9月27日にNHK クローズアップ現代でESG投資が紹介されました。
前日の9月26日には東証にESGインデックスに投資するETFが3本上場しており、それを意識した放送タイミングだったのかなと思いました。
番組では環境や社会(人権)、企業統治に注目したESG投資が世界全体で2,500兆円を超え、世界の投資の4分の1を占めるまでになっていると紹介されました。まだまだ日本では市民権を得ていないESG投資ですが、世界に目を向けるとかなりのボリュームを持っています。
日本ではまだ関係ないと考えがちですが、日本の株価形成に大きな影響を与えている「外国人」と呼ばれる投資家の4分1の資金はESG投資をしているという事です。
NHKらしく投資方法にフォーカスを当てるのでは無くサプライチェーンをしっかり管理出来ているかなど投資される企業にとってのESG投資という内容で好感を持ちました。
石けんやスナック菓子など私たちの生活に幅広く利用されているパーム油ですが、熱帯雨林の不法伐採や児童労働などかなり問題を抱えた製品でもあります。花王では2020年までに小規模農家まで含めて不法労働がないことなどを追跡できるように取り組んでいます。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて輸入合板がマレーシアのサラワク州から来ている事が確認されたことで人権問題などの無いところから調達しているか調査を求められた様子も放送されました。
サラワク州では先住民の権利を侵害した違法伐採が行われています。
国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)では製品が消費者に届く影で誰かが詐取されて泣いているという状況を無くそうとしています。誰かの犠牲の上の幸せではない社会を作るための金融側からのアプローチがESG投資です。
なぜESG投資に世界が踏み切ったのか、そしてそれは何を目指しているのか大事なところをしっかりと紹介した番組だったと思います。
NGOやESG関連企業も単純に良い事をしようとしているわけではなく、それを管理するシステムを売り込むなどしたたかな面を持っています。(規制を強化してそれに対応するシステムを売り込むのは欧州のお家芸です)
グローバルに展開していない小規模な企業であっても今後はESGに関する確認を上位発注先から求められる世界がやってきています。花王がパーム油を調達する際にプランテーションだけでなく小規模農家まで確認を求めた事が今後は日本の中小企業に対しても行われるようになります。
うちは零細企業だからと思っていてもある日突然上位発注先から環境や人権やガバナンスに問題がないか調査が入る日は確実に近づいています。
投資家というよりも企業で働く私たちが今後意識しなければいけない事を意識させてくれる内容でした。