11月22日(土)にレオス・キャピタルワークス本社で開催されたひふみ投信の第6期決算 運用報告会に行ってきました。東京会場午前の部の運用報告会の模様を私のメモを元にレポートします。
3回目はイタリア系関西人ヤッツォことアナリストの八尾さんです。八尾さんはおしゃれな見た目だけでなくアナリストらしい企業分析が魅力です。昨年牛丼対決の後に八尾さんの解説を聞きましたが、わかりやすくて満腹じゃない時に落ち着いて聞きたいと思ったものでした。
ひふみ投信 第6期決算 運用報告会
日時:2014年11月22日(土) 10:00〜12:00
会場:レオス・キャピタルワークス本社
八尾:今日は3つの事についてお話します。
- アナリストの日々の業務
- 買いたくなる企業
- 投資アイデア
アナリストのお仕事
アナリストの日々の業務は2つのアプローチがあります。
一つは美人投票。自分だけ美人と思っていてもしょうがないのです。どこかで株価に反映されるカタリストが必要です。もう一つはファンダメンタル分析です。時価総額や株式価値を業績などから分析し、価値と株価について考えます。
いつも株式価値と時価総額について考えていますが、両者のどっちが多いのか、この差は何なのかについてそれぞれになんらかの理由があります。それを判断しています。
株価そのものは気にしておらず、時価総額を見ています。
時価総額は利益×株価収益率(PER)で出来ています。
利益は現実の数字でPERは理想や夢、妄想や思い込みです。それを投資家がどう捉えるか、株価に落とし込んでどうなのか?その観点で考えています。
景気やマクロがどうなるか?これから何が起こるか考えます。風が吹けば桶屋が儲かるのような定性評価です。他に業種・銘柄選定といった定量評価も行います。そして最後にポートフォリオに組み入れるか判断されます。
ビジョンやビジネスモデルはサステナブルか?
重要なのは経営者のビジョンやビジネスモデルがサステナブルかどうかという点です。定性と定量評価のどっちが先というのはあまり関係ありません。買いたくなる企業はなにかというとまずビジネスモデルを理解します。どうやって儲けているのか?真似されるのか?それともオリジナリティがあるのか。業績も大事です。資本効率やガバナンスが次に続きます。また、経営理念がないと短期的に儲かる事があっても長期でふらつきます。
グリコ、共立メンテナンス、テンプHD
これらの企業はシンプルで強いメッセージを持っています。理念を現場までしっかり落とし込めているか。定量的にはかることはできないので感じるようにしています。
投資アイデアとして持っているのは日本はこれまで人口ボーナスにより市場が拡大して利益があがる土壌だったという事です。企業シェアとマーケットの大きさを見ると高度成長だけの理由ではなく、シェアが一定だったとしても市場が拡大すると利益も拡大する時代だったのです。
そしてバブルへGoからデフレへと変わりました。人口が横ばいになると勝ちと負けに分かれるようになり、市場が伸びなくなりました。今後は人手不足から生産人口の不足へ向かい、最終的には人口が半分の時代がやってきます。その中で新しく市場を開拓するか多角化するか経営判断が求められています。
企業の例(江崎グリコ、デンソー)
江崎グリコは業績を見るとべた凪でした。これは市場がフラットだったからですが、震災の反動減、タイの洪水と立て続けにあって利益が半減したところで構造改革を始め、2022年までに目標成長率4.5%を目指しています。
過去2-3年を見ていると構造改革の効果は統計的に2年くらいで出てきます。構造改革は瞬間的にも結果は出るのですがそれはすぐに落ち着き、本格的に業績へ影響が出るのに2年くらいかかります。江崎グリコでは外部人材の活用という面もありますが、やったことはシンプルです。
創業の事業であり、相続税対策の会社と呼ばれていたハム・ソーセージ事業を外部に売却したのです。これまでも利益重視と言っていましたが現場は信用していませんでした。でも、江崎直系の会社をあっさり売ったことでこれはおかしいぞとみんなが感じたのです。
次にデンソーの話をします。自動車はどんどん電装化されています。昔の車はパワーウインドウが無かったので人力のパワーでした。パワーステアリングも人力から電動へと変わりました。更には衝突防止センサーも登場して自動運転のようにになるとだんだん電装部分が儲かる構造になってきます。
デンソーは元々トヨタ系の会社でしたが、外部で使ってもらって儲けるビジネスモデルになりました。自動車作りはカーメーカーが全体を設計しますが、構成としては電子部品、構造部品、ソフトウェアとに分かれます。それらの連携部分はだんだん技術が高度化される中でブラックボックス化していきました。そのブラックボックスの統合ができるのがデンソーの強みです。
2015年に向けた流れ
2015年に向けての落とし穴としては風が吹けば桶屋がもうかるという流れはバブルの原因にもなるという点です。また、ファンダメンタルを見ている時はバリュートラップに注意が必要です。
資本効率が重要視されるであろう2015年に向け、今年はこのような流れがありました。
- JPX400の導入
- GPIFの委託先運用機関決定
- 日本版スチュワードシップコード
- 伊藤レポートの発表
議決権行使コンサルのISSが3年以上ROE5%以下の場合は取締役再任にNOを突きつけるという動きも出ています。
伊藤レポートとは一橋大学の伊藤教授を中心に企業の今後を決めたレポートで、大前段として人口減少の中で経常収支が赤字していくので資本効率を高めないといけないという内容です。日本は資源がないので国富をどれだけあげていくか考えたレポートです。
現状認識としては低収益、短期主義の反省を踏まえて基本的なメッセージを出していますが本文は長いので要旨を読むだけでもポイントをおさえれるのでぜひ読んで欲しいと思います。伊藤レポートの中では最低限ROE8%達成をコミットすべきと具体的な数字が出ています。
ひとの役に立つ企業を考えている
ふたつとない技術を持つ企業を
みつけてみましょうアナリスト
ひ・ふ・みです・・・。
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レオスの運用部インタビューはこちら。