リレーコラム「本日のスープ」30皿目はまろさんの寄稿です。
前回、rennyさんからかっこいい小型株ファンドが増えて欲しい!という願いを受けてまろさんらしい考察です。
ここから逆回転して31皿目は再びrennyさんになります。
前回のrennyさんの話によると、時価総額の小さい会社に投資するファンドって少ないみたいだね。私は投資信託の品揃えには詳しくないから知らなかった。そして2つの点から少し不思議な気がした。
- 今後のビジネスの行方
- 伝統的な日本人の好み
まずビジネスがどこへ向かっているのか?
その考え方のひとつなのだけど、
- 企業が創造し消費者が受動的に消費する(20世紀)
- 消費者が必要なものを自ら創造する(未来)
私たちは今、この2つの中間地点にいると思う。
たとえば音楽や出版の分野で、消費者は聴き手や読み手の立場だけでなく、自ら曲や本を作り、発表することができるようになっている。
投資の世界でも日本株については未来の形に近づきつつある。開示情報が豊富な有名企業への投資に限って考えれば、1社1,000円くらいから投資できるようになった段階で、投資信託の存在意義はほとんどなくなるだろう。
だが知る人ぞ知る企業への投資となると話は異なる。世に出回る企業の情報量はまだ少なく「足で稼いだ」情報の価値は高まる。運用会社にとって、プロとしてアピールできる領域は、小型株ファンドにしか残されていないはずなのだ。
次に伝統的な日本人の好みから。
清少納言が「枕草子」で「ちひさきものはみなうつくし」と残したように、日本人は古来より「小ささ」に「美」を見出してきた。例を挙げるなら、
- 7世紀に中国から来た「うちわ」を「扇子」へコンパクト化
- わずかな文字数に世界観を凝縮する「和歌」や「俳句」
- 寺院を縮小した「仏壇」を自宅に置く
- 自然を手のひらサイズにした「箱庭」や「盆栽」
そしてもちろん近年の代表例はソニーの「ウォークマン」。
こうした日本の伝統から考えると、「小ささ」に目が向いていない株式投資の世界は、いまだ欧米からの借り物の段階で、日本に浸透したとは言えないのだろうなぁ。
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