いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

投資の鉄人 [著]馬渕治好、竹川美奈子、岡本和久、大江秀樹

投資の鉄人 (日経プレミアシリーズ)

著者の一人、竹川美奈子さんに献本いただきました。ありがとうございます。

料理において味の方向性を決めるのは「ダシ」です。ダシがおかしいとその後にどんな具材を使ったとしても目指す料理は出来上がりません。世の中に投資手法は様々ありますが、やっぱり投資においても基本的知識として抑えておくべき「ダシ」に相当する知識があるのではないでしょうか。

この本のタイトルは「投資の鉄人」とついていますが、投資の鉄人4人が自らの投資手法をそれぞれ語る・・・のではなく、これを読んだ読者が投資の鉄人になれる。そんなコンセプトで4名の著者が自身の得意分野について特に重要な部分を語っています。いわば良質な投資のダシです。ダシ自体は味も濃くないですし、それ自体で料理として完成しているものではないですが出来上がりを左右する重要な部分で決しておろそかにしていいものではありません。

一方で巷にはダシを取ることなく、インスタントな投資手法が溢れています。こうすれば○○万円貯まる、○年で○億円儲けたという話は確かにインパクトがありますが、そこで語られている内容は実はスープの上澄み部分でしかなく、実際にやっている時の迷いやどのように継続したのか、ただの幸運ではないかなど根っこに近い部分については書かれていないことが殆どです。

セミナーなどで「で、どうしたらいいの?」「○○は買いなのか?」「儲かる銘柄を教えて」といった他人に頼ろうとする人がいますが、そうではなく自分で考えて自分で行動することが投資をしっかり継続する上でも大事なことだと思います。

その意味でこの本に書かれていることはこれから投資を始めようと思っている人のダシとなってくれると思いますし、すでに投資をしている人にとっても自分の投資がブレていないか見直すきっかけになると思います。逆にいうとこの本を読んで「で、どうしたらいいの?」と思った人は1章の馬渕さんの言っていることをよくよく考えてみてください。あくまでも料理をどのようにするのか決めるのは調理人であるあなたです。他人任せでない自立した投資家を目指して欲しいと思います。

新書という事で値段的にも分量としても、そして物理的なサイズとしてもお手頃です。一回読むだけでなく時々読み返して基本を思い出すきっかけにしたいと思いました。

投資の鉄人 (日経プレミアシリーズ)

投資の鉄人 (日経プレミアシリーズ)