昨日、コモンズ投信主催のセミナーで日本における難民問題についてお聞きしました。
第7回コモンズSEEDCap最終候補者・難民支援協会 石川さんに聞く!
〜わたしたちが難民支援協会とできること〜
「より良い明日」のための作戦会議第1弾
日時:2016年8月26日(金)19:00〜
場所:CAFE SALVADOR BUSINESS SALON(カフェ サルバドル ビジネスサロン)
講師:石川えりさん 認定NPO法人 難民支援協会 代表理事
難民ってどんな人?
難民とは紛争や人権侵害などから自分の命を守るためにやむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人達のことです。例えば民主化活動に参加した、改宗した、同性愛者などの性的マイノリティ、反政府勢力の活動下地域に住んでいるために「反政府」と見なされて迫害を受ける、またはその逆のパターンなど母国を追われた理由は様々です。
でも、母国を追われたという事情はあっても日本に難民申請をした人たちは日本で生活しようと思ってくれた移住希望者でもあります。
石川さんのお話を聞いて難民って「避難民」のことなんだとまずそこがしっくりきました。
日本における難民認定の厳しい現状
紛争や人権侵害などにより故郷で住むことが出来なくなった難民は2014年には5,960万人にものぼります。最も多いのがシリアで388万人、アフガニスタン259万人、ソマリア110万人と続きます。
2014年の世界における難民認定者数はドイツが最多の3.3万人、アメリカ2.1万人、スウェーデン1万人、イギリス1万人、オーストラリア2,500人という状況です。日本は1981年に難民条約に加入していますが、2014年は申請者が5,000人に対して難民認定者数が11人という狭き門です。2012年は2,545人の申請に対して18人、2013年は3,260人の申請に対して6人ととにかく少ないという印象を持ちました。
このあたりは日本への移民が少ないのと同じ背景があるのではないかと感じました。
難民認定されるまでの生活支援
難民申請をしてから結果が出るまで平均で3年、長い場合は10年近くかかる場合もあります。申請から6ヶ月が経過すると就労が認められますがそれまでの生活は基本的に母国からの所持金で自活することを求められています。
人道配慮から難民としては認められないものの日本への在留資格を得る人もいますが、日本での法的な立場は異なり、日本語習得や就職の支援が受けられなかったり家族の呼び寄せが難しかったりします。
難民支援協会ではこのような難民申請中の方たちに難民認定のための法的支援、医職住の確保といった生活支援、定住支援などを行っています。
ちなみに下のスライドに映っているのはある方の難民申請に使った申請書類の束ですが、これで一人分だそうです。難民であることを証明するためにこんなにも大量の書類が必要になることに驚きました。不法入国者の滞在を取り締まりつつ難民を受け入れるとこうなるという事なのでしょうが、日本に住みたいという事に対して壁が高いと感じます。
難民認定されると何が変わる?
日本が難民認定をあまりしていない事はニュースなどで知っていましたが、難民認定されると何が変わるのでしょうか?
難民として認定されることでまずは日本に定住することが認められ、母国への強制送還の恐怖から解放されることが最も大きな違いのようです。母国で迫害を受けていた人達にとってみると逃げてきた母国へ強制送還されるのは最も避けたいことです。
難民といっても日本に住んでしまえば特に何か違うわけでもなく、同じように働きますし、子どもは学校へ行き、普通に生活することになります。母国で迫害を受けて暮らすことが出来なくなった以外は普通の人達なのです。
参加してみての感想
難民支援協会の事は知人を通じてどんな事をしているのかうっすらと知っていたのですが、難民問題というのは国外で起こっていることというような意識があり、UNHCRへの寄付などを通じて関わっていました。
今回石川さんのお話を聞いて難民というのは避難民であり、難民認定されて日本に住んだ後は特に他の人達と変わらないという事が腑に落ちました。子どもの頃インドシナ難民がたくさん日本に来たというのはなんとなく記憶していましたが、日本の難民問題についてあまりにも無関心だったなと思いました。
イベントに参加された方の話を聞いても思ったのですが、難民申請中の方達を支えるには専門的な知識や生半可ではない覚悟が必要です。石川さんのお話を聞いてまず自分に出来ることをしようという事で、5,000円寄付しました。
子どもや貧困、障がい者など支援が必要だろうと一定程度認識されている分野と比べると日本にいる難民申請者、難民についてはまず知ってもらう事から始めないといけません。
コモンズ投信の社会起業家との出会いセミナーが続きます
コモンズ30ファンドの信託報酬のコモンズ投信受取分の1%を社会起業家に寄付するコモンズSEEDCapという仕組みがあります。
社会企業家の方達との出会いの場として社会起業家フォーラムを毎年開催していて、今年は10月1日(土)に文京学院大学 本郷キャンパス 仁愛ホールで開催されます。
それに先立ち、今年のコモンズSEEDCap寄付先の候補者だった3団体の代表のお話をじっくり聞く機会が設けられており、今回の難民支援協会の石川さんは1回目でした。
次回は9月2日に貧困を抱える子どもの就学支援を行い3keys、9月14日には世の中からポイ捨てを無くすための取り組みを行っているピリカと続きます。興味を持たれた方は是非参加してみてください。
第7回コモンズSEEDCap応援先・3keys森山さんに聞く! ~わたしたちが3keysとできること~ 「より良い明日」のための作戦会議第2弾
第7回コモンズSEEDCap最終候補者・ピリカ 小嶌さんに聞く! ~わたしたちがポイ捨てゴミにできること~ 「より良い明日」のための作戦会議 第3弾