昨年12月14日(土)にNPO法人いい会社をふやしましょうの第三回「いい会社の力」シンポジウムが開催されました。
第3回「いい会社の力」シンポジウム いい会社がつらぬく社会的責任
開催日時:2013年12月14日(土) 14:00〜17:00
場 所:東京工業大学蔵前会館
主 催:NPO法人いい会社をふやしましょう
講演者
池内タオル株式会社(現IKEUCHI ORGANIC株式会社) 代表取締役 池内計司氏
パタゴニア日本支社 支社長 辻井隆行氏
人と経営研究所 所長 大久保寛司氏
鎌倉投信 取締役 新井和宏氏
かなり時間がたってしまいましたが、パネルディスカッションのレポートです。大久保寛司さんがファシリテーションしつつ、会場からの質問に答える形式で行われました。
綿についてTシャツを1枚作るのに水が4,000リットルも必要というのは知りませんでした。バスタオルを1枚作るのにも20坪の畑が必要になったり、普段何気なく使っている裏で結構大変なんだなと。
どうしても最終製品ばかり目が行ってしまいますが、時には原料から製品に至る過程についても思いをはせて大事にモノを使うきっかけにするのがいいのではないかと思います。
■ 池内社長の松下電器時代
会場からの質問:池内さんへ質問です。家業を継がれるときの決意について聞かせてもらえますか?
池内:松下電器でオーディオ(Technics)をやっていました。当時松下電器はいい時期で事業部が51あってオーディオ部門は50番目の成績でしたが、そこ以外は行く気がありませんでした。
入社して最初の一年はいろいろなところに配属されて実習を受けるのですが、毎週懇親会が開催されました。その席で他の事業部から声をかけられても「僕はステレオ事業部に行けなかったら会社を辞めます」と言い続けていたらこんなに成績が悪いところに来たがっているかわいい奴がいるという事で思いが叶い、オーディオ部門に配属されることになりました。そうして、君をこうやって育成するよと10年分のスケジュールをくれたのです。
まず、君は東京に隔離する。東京で自由が丘と六本木を通勤経路で通るようにと事業部長より高い家賃のところに住ませてもらいました。そうした環境で大切に育てられ、一番大事な製品の価格決裁にも関わるようになりましたが、ある時全然オーディオの事を知らないトップがオーディオ部門に配属されてきました。
会議で専務がYesというものに対してNoと言ったら「こんな若造がダメっていったらダメになるのか!」と専務は怒って出て行ってしまいました。それで自分もその日のうちに辞表を出し、辞めました。
当時、自分は業界でそこそこ有名だったのですぐに他社から声がかかるだろうと思っていたのですが、「君辞めるんだって。馬鹿だね。」と言われただけで、じゃあうちにおいでとは言われず、それで泣きながら親の会社に帰ったというのが本当のところです。名刺がなくなるとダメですね。
大久保:それは面白い話ですね。
池内:松下には辞表が出たらそれっきりという憲法があります。それにも関わらず人事本部から「10年計画で君を育てて、まだ1年しかお返ししていないじゃないか」と言われました。残ってくれるんだったら何か条件をと言われたので「あの専務を辞めさせてください」と言ったら「それはできないから君が辞めるしかないね」と言われました。
大久保:研修期間中に色々なところに配属されて毎週懇親会があるというのが人材育成の場でもあったんですね。そして人を10年間のキャリアプランで育てていたと。ずっとやってたらああはならなかったのではないでしょうか。
松下電器は昔、おたくは何を作ってるんですか?と言われて「人をつくっているんです。ついでに家電も作ってます。」と答えたと言います。家と会社との行き帰りに何かを感じるだろうと通勤も学びに使う配慮。当時給料はいくらくらいだったんですか?
池内:6万円です。そして家賃が9万円。2Kの部屋でした。
大久保:こうした徹底した人材育成をして、問題の専務が来る前までは池内さんが最終的に決めていたというのはそれだけ信頼されていたという事ですね。
池内:営業側ではオーディオマニアがいなかったんです。
会場からの質問:オーディオマニアで松下電器に勤めて、その後タオルマニアではない方が池内タオルの社長になるという事で、これまでとは逆になったのではないですか?
池内:タオルは結構マニアですね。起きてる時間の半分は仕事なのでやる限りは楽しもうとしています。100人いる今治の社長でトップのマニアだという自負があります。
「タオルを触るとどこの会社かわかる」・・・と豪語していた時期がありました。
今はもう世の中のタオルを見ないようにしています。あまりにも違うことをしているので自信をなくしてしまうからです。
大久保:自身の塊のような人が自信をなくしそうだから他を見ないとは面白いですね。
■ パタゴニアに入社してからのキャリア
会場からの質問:マニアの人がリーダーになるべきかなと思いましたが、会社に入って経験を積まれて今の地位になったとお聞きしました。いま仕事は楽しいですか?
辻井:楽しいです。最初はとにかく食べていくために仕事をしていて一週間休暇は休みのうちには入らないと思っていました。そこで2ヶ月くらいいなくなってもいい会社でどうだろうと働いていましたがカヤックの会社は休んでいるうちに自分がいた事業部がなくなってしまいました。
好きでやってたことが役に立ちました。大学院では環境のことをやっていましたが、アウトドアスポーツをやっている人の心理もわかりそうだという理由で採用されました。シーカヤックをわかる人を探してたんですよと言われてそんな会社があるんだと。
大久保:人のスキルを見てるんでしょうね
辻井:当時はアルバイトで生活をしていてスキーパトロールの仕事をその年もやることを約束していたのでスキー場に戻りました。3ヶ月の契約期間が終わって帰ってきてから社員に応募したのですが、店でセミナーをしたいのでシーカヤックの話をしないかと言われました。当時、職業的にガイドしている人に売る担当をさせろとアメリカの担当に言われたようです。
次に、グリーンランドに行くことになって45日の休みをもらって帰ってきたら卸売りの責任者にならないかと言われました。営業自体やったことがないので束ねることはできませんと言ったのですが選択の余地がない感じだったので結局やることになりました。でもやってみたら面白くて意外と数字もいけそうだと。
2005年にまた45日休みました。さすがに今度は難しそうだと支社長に長い手紙を書きました。「これが一生に一回の旅になるんです」って書いてまた休みました。長い休みから帰ってきて1ヶ月後くらいに「将来お前に日本を任せようと思うから考えておけ」と言われましたが1年くらいホールドしていました。
大久保:長期休暇を取る度に出世したんですね
辻井:その頃支社長がちょうどアメリカから帰ってきていて、パタゴニアの商品に普段着が増えている。このままではスポーツウェアの会社になってしまうからちゃんとダートバッグを雇え。フィールドに行って帰ってこないような人をだという指令を出したんです。
バイヤーを見てみろ。どうしてフィールドをわからないやつがパタゴニアをわかるんだと。そういう所が評価されたんだろうなと思いました。
大久保:間違いないですね。長い旅の最中は命の危険もあるのでは?
辻井:一回か二回はそういう目にあっています。シャチに40分くらいつけられていた事がありましたが、それは危なくはなかったそうです。
大久保:背びれだけで1.8mある
辻井:シャチが来たので逃げたのですが家族で追ってきたんです。
ちょうど岬から岬に横断している最中で、浅瀬に逃げたのですがそれでもついてきました。後からポールスポング博士に聞いたらそれは危なくない。でも外海で会った方は危なかったぞと言われました。
外海でシャチに会ったのはトドのコロニーを撮りに行った時でした。トドに近づいている時、ライバルが来たと思われて後ろにつかれたのです。それは本当に危なかったです。
大久保:シャチと話したんでしょ?
辻井:話しかけました。「勘弁して下さい、お願いします。」と。目が合ったのでもう悪い事はしませんと。
■ お気に入りのサービスについて
会場からの質問:お気に入りのサービスを教えてください。
池内:サービスではないけれどもポール・マッカートニーは僕に見て欲しいと思っているんじゃないかと思っています。チケットは定価で買う主義なので一人で1枚、最終日だけチケットを申し込んだんです。余ったら買ってあげるくらいの気持ちで。そうしたら見事に当たりました。
その後、11日までは仕事で大阪にいることになったら11日も追加の追加公演があってこちらもチケットが取りました。そこまでしてくれたら福岡にも行かないとポールに悪いよねと申しこんだら福岡公演のチケットも取れ、行きたいと思えばチケットは取れるような感じです。
大久保:信念ですかね
池内:僕が行っているインプラントの先生は全部外れたのに僕が3枚持ってると知って「あなた本当は買ってないでしょ」と奥さんに怒られたそうです。
辻井:コンテンツワークスのフォトバックという思い出を写真集にできるサービスがあります。最初に会社に伺った時にそこの社員の本のショールームがありました。9月に父親が80歳になったのでちゃんとお礼をしようとしたのです。思い起こせば昨年フランスで油絵の個展を開いたのですが、その時の写真をあげれていなかったので本にして感謝の言葉をつけて贈りました。それは本当に喜んでくれました。
荻野(コンテンツワークス):パタゴニア製品を買っている甲斐がありました(笑)
辻井:その後、父の仲間にあげるからと20冊追加注文もしました。再生紙でやられるので楽しみにしています。
池内:うちも創業60年のを作ってもらおうかな
辻井:いろいろ選べるんです
大久保:若い社員の育成に熱心ですよね。それがご縁で知り合うことができました。
新井:西粟倉の間伐材で作ったiPhoneケースです。これはどこ行っても「おっ!」っと言われるので一番のヒット作だと思っています。これまでなかなか宣伝できなかったのですが、やっと人に見せて宣伝できるものが出てきたなと。
大久保:日本の森林が鬱蒼としていますがこのままだとダメになってしまいます。鬱蒼とした森で杉は太くなれないので子孫を残すために花粉をたくさん出すようになります。かといって間伐をすると市場に出しても経費も出ないのが現状です。
トビムシは間伐材に付加価値をつけてモノを作り、100年先に豊かな森を作ろうとしている会社です。うちの娘もiPhoneケースを持っています。
竹本(トビムシ):簡単に見せられるいいものがこれまで無かったですね。よく床板や割り箸、モクタイでは人に薦めにくいと言われていました。でも、おかげさまで西粟倉・森の学校は黒字になりました。
大久保:よくやりましたね
竹本(トビムシ):昨年は瀕死の状態でした。よく髪の毛があるなとそのくらい。今年に入って単月黒字になり、ようやく半期でも黒字になったところです。
大久保:日本は唯一の森林資源大国で生かすか殺すかは自分がやらないといけません。賛同していた人がみんな腰が引けたりきつい中をやってきての黒字化です。今日の社会的責任として赤字で倒産したら責任を持てなくなるので最低限存続しないといけません。存続している過程を通してどれだけたくさんの人に貢献できるかが大切です。
西粟倉に4人で訪問して、その時辻井さんに初めてお会いしました。トビムシがたくさんいる森は豊かな森だという事もその時に聞きました。
■ 新井さんから見た池内さんと辻井さん
大久保:新井さんから見て池内さん、池内タオルについてはどうですか?
新井:池内さんは今では鎌倉投信の投資先にもなっています。すごいなと思うのはこだわり。昔からすごいと思っていました。
池内さんと初めて出会ったのは今治でタオル折り紙教室というのをやっていると聞いて東京から参加した時です。地元の子供達にタオルを知ってもらおうとタオルで熊を作る教室をやっているんです。何をしに行ったかというと本音を聞くために。子供達にタオルについて話している姿を見てこの人は本当に今治のタオルを一生懸命残そうとしているんだなとわかりました。彼が本物だと思うのはそういうところです。真面目な方だと思ったのが第一印象。
一年間で5本しかペットボトルを飲まないんです。できるだけ瓶にしていて飛行機で海外に行くときに仕方なくペットボトル飲料を飲むだけ。環境にこだわってやっているのが体からにじみ出しています。
大久保:会社としては一回連鎖倒産しています。取引先の商社が倒産したのですが、「タオル何枚買ったらつぶれませんか」とお客様から電話が来たんです。ファンに支えられて事業が続いています。そんな会社は他に知りません。品質をかってなのでしょうか?生き方なのでしょうか?
池内:メールを見ていると商品がいいからだと信じています。小さい会社の民事再生なんですが、NHKが特集を組むためにたまたまテレビカメラが入っていた時に民事再生なんてことをやったので、NHKがいるならうちも入れて欲しいと債権者会議に他のマスコミも入ったんです。そうして全国の新聞に載ってしまったのでファンが池内の危機を知ってくれました。それでメールをたくさんくれたんです。
メインバンクに何通も池内を助けてくれとメールが届いて、皆さんに支えられて生きています。
大久保:人も企業も行き詰まった時に周りがどうするかが生き様です。言葉ではどう言っていてもその時が真実です。手をさしのべる、銀行に圧力をかけてでもというお客様がいるというのは生き様が出てますね。生き方があいまいだとこうはいきません。
パタゴニアはどうでしょう?
新井:辻井さんはこうみえて僕と同い年の45歳なんです。出会いの中で印象的なのはスキーヤーとしてこだわりがすごいということ。池内さんと辻井さんどちらにも共通するのは真っ当で、必ず出てくる言葉が最終的に製品が良くなければ、長く使えず環境負荷はあがるという事です。
他にも1%forプラネッツという売り上げの1%を寄付する活動もされています。売上の1%も寄付するなんて企業にとってはありえないことです。
そうすることで自分達がやるんではなく仲間を集めようとしています。
もう一つはこれ以上買わないようにとお客様に書かせている点です。買うのは必要な分だけですと署名させるのです。彼らのプライド、 生き様はこんなところに出ています。本気でやってるのはこの会社しかないと思います。そういう意味で代表が辻井さんというのはわかりやすい姿です。
大久保:パタゴニアは店員さんが気持ちいいですね。アメリカでパタゴニアに勤めていると言ったらあなたはラッキーだと言われるんです。
そういう企業の姿勢を理解している人が入っているのではないでしょうか。そこが働いている時の意識に違いが出るのでは。池内さんのところはどうですか?
池内:ここ10年は社長と一緒に働きたいという人が大企業から転職してくるようになりました。そういう人には給料が減るよと言っていて実際3分の1くらいになります。正社員は20名くらいでそのうち、転職組が7〜8人います。
大久保:働くときにいろんな動機がありますが、やる気、楽しいという感覚をどこまで一人一人が持てるかという事ですね。
学生の方で質問はありませんか?
■ 就職を控えた学生へ向けてのメッセージ
会場からの質問:社会に出るにあたってアドバイスをいただけませんか?
池内:今の時代、絶対大丈夫という会社は無いというのははっきりしたと思います。就職するなら今、悪いところがいいと思います。今、いい会社はダメになるかもしれません。仕事を楽しまないと。
大久保:注意して欲しいのはだめな会社が全部いいわけではないという事です。例えばある大企業では辞めた人が文句を言ってきたという事もありました。かといって今いい会社が将来もいいとは言えません。
縁があって大企業の合宿で講演させていただく機会が多いのですが、ほとんどの参加者が楽しそうじゃないんです。いっそ辞めたらと言いそうになります。言えませんが。
一方で20代〜30代の社会起業家とも毎週会っていますが輝きのレベルが違います。
京都でも紹介しましたが22歳でカンボジアで貢献する人間になるんだと思った人が貧しい村の再生を図り、医療教育制度を整えている人がいます。彼らの腹の据わり方が違います。最低限英語が必要になるしカンボジア語もそうです。でも3ヶ月でマスターしてしまいました。人ってのはスイッチが入った瞬間ものすごい能力を発揮するのです。
そしてすごい生き方をイキイキと話します。NPO法人を作ったがある時電気とガスを止められました。そうしたら「うわーカンボジアと同じだね」とスタッフと笑っていたと言うのです。
ユニバーサルデザインと道具とデザインが好きという24歳の人は21歳の時に起業していますが、45歳になると動けなくなる難病にかかっています。自分に残された時間があと20年しかないので真剣なんです。でもすごく輝いている。大企業の幹部研修だとギラギラ輝いている。能力があるのに目先だけ見て生かしていないんです。全部ではないが魅力的な生き方ではないという事でいろんな選択肢があります。
辻井:5年くらい前から考えるようになりました。それまでも興味はあったのですが。
これまで個人の実現したい事だけやってきました。良く言うと夢、悪く言うと欲望です。
一世代で達成できることを目標にするか、呼ばれる自分が死んだ後にできる事を目標に据えるのか?後者は志と呼ばれます。なんて素晴らしいことを考えているんだろうという人の力になるのもいいなと思うようになりました。自分がいい歯車になるという事です。欲望か志かの見分け方の一つとして興味のあるオーナーがその人に死ぬまでに達成したいのかどうか聞いてみるというのがあると思います。
新井:仕事をする時、作業にしないでください。あなたにとってコピーは作業ですか?それを仕事にできるように考えることです。仕事に取り組むその姿を気に入ってくれる人がいて次のステージに進めます。
どこまで満足したモノを提供できるのか?チャレンジし続ける事が大事です。
■ 製品が出来上がるまでの背景について
会場からの質問:綿について将来性なども聞かせてもらえますか?
池内:タオルで考えるとシルクと綿になりますが、毎日洗うというので綿で作っています。タンザニアではバスタオル1枚作るのに20坪の綿畑が必要になります。今いるこの部屋でバスタオル2枚くらいです。そのように広大な土地と人手が要求されることを知ると使い捨てでやっていく素材ではない事がわかります。
灌漑用水がある所ではもっとお金になる作物もあるし、綿もいつまでも永久にあるものではないかもしれません。
辻井:用途によって変わります。企業がインパクトを学んで地球や人に与えているのか考えることで改善していくと思います。綿は面積も人手もかかるし水もたくさん使います。綿から糸を作り、染めて製品として最終仕上げするまでに4000リットルの水が使われます。そうすると大量生産、大量消費するものではないという事に気づきます。綿を大量生産するということはどんどん水がなくなるという事です。
それを理解した上で消費者がお金を使って欲しいと思いますが、だからといって苦しい使い方をして欲しくはありません。
千代田区の小学校跡地で愛着のあるモノを長く使うことについて話ました。
インスタントはすぐに楽しくなるけれども、一方ですぐに満足が終わってしまいます。そうやって学んだ事をみんなで共有してやっていく、このインパクトを苦しくない範囲でやるようにしています。例えばマザーハウスの名刺入れや定期入れは取り出す度にいい気分にさせてくれます。
大久保:Tシャツ1枚作るのに4000リットルの水が必要なんです。これを知るとカンボジアなどで過酷な労働環境で作られたファストファッションの良さと悪さを感じます。
まあまあの品質で安いその裏に何があるのか?そのうち巡り巡ってくるものではないでしょうか?江戸時代に学べとは言わないが、彼らはリサイクルの達人の集団でした。
使わないモノがない時代がやって来たとき、これを捨ててたんだから愚かだったと言われる時代が来るのではないと思います。
辻井:有機綿を福島で作っていて、福島コットンを商品に5%混ぜています。今年は700t収穫されるので10%くらいになるかもしれません。日本にほとんど綿花畑が無いのでオーガニックコットンを店頭で説明できるきっかけにもなります。
Reboonが 天ぷらバスを出して雑草刈に出かけたりもします。自分が手をかけたコットンを触ると愛着わくようになります。
大久保:有機で手作業でやると一日働いてもTシャツ1枚分にもなりません。でも、製品の背景を知るというのは大切なことで、そこにこだわりをもつ企業は存続し続ける事ができます。
社員の生活の基盤を提供する、提供しているサービスで世の中を良くする、企業活動を通して関係するもの、人への価値を提供するのです。
時価総額が企業価値だと言われた時代がありましたが一晩でこんなに企業価値が変わるんですか?そんなに価値を生んでいないだろうと思います。
企業価値というものは簡単に言うとトータルで関係する人にどれだけ価値を生み出しているか?という事です。パートナー企業に対しても価値を生み出していますか?大事なのは総和です。
トータルで物事を見ていくことが大事です。伊那食品工業は社員の輝きが違います。
いいねで買うから地元から誇りに思われるのです。
他社の売り上げだから経費ではありません。それでどれだけマイナスの負荷をかけているか。
働いている社員も輝いて、納入業者にも喜ばれることで地域の誇りになります。社会的責任という観点ではリストラは人員カットであって最高の経営ではありません。腕力だけでない愚かの極み。人を切っただけで評価する人間もおかしいのです。
単純に素直に当たり前の目で見ると正しい、間違っていることがわかります。
自分の真心で当たり前の目で見てみると社会的責任を最高に果たせるんじゃないかと思います。
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