いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

【いい会社訪問】マザーハウス レポート(3):マザーハウスはなぜ鎌倉投信の社債投資を受け入れたのか?

2月25日(木)にマザーハウス本店で行われたいい会社訪問(マザーハウス)レポートの3回目です。

いい会社訪問(マザーハウス)
 日時:2016年2月25日(木) 20:00〜21:30
 場所:マザーハウス 本店

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鎌倉投信からのお金を受け入れたワケ 

マザーハウスでは自分達の信じる道を外れないためにこれまで外部からの出資は一切断ってきました。山崎さんは鎌倉投信なら一緒に歩んでいけると判断、社債という形で鎌倉投信からの投資を受け入れました。

新井:
投資する側からすると会社のバランスを見ています。
山口さんだけでは個人的に不安になることがあります。
情熱がある人ですが、経営となると財務的なこともあるので山崎さんとのペアに安心感があるんです。
こうした役者が揃わないとなかなかうまくいかないのでご一緒できて嬉しいです。
なぜ鎌倉投信を選んだのでしょうか?

山崎:
鎌倉投信だからお願いしました。
これまでにも出資について沢山話はありましたし、上場の話もありました。
でも、全部お断りしています。

僕はゴールドマンで金融の怖さを見て来ましたが、マザーハウスはすごく主観なんです。
自分は正しいと思ってるけど、社会の皆さんがどう思うかは別ですし、それを守るために僕らの想いに合ったお金を使えるかも別の話です。

鎌倉投信はすごいと思いました。
金融を変えたいと思ってゴールドマンにいた時にこういう会社があるといいのにって思っていた会社なんです。

心があるお金を集める夢みたいな話は出来ないと思っていました。
それで僕は事業会社から世界を変えていこうと思ってマザーハウスに参画しました。
なので法人のお金すらマザーハウスには入れたくないと思っていました。
法人はトップが変わると変わってしまうからです。
最初は僕も鎌倉投信を疑いました。

新井:
鎌倉投信にやって来て、「こんな事をやってどうやって儲けるんですか?」と言ってましたね。

山崎:
会いに行って直接自分の疑問をぶつけたんです。
「本当になんとかなるんですか?」とか具体的に何をしているのか聞きましたが、新井さんはとにかくプロなんです。

社会的にこういう事は想いだけでは出来ません。
それだけでできれば苦労しないです。
ものをつくるプロで無ければいいものをつくれないし、世界は変えられないと思っていましたが、鎌倉投信を知ってからここなら大丈夫だと思いました。

社債への投資の意義

鎌倉投信ではマザーハウスの社債へ投資しました。株式を保有するわけでもなく、10年という長い期間の資金を提供しています。
マザーハウスにとって自分達の信じる道を曲げないために株式は売りたくない、銀行から借り入れるには個人保証が必要になる。これから世界に羽ばたこうという時、社債という形で資金調達できた意義は大きいと思います。

新井:
最初の出会いが「本当にできるんですか?」という形だったので投資できて良かったです。
これからマザーハウスが世界に向けて展開していく中でパートナーとして認めていただけて嬉しいです。

山崎:
普通はこんな事は普通ありえないですよ。
この国は銀行から借りたら個人保証なんです。
ビジネスプランコンテストや信金などが行っている顔がみえる借入も百万円単位の金額です。

世界を目指そうとするような金額となると、上場くらいしか調達方法がありません。
銀行からの借入もしていますが、とにかく個人保証という個人がリスクを取らないと出来ないんです。

鎌倉投信には債券で資金を出してもらえてありがたいです。
株を持つわけでもなく、社債という中間の距離感でいてもらえる事にすごく意味があると思います。
お眼鏡にかなう会社であればこれからも増やしていって欲しいと思います。

これからのマザーハウス

設立から10年を迎えたマザーハウスが目指しているのはなんなのか山崎さんが話して下さいました。
「経済性のために自分を殺して働いている人が生きるようにしたいです。」
この言葉、グサっときますね。

新井:
これからの展望を聞かせてください。

山崎:

ようやくスタートラインについた会社だと思います。
生き残るのに必死だった時代も長くありましたが、やりたいことができるようになって自分達が成長しないと行けなかったところを目指すスタートラインにつくことが出来ました。
スタートラインとは何か。
世界には色んな人達がいます。
多様性の違いが本当に尊重されてものが届けられているのか。
宗教や文化の違いは残念ながら暴力に向かっています。
ものを通じて相互理解していくことで多様性の違いが尊重される世界を作りたいです。
僕たちはまだ何も出会えていません。
6か国で330人くらいのスタッフがいますが、逆にいうと可能性を発揮できないままでいる人がまだまだ世界にたくさんいるという事です。

経済性のために自分を殺して働いている人が生きるようにしたいです。

受益者からの質問)
なぜ金融で世界を変えられないと思ってから「ものづくり」の世界に飛び込んだのでしょうか?

山崎:

まず、今の世の中は株主を見てものをつくるようになっています。
四半期決算が問題で、私たちも7年かけて工場を作ることができましたが、四半期で何が出来るというのでしょうか。
そういう環境でちゃんとしたビジネスはできますか?
システムの暴力なんです。
根本 投資の仕組みを変えないといけません。
それが鎌倉投信です。
成功した人が出ることが重要です。

なぜマザーハウスなのかというと、卒論に書いたことをやっています。
僕は資本主義が嫌いでゴールドマンサックスに行きました。
経済人が自分の価値観に基づいて生活できているかという事です。
消費、投資、労働この3つが全部連動している人は少ないです。
選択肢をふやすことが重要でものを買うことが誰かの為になっているという風につながる仕組みが足りていません。
金融から変えようと思ったのですが時間がかかるので消費を変えようと思いました。

ありがとうと言われたいんです。

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