社会的責任投資は以前SRIと呼ばれていましたが2006年に国連責任投資原則(UNPRI)が出来て以来、E(環境 Environment)、S(社会 Sicety)、G(企業統治 Govenance)のESG投資と呼ばれることが多くなりました。
社会的責任投資というと一般的にはESGそれぞれの分野での企業活動を評価し、企業の本業を通じた社会貢献活動を重視して投資するアクティブ運用になるのですが、先日とある方から実はパッシブファンドであっても投資先企業に対して対人地雷とクラスター爆弾製造停止を株主として申し入れるエンゲージメント活動を行っている会社があるという事をお聞きしました。
三井住友トラストホールディングスの2013年度版のCSRレポート『責任投資』のP.25に対人地雷とクラスター弾に関連する企業とのエンゲージメントという項目がありますので引用します。
対人地雷とクラスター弾に関連する企業とのエンゲージメント
対人地雷ならびにクラスター弾問題は、人道的観点や平和と安定の維持や復興開発への障害となることから国際的取り組みがなされており、対人地雷禁止に関連したオタワ条約(1999年)、クラスター弾に関するオスロ条約(2010年)がそれぞれ制定され発効しています。グローバル運用業界では、同関連企業に対する金融的な幇助を回避するため投融資を行わない動きが広まっており、メーカー等には製造を停止するような働きかけが行われています。
三井住友信託銀行でも、対人地雷やクラスター弾を製造する関連企業に対しては、アクティブ運用商品では原則除外しており、パッシブ運用商品で株式を保有している企業に対しても、製造を停止するようエンゲージメント活動を行っています。
このような問題は、三井住友信託銀行のみで解決できる訳ではありませんが、海外の大手年金基金、金融機関と連携しながら、対人地雷、クラスター弾の製造、利用がされなくなるよう働きかけることの意義は大きいと考えています。2012年度は、米国2社、アジア1社に対してこのようなエンゲージメント活動を行いました。
これによると三井住友信託銀行が運用に関わっているSRIファンドにおいて目論見書ではネガティブスクリーンは謳われていませんが、実際にはネガティブスクリーンがされていて投資対象から外されていること、どうしても投資しないといけないパッシブ(インデックス)ファンドにおいても投資はするものの製造を停止するよう株主としてモノを言うエンゲージメント活動を行っていることがわかります。
銘柄はベンチマークとするインデックスに決められてしまいますが、株主としての行動までパッシブである必要はないのです。
私がMSCIコクサイインデックスに連動するファンドに投資したくない理由の一つにどうしても投資したくない会社(具体名でいうとモンサントなど)が時価総額ベースでかなり上位に位置しているというのがあります。
せめて投資しちゃった分については議決権行使などでモノを申して欲しいと個人的には思っていたのですが、実際に分野は違えどそれを実現していた会社があったことに驚くと同時に嬉しく思いました。
こういう事を知るとインデックスファンドを買うなら三井住友トラストアセットマネジメントのファンドにしようかなという気持ちが俄然強くなります。(ただし、SMTインデックスファンドシリーズがこの対象に含まれていたのかどうかは不明です)
1/15追記:三井住友トラストグループ全てのパッシブファンドが対象と考えてよいそうです。
こういった活動はぜひ声高に宣伝して欲しいと思いますし、できれば三井住友トラストHDのCSRレポートだけではなく、三井住友トラストアセットマネジメントのCSR活動ページでも堂々と書いて欲しいですね。
こういった事が広く知られるようになるとインデックスファンドに新しい評価基準が追加されるのではないかと思いました。
ちょうど今日はインデックス投資ナイトが開催されるという事もあり、ちょっと違った目線でインデックス投資について書いてみました。
【追記】
投資を楽しむ♪のまろさんがこのエントリーを受けてブログ記事を書いて下さいました。