いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

クリスマスの夜は今年もセゾン投信ブロガーズミーティング

12月25日の夜は昨年に続いて今年もセゾン投信のブロガーズミーティングでした。4回目となる今回は溜池にあるバンガード・インベストメンツ・ジャパンの会議室で開催されました。

机の上にはバンガードの金野さんが税関で引っかかるんじゃないか?というくらいバンガード本社で買ってきたお菓子が。プレッツェルが美味しかったです。

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最初にセゾン投信中野社長から3つの伝えたい事についてお話がありました。

1.バンガードとセゾン投信について

セゾン投信は来年3月で設立から9年になりますが、バンガードとも喧々諤々しながら作ったセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが5月に純資産額1,000億円を超えました。

日本に1,000億円以上の大型ファンドは120〜130本くらいしかないのでその中の1本に育った事に感慨を持って迎えました。資産形成の達人ファンドも300億円を超えてR&Iファンド大賞やリッパー・ファンド・アワードも受賞して立派な運用が出来ていると言える姿に育ってきたなと自分でも思っています。

セミナーなどで地方に行っても「セゾン投信、そんなの知らない。」と言われるようなことはなくなりました。

セゾン投信も自立できるようになり、バンガードも自信を持って売っているETFを大きくしていく中で最初のように一緒にセミナーをすることが無くなりました。

大手が苛烈にインデックスファンドのコスト値下げ競争をしていく中、セゾン投信はコストだけでは太刀打ち出来ません。その中で投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Yearなどでも再評価されていることを嬉しく思います。

2本とも深い哲学と理念を込めたファンドで、セゾン・バンガードGBFは長期投資における理念がバンガードと合致した合作です。僕らだけでなく、バンガードにとっても想いのあるファンド。ぶれずにやってきて良かったと思っています。

これからも支えていただきたいと思います。

2.日本郵便との提携

昨年は日本郵便の資本参加が決まった直後で具体的にどんな事をするのかあまりお話しできませんでしたが、今年の4月から共同活動を始めています。

セゾン投信はセゾングループの資本で始まった会社で感謝の気持ちはもちろん忘れてはいませんが、日本郵便の姿勢はまさに理想的な株主です。高橋社長からセゾン投信の価値を守り抜くための株主だから中野さんの思い通りにやって下さいと言われていて、セゾン投信の価値を一切損なわないようにとこちらがお願いする前に社内に厳命して下さいました。

皆さんには日本郵便は理想的な株主になっていることをお伝えします。

日本郵便には全国に支社が13あってそれぞれの支社長ともお会いしましたが、どの現場に行ってもセゾン投信をリスペクトしてくださっています。とても純な人達で、地域の方達のお役にたつ郵便局でありたいと本当に考えています。

私がいつも通りにこんなファンドは変だと話してもそれに対してブーイングはなく、責任者も一切クレームを言いませんでした。セゾン投信のやっている事を素敵なことだと感じてくれていて、共感と喝采で迎えてくれています。

郵便局でセゾン投信のファンドを売りたいという声もいただきましたが、高橋社長から「セゾン投信の価値を損なう可能性があるから絶対に扱わない」と言っていただいています。

郵便局から素敵な投資家を生み出していきたいと考えていて、とてもいいパートナーです。

3.フィデューシャリー宣言

セゾン投信ではフィデューシャリー宣言を打ち出しました。投信会社では他に三井住友アセットマネジメント東京海上アセットマネジメントが宣言していて、機関投資家向けの運用会社ではHCアセットマネジメントが宣言しています。

HCアセットの森本さんに呼応して自分達の中身を見据えて想いを込めて作った宣言ですので前向きに受け止めて欲しいと思っています。これは金融庁が本気で進めている金融改革の軸の一つで、日本に成長を生み出すためには長期投資マネーが必要で、そのための受け皿となるのが投資信託です。

これは法令などではなく、倫理と呼べるもので金融庁の監督の在り方の転換でもあると思っています。これまで制度やルールで業界を指導してきましたが、それだとどうしても抜け道を探すいたちごっこになってしまっています。これに辟易として思い至ったのが金融改革のキモであるフィデューシャリー・デューティです。

どういう理念を持って資産運用に臨むのか、専らお客様のためだけに自分達のプロフェッショナリティをというのが大事な点で、すべてのビジネスでよく使われる言葉「顧客最優先」とは明確に違います。

最優先ではなく、すべてはお客様のためなのです。

これは、ばか儲けは許されませんが、正しい資産運用を永続するための最低限の報酬をそれぞれの身の丈にあった水準で提供するという事で、これについても社員と喧々諤々しながら作りました。

出来上がってみるとなんてことはない内容かもしれませんが、とても想いのこもった宣言です。皆さんにもきちんと宣言通り続けているのか監視して気になったことがあれば注意して欲しいです。

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質疑応答

Q.フィデューシャリー宣言の後、何か社内で変わったことはありますか?

A.
宣言したからと言って突然変わるというのはおかしな事で、大きく変わった事はありませんが宣言は何かやることを考えるときの行動規範になりました。セゾン投信の背骨が出来たように感じます。(セゾン投信:中野)

新事業を考える上でも本当にセゾン投信にとってふさわしい事業なのか自問自答する際の基準になっています。こうした縛りがあるからこそ、これからも色々と考えていけるのではないかと思います。(セゾン投信:廣江)

 

Q.日本郵便で販売すると価値が損なわれる可能性があるというのはどういう事でしょうか?

A.
提携を始めた当初は直販を続けることでお互いに理解しあうために必要な時間であったと思います。ここから先については自分達が求めていることが郵便局での販売において守られるのか?それは一概に守れないと決めつける話でもありません。販売会社を通じて販売することに関しも直販とは違うビジネスとして出来るのではないかと個人的には考えています。(セゾン投信:廣江)

 

Q.セゾンとバンガードはセットなのか?フィデューシャリー・デューティーを考えると例えばセゾン・たわらグローバルバランスファンドなどはあり得るのか?

A.

バンガードは重要なパートナーではありますが、低コストを実現するときにバンガードありきだとは思っていません。ただし、今はファンドの定款にバンガードのファンドを利用すると書かれているのでそこは約束違反だと言われると困ってしまいます。お客様のためにというのを突き詰めると、より低コストなファンドを利用することになるという点については社内でも話しています。(セゾン投信:中野)

(コメント)
セゾン・たわらの実現性はともかく、お客様のために出来る事というのはコスト削減だけではないと思うので既存顧客向けサービスの拡充としてシステム投資などにも力を入れて欲しいと思います。あとは、マンガでわかる年間報告書とかそういうセゾン投信のライトな顧客向けの報告書なんかもあるといいかもしれません。

 

Q.米国バンガードから見て日本市場はどのくらい大事に思っているのでしょうか?

A.
バンガードの株主はご存じのようにほとんどがアメリカのファンド所有者です。ただし、アメリカにおいてはある意味勝ち組で、今年投信に流入したニューマネーの90%がバンガードという状況です。このような中、グローバル展開に力を入れていて日本は特殊な国という事もありパートナーがいないと成長出来ないと思っています。中長期でアメリカの株主に還元できるように考えています。
低コストなインデックスファンドが出てきていますが、そうしたファンドを提供している会社を見るとアクティブファンドで稼いだお金の付け替えで低コストなインデックスファンドを提供している状況で、そこに理念は全くないと思います。
数年では優劣はわかりませんが、バンガードのように理念を持って愚直に運用を続けるファンドとの差は徐々にボディブローのように効いてくるのではないでしょうか?(バンガード:曽田)

バンガードのファンドはクォリティが違います。そこが保証されているというのが我々がバンガードを選んでいる理由であり、ファンドはコストだけでなく理念やクォリティにも注目して欲しいと思います。(セゾン投信:中野)

前職がバンガードだった立場でお話すると、バンガードはコストだけでなくファンドのクォリティ維持にも気を配っています。例えば大きな資金が入ってきそうなとき、一気に多額のお金が入ってくると必要以上に値を上げることにつながり他のお客様にとって悪い影響が出る場合があります。そうした場合は時期を分散して買って下さいとお断りする事もあります。そういうインデックスファンドはなかなか無いと思いますし、バンガードのファンドのクォリティはそうした見えないところにも現れています。(セゾン投信:廣江)

(コメント)

大手運用会社の低コストインデックスファンドが高コストアクティブファンドの稼ぎがあって成り立っているというのはまさにその通りで、三井住友アセットがフィデューシャリー・デューティー宣言したことで全体的にコストをどう見直すのかについては注目しています。無理に低コストファンドを作った挙げ句に十分な資金が集まらず繰り上げ償還というのでは投資家にとっても運用会社にとっても不幸せな出来事です。どこまで不採算の低コストインデックスファンドを経営として我慢できるか?会社の体質や理念が問われるところです。

 

Q.フィデューシャリー宣言の遵守体制はどうなっているのでしょうか?

A.
社内規程は整備しましたが、内部監査のチェック項目などについてはこれからです。こうした内容は全て金融庁の検査対象に含まれます。宣言は金融庁とは独自でやったことですが、勝手に宣言しただけでやっていないのかについては金融庁もしっかりとチェックします。だからこそ大手がなかなか宣言できないのではないでしょうか。
受益者向けの報告についても問題意識は持っており、モニタリングシートの公開はやりたいと考えています(セゾン投信:中野)

 

Q.マネックス・セゾン・バンガード投資顧問(→プレスリリース)が誕生しますが、どういった関係になりますか?

A.
セゾン投信とは関係ありません。マネックス・セゾン・バンガード投資顧問は販売会社ありきのセルサイイドモデル。セゾン投信は自分達が販売するバイサイドモデルで自分達の価値観ではあり得ないビジネスモデルです。それぞれ理想とする姿に相容れないところがあり、株主が重複している以上の関係はありません。(セゾン投信:中野)

資本参加したのは米国のバンガード・グループ・インクで日本のバンガード・インベストメンツ・ジャパンではありません。米国バンガードとマネックスの松本さんとの長期にわたる関係から資本を入れていますが、バンガードから見るとあくまでも純投資であり、日本における知名度の低いバンガードにとってはWin-Winの関係になれると判断したようです。具体的な内容については上場企業が2社含まれていることもあり、まだお話できるような事はないようです。(バンガード:小林)

(コメント)

12月24日にセゾン投信と新ラップ会社は全くの別物という記事が済経新聞に掲載されていましたのでこちらもどうぞ。

 

Q.口座数が10万口座を超えましたが来年の目標は?直販最大手も見えてきましたが?

A.
グローバル投資なのですがなぜか口座数は日経平均に連動して増加数が上下するので、明確な目標は持っていません。平均して2,000口座くらいずつ増えているのでこのままいってくれればと思います。
昨日、クリスマスイブに澤上さんと仕事があったので一緒に食事していましたが本当によくしていただいています。来年は直販最大手を目指します。(セゾン投信:中野)

 

Q.奥さんにセゾン・バンガードGBFを薦めたが資産配分が合わず買わなかった。VTのように一本で世界中に投資できるファンドはあると便利なので株式だけばら売りをして欲しい

A.
セゾン投信は皆さんのように資産配分を自分で考えるような方よりも資産形成はしたいけれども全てお任せしたいという方達をメインのお客様と考えています。株式と債券が半分ずつでそれぞれ時価総額ベースで配分するというのはそうした哲学や理念を込めて提供しているもので、現時点でバラ売りは考えていません。(セゾン投信:中野)

(コメント)

1回目のブロガーズミーティングの議題がこんな議題でした。ブロガーがよってたかって愛のあるフルボッコにした思い出があります。(→第1回レポート

懇親会

ブロガーズミーティングの後は近くの庄やに場所を移して懇親会でした。バンガードらしく、持ち込んだボーグルを飲みながら吊られた男さん、セゾン投信の廣江さん、バンガードの曽田さんと一緒のテーブルで話しました。

セゾン・バンガードGBFのコスト面ではたぶん低コストファンドにかなわないので、質を上げる形で進化できないかという点について話してみました。今は大型株ばかりで国別に見てもそれなりに空白地帯が目立ちます。バンガードのファンドを使って例えば中小型株にも投資対象を広げるとか投資対象国を広げるなどすることでVTが中小型株もカバーするようになって投信ブロガーの再評価を受けたようにセゾン・バンガードGBFもコスト以外の面で評価が上がると思います。

バンガードにはアクティブファンドも日本で売って欲しいとお願いしました。バンガードには質のよいアクティブファンドがごろごろしてますが、日本の個人は買えません。ETNにするなどして日本でも買えるようになると嬉しいです。

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