、登場するタオルは全部IKEUCHI ORGANICでまるでIKEUCHI ORGANICのCMのような出来でした。

パナソニックの同窓会で裏で何をしてるんだと言われましたが、何もしてないよと答えました。店ではミレーの洗濯機を使ってるし・・・。

また、IKEUCHI ORGANICのブランドムービーを作りました。

いずれ、皆さんの手許にある商品のコードでいつどこの綿をというトレーサビリティしようとしています。楽観的に考えてコットンヌーボー2018からになると思います。

オーガニックではない綿は食べない野菜なので食べる野菜ではやってはいけないことを激しくやっています。

うちがIKTを始めた17年前は遺伝子組み替えは使われてませんでした。当時はまだできたての技術でしたが、ここ10年でほとんどのコットンが遺伝子組み換えになりました。

細胞の中で農薬成分を持つように遺伝子組み替えしていて、虫は死ぬけれども人間は大丈夫と言われています。

インドで遺伝子組み替え綿の後、牛や羊を放牧すると牛は大丈夫だが羊は2週間で死んでしまうと言われています。

オーガニックに取り組むきっかけ

大室:
なぜオーガニックに取り組むようになったのでしょうか?

小野:
昔、バックパッカーだったんです。

世界中を旅していて思ったのは田舎ほど面白いということです。
特にチベットが好きで高地なので生息できる動植物が少なく、シンプルな生活を送っていました。ヤクの糞を燃料にしたり乳でバターを作ったり循環していたんです。

また、遺跡が好きでいろいろ行ったのですが遺跡は世界中にあるんです。そこで社会が滅んだ残骸を見ていることに気づいて怖くなりました。努力しないと社会は終わると思ったんです。

どうせなら社会の寿命を短くしない仕事をしたいと思いました。

日本ではオーガニックなだけで良いとは言えません。

しかし、農薬や化学肥料は便利な大発明でした。化学肥料は人間でいうユンケル。すぐ効いてすぐ元気になるんです。

でも、子供をユンケルで育てるとパッとしない子供になるでしょう?

野菜も生存競争してる中、ユンケルで無理矢理元気にした本質的には強くない野菜では虫や草、菌に負けてしまいます。そこでこれらから野菜を守るために農薬が必要になります。

虫も生態系の一部なので虫を減らすと土中の微生物が減ってしまいます。これらが大きな有機物を分解して植物に栄養を届ける役割をしていました。

化学肥料と農薬を使うということはユンケル投入→虫死ね→育ちが悪い→再びユンケルという悪循環です。

微生物の量が少ないのが一般的に言われる痩せた土地です。そうした土地では根もあまり張らないので肥料が雨で流れ出ます。するとチッソが地下水などに流れ込んで海へ行き、赤潮などを引き起こします。

日本はそれほどでもありませんがメキシコ湾には日本以上の面積でデスゾーンができています。

日本は化学肥料という形で世界中からチッソを輸入してお金をかけて土壌の有機物を分解する微生物を投入しています。

坂ノ途中の取引先農家はこうした環境への負担を考えてやっています。

池内:
1999年にオーガニック120を発売しました。その頃は「オーガニックは枯れ葉剤を使うべきでない」と言うのがキャッチフレーズでした。

綿は虫に弱いんです。そこで世界中の農薬の60%が綿畑で使われていました。さらに機械で収穫すると茎の汁がコットンボールにつくので枯れ葉剤で枯らしてから収穫してました。

その後、安全の意味が変わってオーガニックコットンの畑に遺伝子組み替えの種が混ざるようになりました。

今は世界の綿の80%がインド産です。しかし、インドで育てている綿は種ができないので種屋から種を買っています。その種に遺伝子組み換え綿が混ざる量がどんどん増えているのです。

2年前には買った種の1/3が遺伝子組み換えでした。遺伝子組み換えかどうかは発芽してから試薬でわかりますが、それはオーガニックとしては売れません。通常の綿として買い取ることになります。

コットンヌーボーは日本で初めてタンザニアのオーガニックコットンが入りましたが、今はインドと半々くらいの比率です。遺伝子組み換え種子の混入でインドはこれ以上オーガニックコットンを増産できない状況です。

仕入れ先のBIOREの契約農家は時間をかけて自分の種で育てるように取り組んでいますが時間がかかります。

綿の繊維長が長いほど細い糸を紡ぐことができます。一番細い糸はワイシャツに、次がニット、その次がタオルでジーンズ、靴下と続きます。インドの自分の畑で種を育てるオーガニックコットンはジーンズ向けの品質というところです。

遺伝子組み換え種子の混入は年々増えていて5年くらい前に訴訟も起きています。

農業をやるには雑草を枯らす必要があり、綿が枯れない除草剤が求められました。
初期の遺伝子組み換えでは除草剤のラウンドアップを撒いても枯れない綿が作られましたが、今は虫を殺す成分を体内でつくる綿になっています。

食べる野菜では考えられないことです。

小野:
遺伝子組み換えはコーンとかは入ってますね。
世界で見ると大豆などでもよく使われています。

池内:
コットンの95%以上が遺伝子組み換えと最近見たビデオでは言っていました。

大室:
日本は企業を信頼する文化があり、なかなかオーガニックなものがスーパーに並びませんね。

野菜が工業製品感覚なのが気に入らないんです

小野:
スーパーの人と話していて野菜が工業製品感覚なのが気に入らないです。
環境負荷を小さくしようとしたら不揃いになるものなんです。

一方で果物は甘くするために品種改良してるので農薬も適切な量を使う必要があります。枯らしてしまっては育てるのに数年かかった分の環境負荷が台無しになってしまいます。

また、日本の有機農家のレベルが低いのも問題です。

有機肥料を入れすぎなんです。微生物が分解する速度がわからず、効果が出るのに時間がかかるのに足りていないんじゃないかと思ってしまうんです。

有機農家はみんな素晴らしいわけではありません。

いいスーパーは野菜を生き物として扱ってくれます。

消費者と生産者、それぞれに思うところがあります。たとえば生産者は土も自分の自慢の土なので土ごと出したいと思いがちです。でも消費者からしたら土を落とす場所は家にありません。そこはきれいにしてから出荷しましょうと話しています。

生産者は野菜が曲がってるくらいで消費者は買ってくれないといいますが、ひらがなの「つ」くらい曲がってるきゅうりはそもそも美味しくないんです。原因は根の発育不良です。ひらがなの「し」くらいなら美味しく食べられます。

消費者には名残の時期があることを知ってほしいと思います。

ものには奔り、旬、名残があります。名残の野菜は皮が固いが味は濃いんです。

また、日焼けしたおくらは通常は流通しません。ただを太陽浴びただけなのにです。火を入れたら緑色になるし、むしろお日様をたくさんあびたものなんです。

こういう謎のルールをどうにかしたいです。

オクラは8cm程度で出荷されます。大きくてもせいぜい12cmが限度でそれ以上になると流通しません。本当はそこから15cmくらいまでが一番美味しいのにです。なぜかというと化学肥料は育つのが早いので大きくなると筋っぽくなるんです。細胞壁が薄くてもたないので筋を付けることで形を維持しようとします。

化学肥料を使っていない野菜であれば15cmが一番美味しいのに出荷できないなんて誰のためのルールなのでしょうか。各野菜でそれぞれこんなのがあるんです。

一旦形ができると崩すのが大変なので迂回しながらやっています。