マネー資本主義、里山資本主義のNHK取材班が今度は「里海」に着目した本を出しました。
くしくも先日畠山重篤さんの『森は海の恋人』を読んだばかりという事でこの本で伝えようとしていることがシンクロして感じられました。
一度は汚染された瀬戸内海が厳しい排水規制とともに綺麗な海を取り戻し、そこに豊かな生態系が戻るために一役買っているのが「牡蠣」なんです。貝類は毎日大量の海水を体内に取り込み、プランクトンを食べて海水をはき出すことで浄水機能を持っています。そしてきれいになった海に甘藻が生えることで小さな魚が生きていける海の森が出来上がり、小さな魚を補食する大きな魚も周りに集まり出すのです。
甘藻は海を豊かにするだけでなく、昔は肥料としても使われていました。里山の雑木林が燃料を家々に供給し、落ち葉が肥料として使われていたように海岸沿いでは甘藻が魚の住処であったり、乾かして肥料として使われていたのです。ここにもタダで使える地域の資源がありました。
「獲れるだけとってたくさん売ってお金を稼ぐ」
そうした資本主義と軸足をずらしてあげると地域には地域ならではの豊かさがまだまだ眠っていそうです。都会に住みながらお金を払ってなんでも解決しようとするとたくさんのお金が必要ですが、地域の資源をうまく利用することで必要なお金も減るし、自然と人間が共生することもできるのではないかと思います。
海でも山でも自然のままに戻すという事ではなく、人が関わることで生まれる循環「里山」「里海」がもっと注目されようになると日本はもっと無理のない社会になるのではないかと思います。