12月17日(火)に「コモンズ30運用報告会」および「新ファンドのご案内」in東京が開催されました。
開催日時:2013年12月17日(火) 19:00〜21:00
場 所:AP東京八重洲通13F Bルーム
主 催:コモンズ投信
講師
コモンズ投信株式会社 代表取締役会長 渋澤健氏
代表取締役社長 伊井哲朗氏
運用部部長 糸島隆俊氏
講演のメモをシェアします。
渋澤さんからはザ・2020ビジョンのコンセプトについて話がありました。
【概要】
- 2020年の東京オリンピックを目指したファンドではなく、30年周期の破壊と繁栄の時代のトレンドを意識している
- 価値観を同じくするファンドマネージャーにとっての運用プラットフォームとしてのコモンズ投信という構想が設立当初からあった
- 30年投資に時間軸が長すぎると思った人はザ・2020ビジョンで目に見える価値を重視したファンドへ
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渋澤 健氏(コモンズ投信株式会社 会長)
■30年周期の破壊と繁栄
2020年と聞いて皆さんが一つ感じるのはオリンピックだと思います。
オリンピックが決まった時、自分はその時何歳で何をしているのか想像したと思います。そういう意味で2020年という未来がなんとなく見えてきたのではないでしょうか?
英語で2020visionというのは正常視力のことを意味していて、この眼鏡をかけると未来が見えるようになるという想いを込めました。
バブルの時代を思い出して欲しいのですが、当時の日本人は一直線に繁栄を続ける未来を思い描いたと思います。逆に今は構造的に日本の未来はダメなんじゃないかとマイナス方向に一直線の未来を思い描くと思います。しかし、実際には一直線の未来ということはなく、波を打ちながら歴史は進んでいます。
- 1960年~1990年 高度成長期で繁栄した30年
- 1930年~1960年 戦争による破壊の30年
- 1900年~1930年 1903年日露戦争で先進国に追いついた繁栄の30年
- 1870年~1900年 明治維新が起こり、これまでの常識が非常識になった30年
過去を振り返ると30年周期で破壊と繁栄を繰り返しているように見えます。もしもこの周期性が続いているのであれば、今は破壊の23年目を終えようとしている時期なのかもしれず、新しい繁栄の時代は2020年から始まるのかもしれません。
24時間で考えてみると6時~18時の時間帯が繁栄、18-6時を破壊とすると今は午前3時にあたり、とても眠い時間帯です。また、四季に置き換えて春夏が繁栄、秋冬が破壊だとすると今は2月でとても寒い時期です。ただ、夜が悪いというわけではありません。夜にはしっかり休んで体力を蓄える、冬は成長へ向けた仕込みの時間でもあるのです。
未来は一直線にやってくるものではありません。今、この時代にやることをしっかりする事が大事なのではないでしょうか。
自分の父親が生まれた1929年の人口動態を見ると若い人が多いきれいなピラミッド型でした。その後戦後になると団塊の世代が登場し、どんどん人口ピラミッドがひょうたん型になっていきました。
2020年から繁栄するはずと思っていても、この人口動態を見ているとありえないと感じてしまいます。繁栄があるとしたら2020年に向けて大きな構造変化が起こるのではないか?と思います。
人口が多くお金も持っていて選挙にも行くのはのはどの世代かと考えると今は60歳以上の人が社会の主役と言えます。でも、次の世代では主役が入れ替わるのではないでしょうか。今の時代でいうアラフォー世代が自分たちでレールを敷きますというマインドセットになると繁栄が訪れるのではないでしょうか?
■長期投資に目覚めたきっかけ
なぜ20代~30代と短期投資の金融機関にいたのに今は長期投資なのか?についてお話します。
シアトルというとアメリカ人は「ああ・・」という反応を示します。とにかく天気の悪い街で、それ以外はいいところなので人口抑制策なんだとジョークに言われるくらいです。
2001年9月11日はシアトルにいました。素晴らしい青空の日でした。そんな青空を見ながらNYのWTCビルに起きたテロを見て戦争ってこんなきれいな青空の日から始まるんだなと思い、平和って空気みたいなものだと思いましたし、意識を持って作らないと平和というものはないんだということも意識しました。
インターナショナルファウンテンに集まりましょうというラジオの呼びかけに応じて行ってみると噴水にたくさんの人が集まっていました。テロによって亡くなられた魂を偲ぶだけではなく、自分がこれからどうなるのかわからなかい人が集まっていたのです。
その姿を見て人は共感によって集まるんだなと思いました。この日集まった共感は持続性。共感によって集まってくる共有地、コモングラウンドということを意識したのです。
それから6年後、新しく運用会社を立ち上げようとした時、最終的にコモンズ投信という名前になったのは共感した人が集まるような場にしたいと思ったからです。
独立系投信というと1社1ファンドというイメージが強いと思いますがコモンズ投信では創業時から同じ志を共感するファンドマネージャーがいるのであれば運用のプラットフォームとして使って欲しいと考えていました。
■新ファンドへの想い
創業から5年たってコモンズ30ファンドの他にファンドを作るタイミングがようやく訪れたのです。新ファンドができても変わらないものがあります。それはどの時代であっても先代から次の世代にいい明日をという想いです。
今日よりよい明日をという共感資本と、進化を続ける企業へ30年投資するというのがコモンズ30ファンドです。ザ・2020ビジョンも未来のために残したいが手法ではありますが考え方がちょっと違っています。
コモンズ30の特徴
- 収益性
- 企業のDNA
- 経営力の持続
- 国際競争力
- 対話力
収益性は過去の成果を数値化した目に見える価値と言えますが、目先の収益性ははっきり見える反面、10年、30年先となると見えにくくなってしまいます。そこで、見える価値だけでなく見えない価値を重要視しようというのがコモンズ30ファンドでした。
コモンズ30は今後、見えない価値への投資を更に深めていこうとしています。
財務的価値は少人数でも判断できますが、非財務的価値はなかなか一人の判断では難しいものがあります。そこでそれぞれバックグラウンドの違うメンバーが集まる投資委員会で銘柄を最終判断しています。見えない価値に重きを置くからこそ投資委員会が必要だったのです。
それに対して2020ビジョンは糸島に全て任せましょうというのが大きな違いです。
コモンズ投信のお客さまを年代別に分類すると30代~40代のお客さまで50%、未成年のこども世代が16%と若い世代のお客さまに支えられています。こうした自分たちで見つけて自分たちで動いている素晴らしいお客様に恵まれていることを誇りに思っています。
しかし、普通の金融機関ではメインのお客さまになる50代以上の比率が少なくなっています。こうした30年先って見えないねという人には2020ビジョンのメガネをかけてみて欲しいと思います。
コモンズ30は持続的成長のありそうな会社に投資する一方で目先でよさそうな会社だけれども、その先は見えにくい会社は投資対象から弾かれていました。それを2020ファンドに組み入れてはどうかと考えています。また、2020で投資することで自信をもって30に組み込まれることもあるのではないかと思います。
新しい兄弟が誕生したので一緒に育てて欲しいと思います。