いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

鎌倉投信:結い2101受益者総会(2016)詳細レポート Vol.2 第7期決算報告

結い2101受益者総会詳細レポートの2回目は新井さんによる決算報告です。

決算報告ではこの1年の投資先の増減とどのようなリスク管理をしているかを中心に話されていました。

例年ですと円グラフを2つ並べて前年と変わりのないことを確認していくという内容でしたが、NHKプロフェッショナルを見て受益者になった方が多く、ここ1年ではマイナスリターンという事もあり、現状について詳しく説明する内容になったのだと思います。

ここ1年では割高な株価への対応として簿価ベースの基準価額と時価の基準価額の乖離率を20%以下に抑えるというルールが追加されましたが、結い2101の運用方針に大きな変更はありません。

くは72さんが大阪の運用報告会のレポートをブログに書いています。
運用報告に対する質疑応答もありますのでご一緒にどうぞ。

結い2101決算報告

新井和宏さん(鎌倉投信 取締役・資産運用部長)

結い2101の概況 2016年7月19日現在(カッコ内は2016年7月21日)

純資産総額   :239億円(前年度184億円 +30%)
総顧客数    :16,098人(12,405人 +30%)
定期定額購入者数:9,563人(7,603人 +26%)

純資産総額は230億円になりました。これは私が昨年NHKのプロフェッショナルに出たのが理由です(笑)お客様の数も同じく30%増えました。毎月積立してくださるお客様が全体の59%いらっしゃいます。

昨年のNHKの放送の後に受益者になられた方もたくさんいらっしゃると思いますが、この中で受益者総会が初という方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか?
・・・だいたい4割くらいですね。

結い2101の投資先

鎌倉投信では3つのキーワードでいい会社を探しています。

  •  :人材を生かせる会社
  • 共生:地域で雇用を生んだり第一次産業を活性化している会社
  •  :日本らしい技術力、サービス力を持った会社

いま現在で投資先は60社あります。人をテーマに22社、共生というテーマで21社、匠というテーマで17社です。ほぼ均等な形で投資先を増やしています。

結い2101の新規投資先

今期は11社に新規に投資しました。

  • マイファーム:耕作放棄地をレンタル農地にしています。
  • ユーグレナ:ミドリムシで世界を変えようとしています。
  • サイボウズ:ITの会社ですが社長が16時に帰るイクメンなんです。
  • 浜松ホトニクス:基礎技術で利益を出している会社です。ノーベル賞受賞で皆さんご存知と思いますが、その前に投資してます。
  • スノーピーク:新潟のアウトドアの会社でユニークな製品が特長です。今日は鎌田がジーンズで話していましたが、いつもはスーツでした。特に話してませんでしたがあれはスノーピークのジーンズだったんです。後程ご覧になっていただけたら。
  • マザーハウス:途上国から世界を変えようとしている会社です。
  • テラ:がん治療の会社です。
  • ダイニチ工業:石油ファンヒーターの会社で後程基調講演される坂本先生の本にも出ています。いい会社なのでずっと投資のタイミングだけ見ていました。この会社は取引先を大事にするので基本的に在庫を抱えています。
    じゃあいつ投資すればいいのか?在庫が膨れ上がって利益が減る暖冬の時です。ようやく株価が下がったので買わせていただきました。暖冬待ちだったんです。
  • シマノ:自転車の世界で有名な会社です。
  • かどや製油」小豆島のごま油の会社です。共生で投資しました。
  • LITALICO:以前ワールドビジネスサテライトに出た時、鎌倉投信は投資先のエフピコと一緒に紹介されました。そのVTRの中で障碍者雇用率についての話題で出ていたのがウイングルという会社でした。今は社名が変わってLITALICOになっています。

全売却銘柄

全売却は1社、綜合臨床ホールディングスを全売却しています。事実上の吸収合併で、これまで女性が働きやすい会社を目指してやってこられていましたが新会社ではその方針は引き継がれませんでした。残念ですがこういう会社を応援していくことはあきらめないで続けたいと思います。

ただ、TOBの場合株価は上がるんですね。利益は出ましたが残念でした。

現在の投資先

現在60社に投資していて目標ウェイトは1社あたり1.3%、約3億円です。
基本的にはすべての会社に同じ比率で投資しています。

債券比率は投資先が増えて前年度の3%から4%へ増えました。未上場の会社へ債券投資するのは全体の5%未満という方針に変わりはありません。

マイナス金利でキャッシュに影響がありますが、現在の金利水準ではまだ大した影響はありません。ただ、今後マイナス金利が増えた場合の対応は既に検討しています。

今年は基準価額の変動率が上がったので株式の比率を下げました。お客様に基準価額の変動率(リスク)は10%が基準とお約束しています。簡単に言うと変動率が10%より高くなったらと株式を減して変動率が10%より少ないと株式を増やします。

また、割高への対応として簿価ベースの基準価額と時価の基準価額とを比較して時価の基準価額の割高度が20%を超えるようであれば株式の比率を下げることで株価の急落に備えるようにしました。

リターンの推移

初めてこの会場にいらした方にとってこの1年くらいは我慢のしどきだったと思います。申し訳ありませんが今は我慢していただくしかありません。

1年間投資した場合のリターンを比較すると株式市場(TOPIX)が-20.5%に対して結い2101は-7.7%でした。株式市場と比較するとマイナスは少ないですがどこまで我慢したらいいのか気になると思います。

過去5年間のデータで1年間投資した場合のリターンで最も悪かったケースは結い2101で-7.7%、つまり今が一番つらい時期なんです。10%ほどのリスク(基準価額のぶれ幅)をとっているので短期的にはこういうこともあります。日本株の平均は最高+65.0%、最低が-22.0%でした。

皆様が安心できるように運用していますがもう少し我慢してほしいと思います。

ただ、我慢するにも理由が必要ですね。投資先の会社に期待して欲しいんです。運用の結果が悪いのは新井の責任ですが、投資先の会社の業績はアベノミクスの追い風を受けて年率7%くらいのペースで上がっています。

それなのになぜ足元でマイナスなのか?たまたま株式市場の上下の関係で短期的にふれているとご理解いただけると思います。皆様にご安心いただけるようこれからも運用を続けていきます。

取引コストは4bsp。昨年は5bspでした。売買回転率は57%、昨年は71%でした。

第7期の収益分配はありません。お客様にとっては分配金はいらないと思います。なぜなら結い2101は分配金再投資型で分配金を出してもお客さまの手元に入るわけではないからです。

NISA口座で分配金を出した際、分配金が一般/特定口座にいってしまう問題もあり、基本的には分配は見送ろうと思っています。

鎌倉投信が投資したお金はどんな風に役立っているのか?

あるお客様がお友達からこんな事を言われたそうです。

「結い2101に投資しても上場している会社の場合、セカンダリーマーケットと呼ばれる株式市場で株式を売買してもその企業にお金はいかない(売買した投資家の間で代金が行き来するだけ)。その企業の役に立っていると言うのはおかしいんじゃないの?」

それが悔しいんですとお客様がおっしゃられていました。我々は違うんですよと言葉で言ってもなかなかご理解いただくのは難しいと思いますので、投資先さんにとってどれだけ我々が貢献できているのか直接アンケートをとって聞いてみることにしました。

8月に始めたのでまだ回答が集まっておらず、現時点で60社中約半分の32社から回答をいただいています。

日頃「結い2101」の運用者である鎌倉投信が役に立っていると感じている点があればお選びください。(複数回答可)

私たちは株主ですから、当然回答にはプラスにバイアスがかかってます。そんな中、特に感じていないと回答してくださった会社さんがあります。LITALICOさんです。理由は投資したばかりで現時点では特に感じないというものです。

批判的な事は言ってくださっていいんです。私たちも全て出来ているわけではありません。その意見をもとによりよくしていく事ができます。安定株主として業績に左右されず保有されるというのは上場企業であればほぼ回答するでしょう。

それよりも鎌倉投信に投資されることで会社の評判があがった、社員へのいい影響があがったというのは嬉しいですね。こうした声を糧にこれからもがんばります。

今後、鎌倉投信が御社の役に立つために、期待される点があればお選びください。(複数回答可)

こちらでは社員の教育や経営者との対話などが選ばれています。安定株主や短期的な業績に左右されず保有というのはほぼ自動的に選ばれます。その他というものはこれは各社さん毎異なりました。そちらに今、対応している最中です。

今回、お客様がこういう機会をくださいました。
鎌倉投信としても投資先さんにできていないことがあり、期待されていることもありました。京都の会社さんには月曜に行ってきます。こうした活動は来年の受益者総会でご報告できると思います。

企業と対話する基本姿勢は利益や配当という活動ではなく、企業の社会価値をあげる活動を応援していくというものです。

個別アンケートの回答を抜粋しました。

「受益者総会や勉強会での良縁が一番の価値と考えています。」

「受益者総会に参加させていただいた様子を社長はじめ広報部員にも話しました。」

「受益者向け説明会で皆さまの生の声を聞かせていただきました。」

少しでも役に立っているという事をお客様にも実感してほしいと思っています。我々はやり続けるだけです。私たちは皆さんから報酬をいただいて「いい社会」にすることをお約束しているので、お客様にはいい社会を作る会社を知っていただいて、応援していただく必要があります。

投資先へのアンケートですが、いい事ばかりアンケートに書いてしまい生の声にならないという問題があります。

大きな会社だと鎌倉投信が対応させていただいてる部署が何か所かあるのですが、アンケートの送付先は通常はIR、広報、財務部門になります。送付先が鎌倉投信と関わっているかどうかによっても回答に違いがあり、こちらが戻ってきてほしい内容にならないことも多くあることがわかりました。

こういう事は1回ではわからず、続けないとわかりません。今後はアンケートをよりよくする必要があります。アンケートも大事にしながら企業と対話しつつ生の声をフィードバックしていきたいと思います。

鎌倉投信がたくさんお金を持っているから企業と対話ができるわけではありません。
そもそも私が対話するに値する運用者でないといけません。私自身が価値のある相手であることが求められていますので私が精進しながらお客様の代弁者として歩んでいきたいと思います。

皆さんには直接つながっている実感を持ってほしいと思います。運用に関してはご心配をかけているかもしれませんが、短期的なものだと思っています。

安心して投資を続けていただけるよう運用し続けていきます。

 

「結い2101」第7回受益者総会
〜これからの社会に必要な若手経営者たち〜

日時:2016年9月10日(土) 12:00〜17:00
場所:横浜港大さん橋ホール
主催:鎌倉投信

  1. 開演挨拶
  2. 決算報告
  3. 基調講演 前編 中編 後編
  4. 投資先経営者自己紹介”カヤック”
  5. 投資先経営者自己紹介”サイボウズ”
  6. 投資先経営者自己紹介”マザーハウス”
  7. 投資先経営者自己紹介”ユーグレナ”
  8. パネルディスカッション 前編 中編 後編