いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

鎌倉投信:結い2101受益者総会(2016)詳細レポート Vol.12 パネルディスカッション 後編

受益者総会レポート、最終回の12回目はパネルディスカッションの質疑応答です。

山崎さんのチャレンジは時にやってくる事がある。だから自分の考えを言っておくことが大事というのは自分の中に刺さる言葉でした。

最後は思いも寄らない形になりましたが・・・。ユーグレナの出雲さん、強烈な印象を残しましたね。

新井:

会場から質問をうけたいと思います。

Q.
信頼関係と同時に信用が大事だと思います。皆さんにとって信用とはなんでしょうか?

青野:
本にも信頼と書いています。でも、ゼロイチじゃないですよね。

皆さん私に野球で期待するわけでありません。はっきり分かれるものがあるとすれば嘘をつくかどうか。

嘘をつかないというのは心に決めればできるのに本音と建前を分けたり。これがない奴は信頼から外れます。

寝坊したら寝坊しましたと正直に言う。アホはしょうがないけどウソはだめ。ぼくも寝坊しますから。寝坊して海外出張で帰れなくなったことがあります。

そこを信頼の基準にしています。

柳澤:
個人という観点ではどういうとらえ方をしているか。その人間が目に見えないもの、神とかでもいいけど信じているとか欲とは違う信念を持っていることを信じます。

自分の範囲で自分の頭で動いている人は困った時に間違ったジャッジをするけれども、信用できる人は自分より大きな存在を信用していると思います。傾向ですが。

出雲:
私たちは大学発ベンチャーとして社会にミドリムシに関する科学技術を社会実装することで貢献しようとしてるんですが、科学の世界では「信なくば立たず」。この人がウソをついてデータを出してくるとは正直申し上げて研究者は誰も考えていないんです。

資本主義の正反対にあるんです。世の中は性悪説な信頼がないのを前提に設計されているシステムがあると思いますが、サイエンスの世界は科学的真実を求めて勉強・研究しているこの人が真実と異なるデータを出すことは考えないという前提にたって成立してるんです。

見方によっては甘い、性悪説な人からは違和感があると思いますが。
信なくば立たず。
必ずあるという状態でお客様も含めて話しています。

山口:
私は製造小売をしていますので形で表現したいと思っています。

たくさんの人は途上国の可能性はあるとか子ども達は明るいと良い事を言うけれども実際はどうなの?というところを正真正銘プロダクトで見せるのが絶対大事だと思ったんです。

言葉でなく物を見ていただきたい。それは毎年よい方向に更新されていないといけない。年二回の新作は工場の自己ベストを更新する気持ちでやっています。

皆さんからもご要望を含めてうかがいたいです。

新井:
鎌倉投信について言うと金融機関は一般的に性悪説です。でも私たちは起業する時に性善説でやると決めました。

それでは甘いと業界の中では言われました。間違いなく言えることは上場していない会社は会計監査を受けていないので欺そうと思えば欺せるんです。何を信じたらいいのかといったら単純です。

この人を信じる。この人は絶対裏切らないと思うから投資ができるわけでベンチャーに近いほど人を見ます。この人を見るという事は数値化できないんです。

(マザーハウスの)山口さんは何点と点数をつけない。この人は信用できる、死ぬまでやるなと想いを感じるわけです。それが信用、信頼です。

Q.
皆さんの命を賭けてもいいというお話がありましたが、どうやってそれに巡り会ったか教えて下さい。

青野:
まだ巡り会ったかどうかわからなくて探している感じがあります。もともとコンピュータが好きで大学もそっちに行って、起業してM&Aをやって買収して、気づいたのが僕が興味があるのはグループウェアだけだったんだと。はよ気づけやという事です。

会社やっててもどうしたいのか、大きくしたいのか違う形にしたいのか今でも手探りです。

ずっと自問自答するものではないでしょうか。したいこと、求められること、出来ること、このモチベーション3点セットの交点を探しながら。

交点を見つけても常に変わります。やりたいことも自分が成長すれば変わるし、求められる事も時代によって変わります。それを追いかけながらながらやっています。

出雲:
2つのご縁です。一つは大学1年でバングラデシュに行ってビジネスでもいいなと思ったこと。こんなに栄養失調に困っている子どもがいて、栄養、栄養と言っていたら大学3年生のときにミドリムシに出会ったんです。

なんで大学3年生でミドリムシに出会ったか、大学1年でなぜバングラデシュに行ったのかというのが一番いただく質問なんですが、それに対する答えだけ持ち合わせていないんです。

ご縁としか申し上げようがなくて。皆さん本当に理由を求めていると思うんです。

なんでなのか?なんでミドリムシなのか。

本当に好きなことは理由なんかなくたってご縁があれば出会うことができました。理由がなくても出会えたのは大切にしたいと思っています。

山崎:
私はこの中で唯一副社長なので違う視点で提供できるかと思って話すんですが、もともとこのチャレンジをしたわけじゃないんです。

山口が勝手にバングラデシュでバックを作って持ってきたことから始まってます。山口がいなければこのステージにのってることもないんです。

僕らは大学時代にものすごく議論してたんです。口にしてた。チャレンジってみんなが始められるわけじゃありません。みんなそんなに強くない。でも、色んな人に言っておくとチャレンジがやってくることがあるんです。

大切なことはちょっとしたことも周りの人に言っておくことなのかなと思います。そういう事を言い続けた結果、たまたま山口がチャレンジを持ってきてくれた。

自分がやったと思うけれども、自分では始めなかったと思います。漠然としてでも色んな人にやりたい事を言って欲しいなと思います。

柳澤:
一応言っておくと面白法人なんですけどこういうところでは真面目な話しかしていません。

作っているものは後でブースを見ていただくとして、命を賭けるという意味では健康的な意味で長くないなと自覚したことがあるんです。自分の場合はそれでも最後までカヤックに行くなと思った時に命を賭けて取り組んでいるなと思いました。

どうしてそこに至ったのかというと色んな縁ではありますがしつこく長くやることです。超人的な能力に興味があって一流の達人になる為にはとにかく長くやることなんです。イチローとかもそうです。

スランプ状態にしつこく楽しく長くやると身体が面白法人的社長になっていく。タマネギみたいに剥いても剥いてもカヤックの社長というようになっていくんです。

例えば出雲さん、さすがに家では奥さんにミドリムシの話はしないですよね?こういうところだから話しているんですよねって思うかもしれないですけど、たぶん家でもずっと話しているんです。人間がそういうことになるんです。

新井:
そのとおりだなと思います。私も山崎さんと柳澤さんと足した感じ。

鎌倉投信には鎌田がいて、自分は最初はやるつもり全く無かったんです。鎌田がたまたまタクシーの中で僕が社会の為にやりたいと言っていたのを思い出しただけなんです。ファンドマネージャーがたくさんいる中で僕を選んだ理由はそこだけなんですよ。

声をかけてくれたんですが、それはたまたまなんです。当時自分は金融を辞めたいと思っていてやる気がなかったんですが、ようく考えると自分が社会のために役に立てる事って20年近く金融でやっていたので金融しかなかったんです。

他にできる事がないからこれしかないんです。どうしたらできるか考えただけで、たまたま日本一になりましたが、優秀なわけではなくてやり続けてたらたまたまそうなっただけなんです。

関わる人達の想いがあって達成するんですが、自分の力じゃないんです。続けたら達人になっちゃうというのは感じますね。

Q.坂本先生もいらして従業員を幸せにするという話がありましたが、従業員の方が喜んでいたというようなエピソードを聞かせて下さい。

青野:
これまで私の4時帰りを自慢していたんですが、この前営業部にやられてしまいました。

あるメンバーが奥さんが出張しているの忘れてアポを入れたんですが、保育園に子どもを送りに行かなくてははいけない。でもアポも抜けたくないと上司に相談したら上司が営業先に付いていって子どもを見てくれたんです。

それを写真にとって記事にしたらソーシャルにめっちゃ拡散しました。

私より面白いことをするやつがでてきました。だんだんクリエイティブになっていく感覚が楽しかったです。

山口:
日々バングラデシュでバッグを作っていますが工場が大きくなってきて、新しいスタッフは自分が創業者だと知らないで働いているんです。

ある時、就業後に私の給料はどのくらいかスタッフが話してたんです。結果は貢献レベルが日本円にして5万円だと(笑)。詳しく聞くとあくまでも一人の生産管理としての評価で、会社を作ったわけでもないので前のシーズンは良かったけど今期はダメだと評価しているんです。

ショックでしたが、私が型紙を作っていると危なっかしいから任せろと言って代わってくれたりしてくれるんです。「ありがとう」と言いながら私も誰よりも汗をかいて皮を切ったりしていて、横の関係で一生懸命作っているだけなのでそれでもいいかなと思いました。

だからこそアウトプットにはみんなで責任を持とうねと思いました。

鎌田:
Web参加の方から質問が来ています。

Q.
辛くてやめたいと思ったことはありませんか?そうした時に自分を鼓舞する、信念に変えたような言葉があれば教えて下さい。

新井:
皆さん順番にお願いします。

柳澤:
海に入ってます。

さっきの質問についても考えていたので答えると、従業員に喜んでもらえる事と言えばこんなことでも喜んでもらえるんだという事がありました。

貝畑というのがゲーム部門のトップなのですが何本かゲームタイトルがトップ10入りになって天才だと言われていたのがその後6本連続外したんです。それで暗くなってしまい、他のチームが当てるようになっても上場した後も外し続けたんです。

業績は達成しましたが自分の報酬を下げてもらいたいと言われて、創業者3人でやってるので他の2人も報酬を下げたんです。従業員のみんなもそういう仲間感みたいのが好きみたいで、スマップも解散してがっかりじゃないですか。経営者も仲がいいとみんな嬉しいんだなと、それは気づきです。

新井:
出雲さん、最後にお願いします。

出雲:
最後ですよね?
全然関係ないんですけど気になっていることがあって、山口さん程の人格者だと壇上に山崎さんがいるじゃないですか。これは明らかにずるいですよね。

僕もね、ミドリムシ呼んでほしいんです。このスポットライトのところに。

最後にスポットライトにあたってミドリムシと一緒に終わりたいです。副社長じゃないですけど。

新井:
ぼく、てっきり人を呼ぶのかと思った・・・。

出雲:
それで終わりたいなとずっと思ってて。
(スタッフさんがミドリムシを壇上へ)

新井:
ミドリムシ、全員で持ちますから。

出雲:
いえ、私が持つからいいんです。
(ミドリムシを膝の上へ)

新井:
それだけですか?

出雲:
ミドリムシは小さいんで大丈夫です。

新井:
こんなオチになると思ってなくて中途半端になりましたが・・・。
最後に素晴らしい経営者の方にぜひ拍手をお願いします。

 

「結い2101」第7回受益者総会
〜これからの社会に必要な若手経営者たち〜

日時:2016年9月10日(土) 12:00〜17:00
場所:横浜港大さん橋ホール
主催:鎌倉投信

  1. 開演挨拶
  2. 決算報告
  3. 基調講演 前編 中編 後編
  4. 投資先経営者自己紹介”カヤック”
  5. 投資先経営者自己紹介”サイボウズ”
  6. 投資先経営者自己紹介”マザーハウス”
  7. 投資先経営者自己紹介”ユーグレナ”
  8. パネルディスカッション 前編 中編 後編