いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

鎌倉投信いい会社訪問ツアーに参加しました(IKEUCHI ORGANIC編)

10月23日〜24日にかけて鎌倉投信いい会社訪問ツアーに参加しました。

松山空港に集合して初日はIKEUCHI ORGANIC、2日目はベルグアースへ。いずれもいつかは行ってみたいと思っていた会社でしたので念願が叶いました。

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いい会社訪問ツアーのバスガイドと言えば鎌倉投信 資産運用部長の新井さん・・・というのが普段の姿ですが、今回はIKEUCHI ORGANICの池内計司社長がほぼマイクを独占。タオル製造工程から自社製品のこだわりなどたっぷり語って下さいました。

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池内タオル(現IKEUCHI ORGANIC)は元々OEMのハンカチタオルを中心に製造していましたが、しまなみ海道の開通を機に今治の物産館で自社製品を販売する事になり、どうせなら徹底的にこだわったタオルを作ろうと誕生したのがオーガニックタオル"IKT"の始まりです。

2002年にはニューヨークのホームテキスタイルショーで"New Best Award"を受賞。2003年には小泉純一郎首相の施政方針演説の中で中小企業でも頑張っている会社という事で紹介されました。

100%風力発電によるタオルづくりという事で「風で織るタオル」と呼ばれ、一気に注目を集めて伊勢丹などでもIKTブランドの販売が始まりました。しかし、その年の9月に最大の取引先だったタオル問屋の倒産により一転、民事再生法の適用を申請することになります。

「タオルを何枚買ったら助かりますか?」熱心なファンからの後押しや民事再生適用にも関わらず変わらず取引をしてくれた取引先にも支えられ、それまでのOEM生産中心から自社ブランドIKTを中心とした製品ラインナップで再建を進めました。

日本では気に入ったタオルをもう一度買おうと思っても二度と買うことはできないと言われるくらい頻繁にモデルチェンジが行われているのですが、池内タオルでは逆にモデルチェンジを極力行わず、環境にもとことんこだわった顧客本位のタオルづくりで新たなファンを獲得していきました。

2013年、創業60周年の年に民事再生を完了。2014年には総合テキスタイルメーカーへの転換を図り、社名を池内タオルからIKEUCHI ORGANICへ変更しました。

このようなお話を聞きながらバスが最初に向かったのは西条市にあるINTERWORKS。吉井タオルの吉井久さんに「資金は自分が出すから、君は身体を出せ」と言われて作った染色工場です。Yグループ共同組合という7つのタオル会社の共同出資で1992年に建設されました。

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INTERWORKSには織り上がったばかりのタオルが100kg単位で納品されます。INTERWORKSではまっすぐにこだわりを持っていて、納品されたタオルなどもまっすぐに整然と並べられていました。まっすぐな物を作るには常にまっすぐな物を見る環境から。

タオルは織る前に糸が毛羽立たないように小麦の澱粉で糊付けされています。そのままではやわらかな風合いが出ませんので液流染色機で時間をかけてしっかり洗い落とします。後染めのタオルはこの工程で染めも行います。ここで使われる水は贅沢にも石鎚山系のミネラルヴァージンウォーター。いい水がいいタオルを生み出します。

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洗いの工程を丁寧に行わないと柔らかなタオルは生まれません。安いタオルはこの工程を短縮し、白いタオルは蛍光剤、柔らかくするために柔軟剤、そうすると水を吸わなくなるので吸水材を添加したりしています。何回か洗濯しないと水を吸わないタオルや何回か洗濯したら吸水性が悪くなったりするのはこういった添加物でお化粧されたタオル達です。

IKEUCHI ORGANICやINTER WORKSではお化粧されていないすっぴん素肌美人なタオルを作っています。

脱水機も100kgのタオル用にかなりの大きさです。

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染めの工程で出た排水はバクテリアによって浄化されます。50種類のバクテリアを投入するとタオルの排水が大好きなバクテリアだけがこの浄化槽の中でどんどん増えて排水が浄化されます。

瀬戸内海は世界的にも厳しい排水基準(15ppm)が設けられています。この厳しい環境基準を満たすためにINTERWORKSは世界的にも最高レベル(12ppm)の排水浄化システムを持っています。12ppmというのは瀬戸内海の海水よりもきれいな状態です。工場排水なのに海よりもきれいな水で海に流すってすごい・・・。

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池内さんが環境配慮へ回帰したきっかけは1996年にグリーン・コットンというオーガニック製品のブランドを持っていたノボテックス社のノルガード社長との出会いでした。

日本に講演に来ていたノルガードさんは日本で彼らのグリーン・コットンを作れないか?という質問に対して「このコンセプトを実現するには染色工場に高度な排水処理施設が必要で、これは我々しか出来ないだろう。」と答えたのですが、たまたま参加者の中にINTERWORKSを知っている人がいて、データ的にはノボテックス以上の工場があると講演後に伝えたそうです。

それを聞いたノルガードさんは「これから見学に行くから見せてくれ」と電話をしてきました。見学には7人の理事全員の許可が必要だと断る池内さんに「もう羽田にいるからなんとか頼む」と言うとノルガードさんはその日のうちに見学に来てしまいました。

結局、ここまで来てしまったのならと施設を案内したのですが、見学を終えたノルガードさんはこう言いました。「君たちの排水処理施設は素晴らしい!でももっと驚いたのは経営者であるミスターイケウチ、君があまりにも環境に関して無知だという事だ。」

それからノルガードさんはグリーン・コットンのノウハウを池内さんに教えてくれたのです。

排水の出口付近には鯉が飼われていました。排水に問題があると鯉が身をもって教えてくれるわけです。大雨で逃げ出すという事はあってもそれ以外で鯉に問題が起きたことはないそうです。浄化槽の見るからに排水という状態とは透明度も全然違いますね。

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染色・糊抜きを終えたタオルは脱水によってまとまっていたのを拡げる工程へ。

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続いて乾燥へ。乾燥機はふんわりと仕上げるタイプとフラットに仕上げるタイプの2種類あり、タオル毎に使い分けられています。

乾燥機はスペイン製の機械でモノは良かったのですが、最初は故障が多く、徐々に日本製の部品に取り替えていくうちに安定したそうです。

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熱風をあてながらドラムにタオルを打ち付けることでパイルを立たせ、やわらかなタオルに仕上げていきます。乾燥が終わったら吸水性のチェック。問題が無かったら裁断へ進みます。

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乾燥が終わったら100kgのロットで縦横に連なっている状態だったタオルを縦1列に裁断していきます。多くのタオルは効率を優先して裁断されて裁縫も終えてから後処理工場に送られるのですが、それだとどうしても洗いや乾燥でタオルに縮みが生じてしまい、まっすぐなタオルになりません。

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INTERWORKSでは洗いや乾燥といったタオルの縮みの要素が終わった後に裁断、縫製を行うことでまっすぐなタオルを作っています。

タオルの耳と呼ばれる部分は縦方向の両端を巻いた上で縫製します。ミシンにかける最終調整は人の手で行われていました。池内さん曰くこの耳をいかに小さくまっすぐにするかにもメーカーのこだわりがあるそうです。

こういう話を聞くとタオルを見る目が変わりますね。家に帰って池内さんのタオルと贈答用にいただいたタオルを比較してみると耳の幅が全然違いました。f:id:m-at:20141023140700j:plain

耳の裁縫が終わったら今度はタオルを1枚1枚裁断していきます。この行程も手作業です。熟練の職人さんがハサミでスーッとタオルを切っていきます。

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INTERWORKSでは当初タオルの裁断用に1,000万円もする機械を導入していたのですが、それだと3mm程度の誤差が生じていました。しかし、人の手で裁断してみたところ1mmの誤差になったとのこと。今では機械は端に寄せられ、職人さんが手作業で1枚1枚丁寧に裁断を行っています。職人さんすごい!

ブランドストーリーというテレビで池内タオルが紹介された時にこの工程を見て見てみたい!と思っていたので、目の前で裁断の様子を見られて感動しました!

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INTERWORKSを後にして今治市のIKEUCHI ORGANIC本社へ。
総合テキスタイルメーカーへ転身してORGANIK Kのようにニット製品も登場したこともあり、今後の製品展開についてもお話をお聞きしました。
コットンだけではなく、オーガニックウール製品も登場しています。

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IKEUCHCHI ORGANIC本社のファクトリーショップから工場の様子も見ることができます。

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今回は工場の中へ。
整経と呼ばれる工程では織機に経糸(たていと)をセットするため、クリールにセットされた糸をビームという糸巻きに巻き取っていきます。この工程もテレビで見て糸の美しさに驚いたシーンです。実際に見て見ると美しさに思わず言葉を失う光景。かなり根気のいる作業ですよね。(自分は絶対無理です・・・)

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ビームに巻き取られた経糸です。

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いよいよ織機にかけてタオルを織っていきます。3,000〜5,000本の糸を櫛をかけながらタイイングマシンと呼ばれる機械で糸を繋げていきます。
糸の並びを間違えるとそのロットは全てエラー品になってしまうというこれもまた気の遠くなるような職人作業です。

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タオルを織っている姿はきれいで思わず見入ってしまいます。

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織り上がったタオルはこのように巻き取られています。

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織り上がったタオルは一旦INTERWORKSへ後処理のために送られ、再びIKEUCHI ORGANICの工場を戻ってきます。
いよいよ検品の工程へ。ここでも1枚1枚丁寧に検品されていました。

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工場にあったストレイツ・オーガニックのスリッパ。欲しい・・・。

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本社にはコットンが栽培されていました。これはコットンボールが弾ける前。

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こんな風にコットンボールが弾けると収穫時です。機械でコットンボールを摘もうとすると緑の葉っぱでコットンボールが汚れてしまうため、枯れ葉剤を撒いて葉を枯らしてから収穫されています。オーガニックコットンの場合は枯れ葉剤などを使えませんので手摘みです。農家さんも大変ですよね。f:id:m-at:20141023154258j:plain

1回目の受益者総会で池内社長のお話を聞いてからミュージックセキュリティーズのファンドを通じてコットンヌーボーのファンドに投資したり、発表会に足を運んだりしてきましたが、念願叶ってようやく本社工場の見学ができました。

話は何度となく聞いていましたが、百聞は一見にしかず。こだわりをこの目で見ると全然違います。より一層IKEUCHI ORGANICのファンになりました。

ちょうど今年はタオルソムリエ資格を取ったという事もあり、試験勉強の時には文字でしか出てこなかった行程が工場で見ることが出来たのも感動ポイントでした。

こうなったらKYOTO STOREにも足を運ばないわけにはいかないですね。

【参考図書】

「つらぬく」経営-世界で評価・池内タオル

「つらぬく」経営-世界で評価・池内タオル

 

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