いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス投資実践ガイド [著]山崎元、水瀬ケンイチ

山崎元さんの理論編に水瀬ケンイチさんの実践編が一冊にまとまっています。
コツコツ参加者に投資を始めたきっかけを聞くと結構な人がこの本を読んで勉強したと答える入門書なのですが、今回もお二人の想いが詰まっています。 

全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)

全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)

 

インデックス投資は仕組みとして合理的で、多くの人が悩むファンド選びにおいて悩まずに済む便利な投資手法です。手っ取り早く儲けたいという人には残念ながら向きませんが、じっくり時間をかけて資産形成・運用をしていきたいと考える人には向いた方法です。

この本で一番大事なのはあとがきに水瀬さんが書かれたこの部分だと思います。

今後、いつまたリーマン・ショック級かそれ以上の大暴落が来るか分かりません。いざ、そのような場面に遭遇したとき、インデックス投資家を支えてくれるのは、信託報酬が0.01%安いファンドを持っているかどうかではなく、インデックス投資の「本質」が自分の腹に落ちているかどうかでは無いかと思います。

ダイエットや英会話などにも身につけるために合理的な方法というのは存在するのですが、王道と言われる方法は時間をかけて行うもので成功するかどうかは継続が出来たかどうかです。資産運用においてもインデックス投資のような王道の方法は時間がかかります。

水瀬さんが書かれているようにインデックス投資で資産形成を成功させるために必要なのは0.01%の信託報酬の差にやっきになるよりもしっかり腑に落とす事だと私も思います。でも、残念なことにリーマンショックのような暴落後には水瀬さんを始めとするインデックス投資ブロガーには非難の声が多く届いたそうです。

方法が仮に合理的で正しかったとしても続けられるかどうかはまた別問題です。評論家という立場上、投資ポジションを持たない山崎さんが投資を実践している水瀬さんを共著の相手に選んだ背景には教科書的な理論だけでなく、それを実践する上でのノウハウを補完して欲しいという想いがあったのではないでしょうか。

オーバーコンフィデンス(自信過剰)の例として自分はインデックス以上の成績を残せる、ファンドを選べるというものがよく紹介されます。インデックス投資家は銘柄選びという部分においてはうまく回避しているのですが、残念なことに値下がりリスクへのオーバーコンフィデンスはアクティブ、インデックスどちらの投資手法を使っていても発生し得ます。

全国で開催中の「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」という会は暴落した時に恐くなって投資を止めたくなる人が思い留まるために何とかできないか?という事で始まりました。幸いなことにコツコツを始めてから大暴落は発生していないのですが、参加者数は相場の波に比例します。(上がると増え、下がると減る)

この本を読んで投資を始めようと思った方には2章にある「運用中の心がまえと注意点」についてじっくり考えて自分のものにして欲しいと思います。数ある投資本の中でもこういった事が書かれている本は稀です。ここにこの本の最大の価値があると思います。

個人的には投資を続けるためにもう一冊本を読むことをオススメします。この本はいい本ですが、やはり新書一冊の分量の知識で投資を始めるのは継続するという意味で心許ない部分があると思います。山崎元さんの理論的に書かれた本でもよいのですが、ここはあえてセカンド・オピニオン的に別の著書が書いた本を推薦してみます。

右脳派の人にはセゾン投信の中野社長が書かれたこちらの本です。投資で資産形成するってこういう事だよという理屈を情熱で包み込んで説明してくれます。難しい話を抜きにインデックス投資の本質を身につけるという意味でこちらをオススメします。古本だと安いですしね。セゾン投信の商品を推薦していますが、そこは別に無視しても構いません。

積立王子の毎月5000円からはじめる投資入門

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左脳派の人におすすめしたいのがバンガードの創業者、ボーグルさんが書かれたこちらの本です。この本が発売された後、私も本屋にしばらく通い、立ち読みで通読してからインデックス投資を始めました。(後で買いました)

しつこいわ!と怒りたくなるくらい、くどくどとインデックス投資の優位性をあれやこれやと様々なデータを使って説明してくれます。(褒め言葉です)

インデックス投資の「本質」を身につけようと思ったら今でもこの本が最高だと私は思っていますし、ボーグルさんが書かれた本だけは読んだ後に自分の個人口座でもインデックス投資に戻そうかなという誘惑に駆られます。こちらも今や古本は新書並みの値段で買えます。

インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流

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  • 作者: ジョン・C.ボーグル,John C. Bogle,井手正介,みずほ年金研究所
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本
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