"いい投資"探検日誌 from 新所沢

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています

八王子市と神戸市でソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)が導入されます

社会的課題に対して行政が成果報酬型で民間企業へ事業を委託、民間企業は投資家から資金を調達し、成果に応じて行政から受け取る報酬を投資家に分配する・・・そんなソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)と呼ばれる仕組みが日本でも開始されることになりました。

モーニングサテライトで八王子市の事例が紹介されています。

【ワードバンク】ソーシャル・インパクト・ボンド:ニュースモーニングサテライト:テレビ東京

八王子市の事例 

八王子市では大腸がん検診の受診率が78%と国が目指す90%に届いていません。そこで、民間企業に大腸がん検診受診率向上を委託することにしました。委託された会社では対象者の過去の医療関連情報と人工知能を使ってオーダーメイドの大腸がん検診の受診案内を行います。個人の状態に即したがんへのリスクをわかりやすく知らせることで大腸がん検診の受診を促そうというものです。

八王子市の事例ではみずほ銀行が投資家として参画しているようです。

神戸市の事例

神戸市では人工透析予防に向けて三井住友銀行と一緒にSIBを開始します。民間企業が神戸市民から100名を募って食事や運動療法を無料で指導するそうで、その事業資金をSIBで調達します。

こちらは総事業費3千万円を三井住友銀行、三井住友銀行が募集する個人投資家、一般財団法人社会的投資推進財団が投資します。

SIBの今後

どちらも社会的な課題に対して民間企業が改善させるための活動をするための資金を投資家から集めています。行政はうまくいった場合に成果に応じて資金を払えばよいのでうまくいかなかった場合に無駄な税金を使わずに済むメリットがあります。

一方で投資家はうまくいった場合は社会的によい事に参画できてお金もふえるというメリットがある反面、うまくいかなかった場合は金銭的な損失を被ります。

成果に応じた金銭的なリターンを受け取るというとミュージックセキュリティーズのセキュリテの仕組みがちょっと似ています。セキュリテの場合は事業の売上の何パーセントが分配されるか事前に決まっていて投資家はうまくいった場合に(金銭的な)プラスリターン、うまくいかなかった場合にマイナスのリターンを被ります。この成果を売上ではなく社会的なインパクトに置き換えたのがソーシャル・インパクト・ボンドです。

今回の場合は大腸がん検診の受診率をあげることで大腸がんの早期発見につながり、最終的には医療費を抑制したり、糖尿病の患者へ無料で運動や食事療法を指導することで生活習慣を改善、ステージの進行や人工透析にかかる可能性を抑えることで医療費を抑制するのが目的になりますが、医療費が抑えられるというのは(比較的)健康でいられる人が増えるという事でもあります。

純粋に投資というよりもクラウドファンディングで特定のプロジェクトを応援する、ふるさと納税でお礼の品をもらいながら地域のために納税するといった延長線上でSIBへ投資する人が表れるのではないでしょうか。

一方でSIBは成果をどのように設定するかによってそもそもの意義が問われるものでもあります。行政が民間に対して成果報酬型で発注できるようにすればSIBなんて面倒な事をしなくても済むのでは?という素朴な疑問もあります。

購入型クラウドファンディングで無闇やたらと支援金を集めようとした事例があるようにSIBについても導入にあたっては意味があるのかしっかり考える必要があると思います。(行政がやるからしっかりやるだろうというのはふるさと納税の返礼品競争を見ている限り無理な相談だと思うからです)