12月17日(火)に「コモンズ30運用報告会」および「新ファンドのご案内」in東京が開催されました。
開催日時:2013年12月17日(火) 19:00〜21:00
場 所:AP東京八重洲通13F Bルーム
主 催:コモンズ投信
講師
コモンズ投信株式会社 代表取締役会長 渋澤健氏
代表取締役社長 伊井哲朗氏
運用部部長 糸島隆俊氏
講演のメモをシェアします。
糸島さんからはザ・2020ビジョンの運用方針について話がありました。
【概要】
- 投資委員会で複数の視点で超長期目線で銘柄を選ぶのではなく、2020は運用部に一任された運用を行う。
- 80点の会社が100点、120点と成長していくのに投資するのがコモンズ30、2020では25点の会社が50点や40点の会社が60点といった会社の変化に投資する。
- 二つのファンドで銘柄が重なる事は基本的になく、2020のポートフォリオはいつも今が旬のフレッシュな状態にする。
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糸島 隆俊氏(コモンズ投信株式会社 運用部部長)
■運用体制上の違い
コモンズ30では投資委員会で銘柄を最終決定していますが社長、会長自ら入って運用している会社は普通ありません。普通の運用会社には運用部があって、そこで企業調査を行ったり投資判断を行っています。
先ほど渋澤と伊井から糸島に任せるという言葉がありましたが、そういう意味ではザ・2020ビジョンは運用部に任されたファンドと言えます。もちろんチェックは入りますが、通常の投資判断は運用部として決めていくことになります。
運用部は今、私ともう一人上野の2名ですが来年以降人は増やしていく計画です。コモンズ30ファンドと合わせて80銘柄を見ることになりますが大丈夫ですか?という声には大丈夫ですとお答えします。
通常の運用会社が運用しているファンドではだいたい70~150銘柄くらいを一つのファンドで投資しています。また、大手運用会社になると一人で10ファンドくらい担当することもありますのでそれから比較すると80銘柄というのは厳選していると言えます。
また、運用部が2名ということに関して人数ではないとお伝えします。運用は足し算ではなく、引き算ですのでマイナスの人がいると全体の足を引っ張ることになってしまいます。マイナスをなくすためには少人数精鋭でやった方がいいのです。量よりも質で勝負したいと思います。
■お客様との対話について
お客さまとの対話についても重視しています。渋澤や伊井のように年間100回は無理ですが、できる限りお客さまの前に出て運用報告をしていきたいと思います。
また、直接お会いできないお客さまに向けて月次レポートでも報告をしていきます。残念ながらこれから投資しようとしている銘柄などなんでもかんでも出せるというわけではありませんが・・・
その他の取り組みとして金融教育にも取り組んでいます。日本人は金融リテラシーが低いと言われていますが普通の人の金融リテラシーをあげたいと本を書いてサポートもしています。
■ザ・2020ビジョンの運用方針について
渋澤、伊井の話を少し補足します。
2020年を起点とした変化という話がありましたが、それは仮になかったとしても有効だと思っています。人口動態や観光の分野についてもです。
ROE7%以下の会社はデフレや既存の雇用体系、会社のマネジメントの問題などもあってそうなっていたのであって、だから悪いというわけではありません。これまでコモンズ30ファンドでは世界に出て行った会社に投資してきましたが、そうでない会社も内にこもってじっとしていたわけではなく外に出て行こうとはしていたのです。
また、企業の変化に投資するという面を株式投資理論で補足します。
これまで25点だった会社が頑張って50点になると変化率は100%になります。50点の企業は平均に埋もれてしまっている会社で、コモンズ30は80点の企業が90点、100点、120点を目指すという投資をしていました。
変化という意味では25点が50点、40点が60点というレンジが大きく成長をとげる場所と言えます。利益が倍になれば株価も理論的には倍になると言えますので、ここへ投資をしたいと思っています。
5-10年の中期的視点と言っていますが、普通の投資信託ではそれでも十分に長期投資と言える期間です。企業は一般的に計画をたてても中期3年計画くらいです。それがIT企業になると1ヶ月先どころか明日がどうなっているのかわからないというようなスピード感の会社もあります。
50銘柄というのは逃げないという事です。普通の投資信託のように150銘柄に投資しておけば何かが上がっているので成績が悪くても全体でお茶を濁した報告ができますが50銘柄に絞ったということは責任をとって逃げずに投資するという事です。
また、バイアンドホールドもしません。バブル相場に入った場合は株式のウエイト落として現金を多く持ち、守るようにします。現金を多く保有するのは今までいた会社ではできず、株価が下がってもおかしくない状況であっても売ることは出来ませんでした。そういう局面で株を売る代わりに食品や電力といったディフェンシブな企業に逃げていたのをやらなくてもよくなります。
マネジメントの変化という意味では経営者の変化はコモンズ30へもつながっています。新しくROEを重視した400銘柄からなるインデックスも作られましたが、逆に言うと100社は落ちたという事です。こうした会社は採用に向けてかなり頑張るものと思われます。世界1位と3位も統合する時代にあって下の会社も頑張らないといけなません。ROE上げるには弱者連合で順位を上げるよりも強いところが組む方がいいのです。
最後にザ・2020ビジョンではいつもフレッシュな銘柄、いま活躍できる銘柄を組み入れるようにします。
質疑応答
Q.同じ期間に二つのファンドで投資先の企業は重ならないのですか?
A.
重ねようとは思っていませんが一部重なる可能性はあります。基本的にはコモンズ30に入ったら2020からは降りていこうと思っています。今の時点では最高でも2銘柄程度の重複に留めたいと考えています。
Q.5-10年先を考えるというのはどんどんずれていきますか?
A.
ずっと5年後をローリングしていきます。
Q.糸島さん自身へのリスク対策は?将来辞めてしまうことは?
A.
人間ドックも受けていますし、19時以降食事しないように健康にも気を配っています。また、運用部にもう一名上野という者がいますがポートフォリオマネージャーを兼任しています。
将来辞めるのでは?という質問にはこれまで自らお客様に背を向けて辞めたことはありませんとお答えします。
Q.コモンズ投信の方針として社員は自社のファンドを購入していますか?
A.
創業当時は全員が購入していましたが、現状は8割くらいの従業員が購入しています。仕事とプライベートは線を引く社員もいますし、その考えも尊重しています。
購入する際にはコンプライアンスを通してから購入していますが、自分でタイミングを計って購入するのはずるいと思われる場合がありますので積立するようにしています。
自分たちが出した料理は自分で食べるのがあるべき姿だと思いますが、大手運用会社では逆に買ってはいけないとう会社が多くあります。 なぜかというと買うと管理しないといけなくなるから。ヘッジファンドの場合はお客さまに信用していただくために最初からどんと入れていていました。
Q.売買回転率はどれくらいになりますか?
A.
運用がうまくいくと回転率は高くなります。株価が5年先のターゲットと考えている水準に達したら売ります。そこまで行くことがなかったら外れということで回転率は低くなります。
ストップロスの考え方としては、下がった理由が会社の価値に関係なければ保有し続けます。また、10%以上株価が動いた場合はなぜ動いたのか精査するようにしています。
Q.投資委員会のやり方に興味があります。
委員会に先だって過去やこの先の数字的な資料をつくっておいて紙ベースで議論します。5つの軸について4人で評価していきますが、一部ポイント化している項目もあります。
Q.2020では未来コンセプトはあまり意識しないのですか?また、中小型株への投資はどうなりますか?
A.
流動性を考慮しながら小型株も買っていきます。30と2020でコンセプトを同じにするつもりはありません。
未来コンセプトというのは東証33業種という枠組みでは今や会社は正しく評価できないため作ったもので、将来どういう会社が求められるのかを表しています。30との比較感を出すということでは未来コンセプトを使うことはあるかもしれません。
Q.(糸島さんに)仕事は面白いですか?
A.
学生のころからやりたかった仕事なので楽しくてしょうがないです。
Q.(糸島さんへ)なぜ優秀といえる?
A.
優秀かどうかは他人の評価なので自分では話すことはできませんが・・・。コンセンサスの逆でへそまがりな性格があり、あえて逆の意見を聞いて考えを中立化するようにしています。
長期の目線で見るからこそ短期が見える事もあります。また、好奇心が強く好奇心がなくなったら終わりだと思っています。
昭和40年不況の時から株を買って学校に行かせてもらった母の影響もあり、株で世の中に出させてもらったようなものです。アナリストになってから新聞に書いてあるのは意見であり、事実ではないと思うようになりました。
このようになんでもうがってみるところがあります。みんなと同じものを見ても感じ方が違うと違う結果に向かいます。
Q.コモンズ投信をSRI的に見ていましたが株価が低いものを買うというような目線はどうなでしょうか?
A.
例えば、よくない会社が売り込まれてそのリバウンドを取りに行くというような単純に株価が安いから買うという事はしません。
社会的存在という見えない価値観については30ファンドの方が主に担当していて、2020はもう少し見える範囲を重視するようにしています。
コモンズ投信という会社としては社会的価値を今後も訴え続けます。