いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

「いい会社のつくり方を新井和宏(鎌倉投信)、岩元美智彦(日本環境設計)に訊く」レポート Vol.1

WIRED Vol23の「Good Company」特集の中で鎌倉投信と投資先のいい会社が取り上げられました。6月28日にはWIRED編集部と鎌倉投信の新井さん、日本環境設計の岩元さんとのトークセッションが六本木で緊急開催されましたので、その模様をレポートします。

WIRED VOL.23/特集 GOOD COMPANY いい会社

WIRED VOL.23/特集 GOOD COMPANY いい会社

 

いい会社のつくり方を新井和宏(鎌倉投信)、岩元美智彦(日本環境設計)に訊く

 日時:2016年6月28日(火) 19:30〜21:00
 場所:WIRED LAB.
 出演:新井和宏(鎌倉投信)、岩元美智彦(日本環境設計)
 主催:WIRED編集部

WIREDと鎌倉投信の出会い

WIRED:
鎌倉投信とはなにかという事を少しお話しししようと思います。きっかけはダイヤモンド社の編集者が新井さんの本を出したのですが、その時に紹介いただいたんです。 

投資は「きれいごと」で成功する――「あたたかい金融」で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資のルール

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その後「6月にいい会社の特集をやる。担当はお前だ。」と編集長にいわれて「いい会社」ってなんだ?と思いました。そこでこの本があるという事に繋がって、今年の2月に新井さんにお話を聞きに行きました。

新井:
今思うと僕の方が失礼だったんです。WIREDを知らなくて、ちょっと見てもいい会社を本気で特集するような雑誌に思えませんでした。気持ちがこもっていないだろうそんな気持ちで最初はお会いしました。

「良い会社」ではなく「いい会社」

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WIRED:
そんなこんなで新井さんからいい会社の目利きを聞いて特集でヤマトHDとの対談を行いました。特集記事の中で「いい会社の条件」として5つの切り口を紹介しましたが、新井さんから見てどういう条件なのか、またどうやって見極めているのか聞かせていただけますか?

新井:
いい会社と聞いてまず想像されるのは伊那食品工業です。

私も大好きで何度も行かせてもらっています。鎌倉投信の「いい会社をふやしましょう」の元ネタはこの会社の社是「いい会社をつくりましょう」で、塚越会長からOKもらって公式にパクりました(笑)

「良い会社」ではなく「いい会社」です。

ここが重要なんです。皆さんがいい会社だなと思う会社がいい会社で、それは数字では測れません。前職で金融工学の最先端をしていましたが、外れ値はいい会社そのものだと思います。

いい人だなと思うのと一緒でいい会社だなと思うのがいい会社です。

一つ目に理解して欲しいこととして、いい会社を調べる共通点があります。
今日は代表として岩元さんをお呼びしていますがまず全てのステークホルダーを幸せにするという事です。日本には三方よしという言葉が昔からありますが、今はステークホルダーが増えてきたので三方だけでは足りません。

伊那食品工業の塚越会長がおっしゃっていますが幸せになりたくない人はいません。感じるものは人それぞれ違いますが、関わる人達を幸せにしているかどうか、まずそれが一つ目です。

二つ目に会社が必要とされる理由を調べます。会社は皆さんが必要とするから存在し続けられます。課題先進国と日本は言われていますが、課題というのは昔から存在していました。

例えば魚がすぐ腐るから冷蔵庫ができました。その時は魚が長く保存出来ないことが社会課題だったんです。今は社会課題は違うところに存在しています。そして難易度は高くなり、事業家に求められるハードルもあがりました。

岩元さんのように環境問題に取り組んでいる会社はだから必要とされるんです。我々がいい会社を見る観点はみんながいい会社と思うか、そして社会課題に対してどう対峙しているかの二つです。

会社を見つけるという観点では取り組んでいる人達の集まりにいくのが早いんです。
障がい者雇用であれば会社の障がい者雇用率にフォーカスするのではなく実際に障がい者を雇用している社長が集まるNPOへ行くんです。そしてその後飲みに行くと正直に話してくれます。

例えばうちの社長は理解が無くてという愚痴を聞いたらその会社はブラックリストに入れてじゃあどこが社長の理解があるのか聞いてみます。そうしたらそこを調べに行けばいいんです。わかりやすいインサイダー情報ですが、業績とは関係ないのでこれで捕まる心配はありません。

いい会社の探し方

WIRED:
投資にいたるまでのプロセスはどうなっていますか?

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新井:
一つの情報だけで信じないことです。必ず多面的な情報を見るようにしています。
大きな会社だとだいたい社員が知り合いにいるものです。そこで「社員的にどう思うの?」と聞いてみます。欲しいのは本音です。また、転職サイトを見ているとその会社を辞める人の共通要素が浮かび上がってきます。

BtoCの会社は実際にお店に行くようにしています。IRに行くと投資して欲しいのでどうしても化粧をされてしまいます。その化粧をどう剥がすか、素の顔をどうみるかプロとして試されています。

WIRED:
他の会社を見る時、どんなところを見ていますか?

新井:
使うのは2つです。
一つ、不意打ちは重要です。

岩元:
本当に来るんです。僕が出掛けていないときに。
会社に戻ると新井さん来てましたけどコンタクトありましたっけ?と聞かれました。
僕がいないのを知っててわざと来るんです(笑)

新井:
社長の席に座ってみるのが大事です。
席から何が見えるのか?見たくないと思っているのはなんなのか?社長の席に座って社員とコミュニケーションをとります。そうして今度は違う席にいって社長はどういう人か聞いてみます。社長がいないときにいくのが大事で、突然行きます。

また、初めての会社は興味があって来ましたと言ってどう対応するのか確認します。
適当にあしらうのか、興味があって来たんですねと丁寧に対応するかにその会社のホスピタリティが現れます。いい会社は興味を持ってくれた人を大事にします。

もう一つはお客様用トイレではなく従業員用トイレに行ってみます。
清掃に業者が入っている入っていないは関係ありません。トイレに会社の本当の姿が現れます。