いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

コモンズSEEDCap 最終候補者3名のお話を聞いてきました

6月14日(水)に永田町GRIDでコモンズSEEDCap最終候補者の社会起業家3名のお話を聞けるイベントが開催されました。今年で8回目を迎えるコモンズSEEDCapはコモンズ投信創業時から続いている社会起業家を支援するプログラムです。

もともとは9.11の後、渋澤健さんが始めた社会起業家向けの寄付プログラムで、銀行や証券会社、損保などから寄付を集めて社会起業家へ寄付していました。順調に規模も大きくなっていたのですがリーマンショックにより解約が相次いだことでSEEDCapは終わってしまいました。ちょうど同時期にコモンズ投信を起業したことからコモンズSEEDCapとしてリニューアルされて現在に至ります。

候補者1)熱帯雨林を保全しながら日本の森の資源を適切に利用する
一般社団法人moreTrees 水谷伸吉さん

  1. 伝えたいこと:
    世界では1秒間にサッカー場一面分の森が減っている一方で日本では森が増え続けている。日本は国土の70%が森で適切に使いながら手入れをしないといけない。日本に使わなければいけない森がたくさんある一方で違法に伐採された木材やそれから作られたコピー用紙(日本で使用している30%がインドネシア産でそのうち80%が合法か違法かグレー)などが輸入されている。インドネシアで植林もしているが、違法伐採された木材や製品を買わないように。日本の木も使ってほしい。
    持続可能なパームオイルの認証もあるが、日本では石鹸メーカーが数社調達するようになったものの使用量の80%を占める食品メーカーがまだ認証に無関心でNGOからも指摘されている。
    国内の林業では儲からないので相続してもそのままにしている人が増えている。無視された山が増えているので林業が元気になるようにしたい。
  2. 活動をはじめたきっかけ:
    大学4年生の時、スタディツアーでボルネオ島を訪れた時に丸太を満載のトレーラーとすれ違ってばかりだった。製材所を見学した時、隣に従業員の寮があり伐採をするなというのは先進国のエゴだと思った。資本主義の中でモラル以外で変えられる方法を。
  3. 欲しい支援:
    4人で活動しているので人手が足りておらず、資金の透明性をNPO会計的にしっかり表現することに苦労している。
  4. これまで活動してきて嬉しかったこと:
    インドネシアや日本の山村のおっちゃんにありがとうと言われるのは嬉しい。
    森は人類にとって切っても切れない関係。ステークホルダーである地元の人につながりがひろがって喜んでもらえるのがうれしい。
  5. 受け取る側として寄付とは:
    血液のようなもの。活動を持続可能なものにするため欠かせないもの。
    今はファンドレイジングが弱く、有給スタッフに適正な賃金を払えるようになれば一般企業に戻りますと言われることもなくなり、優秀なスタッフを引き留められるようになる。
    優秀なスタッフが組織の核となればいいパフォーマンスを出せるようになるので、そのための根っことなる血液。

   

候補者2)ホームレスの方を多面的に支援する
認定NPO法人Homedoor 川口加奈さん

  1. 伝えたいこと:
    路上生活者は怠けている、自己責任だという認識は違っている。 実は結構働いていて1日10時間働いて1000円というようなのが実情。住所も携帯も口座もないので就職できず、結果として時給のいい仕事ができないでいる。
    児童養護施設出身者が1/10、母子家庭で育った人が1/3、知的障害や精神疾患にかかっているかたも多く、世間の認識と実態は乖離している。
    夜回りをしていた時におっちゃんがそろそろ路上生活から脱出したいと言ってくれたが、翌月探したら凍死していた。それが悔しくてもう一度やりなおしたいを誰でもできる社会をつくろうとしている。
    自転車修理が得意なおっちゃん達でハブチャリを始めて、その後就労支援や生活面のサポートと活動を拡げている。なかなか不動産屋さんが貸してくれないが住宅支援もしたい。
    自己責任論が根強く企業からの支援もなかなかいただけないので一人でも多くの人に知ってもらいたい。他人事で済ますのではなく、自分事に。
  2. 活動をはじめたきっかけ:
    高校に通うようになって友人が遠回りで乗り換えをするようになった。なぜか聞いたら家族から危ないからこの経路にするようにと言われたそうなので自分も親にお願いしたら高いからダメと言われた。
    それで腹が立って釜ヶ崎には大人が隠している何かがあると思って行ってみたら炊き出しをしていたので親に黙って参加した。炊き出しのボランティアをしてみて路上生活者は自己責任、怠けているというのは違うと思った。
  3. 欲しい支援:
    大阪で活動しているので大阪以外の方には寄付をお願いしたい。 大阪の方はハブチャリに協力を。お金じゃないCSRとして軒先貢献していただける。
    空き家とホームレスをつなげたり着なくなった洋服やスーツ、靴などの寄付もありがたい。 特によく歩くので靴が人気商品。
  4. これまで活動してきて嬉しかったこと:
    おっちゃんからがんばりやと言われた。 部活動をはじめて登山に行ったが、誰かがお弁当を持ってこなかったらと思って2個弁当を持ってきたおっちゃんがいた。しんどい事があるなかでHomedoorはあってよかったのか?なくてもよかったのでは?と考えることもあるが、「あってよかったわ」というおっちゃんからの一言が嬉しい。
  5. 受け取る側として寄付とは:
    一緒に活動する仲間のような存在。支援してくだった方がホームドアを紹介してくれる時、「うちの団体はね」と言ってくれた。 一緒に運営してくれる仲間だと思っている。
    うちの団体と言ってくれる人は出してくださったお金以上の価値がある。

   

候補者3)アフリカに置き薬という形で身近な医療を展開
NPO法人AfriMedico 町井恵理さん

  1. 伝えたいこと:
    アフリカで置き薬をしても盗られるんじゃないかとよく言われるが今まで盗られたことがない。 村社会でお互いに見守る目があるので盗るまではならないのではないか。
    アフリカにはアフリカの疾病があるので置き薬の中身もアフリカ向けにしている。例えばマラリアの薬はすぐ飲んでしまうとだんだん耐性がついて効果がなくなるので本当にマラリアかテストするキットを入れた。判断して病院へ行くように促す。また、集金の時に襲われないよう携帯電話で送金してもらうようにしている。
    モンゴルでは置き薬があることで予防の方法も案内して健康をサポートするきっかけにもなっている。置き薬の効果は置くだけでなく教育効果もある。モンゴルではパオの間が50kmなどあるので往診が大変だったのが置き薬でお医者さんも楽になり、ユーザも医者を呼ばずに済むことが増えた。
    アフリカは水のあるところに人が集まるのでモンゴルとは環境が異なるが病院までの距離が遠い村も多く、置き薬が役立つのではないか。
    本当は日本の薬を置きたいがアフリカに進出している製薬会社が少なく、基本は現地の薬を置いている。アフリカは最後のフロンティアと呼ばれているが日本企業の進出はまだ積極的でない。インドや中国はどんどん進出している。
    置き薬をおいている場所はまだ50カ所。現地の声を聞きながら改善しているがまだまだ数が必要
  2. 活動をはじめたきっかけ:
    アフリカで活動していた時、日本人でしょ。お金ちょうだいと言われて断ったことがあった。日本円にして200円ほどだったが、後日聞いたら女の子が病院に行けず亡くなっていた。あの時おかねをあげていたら生きていたのかなと引っかかっていた。
    解決するための仕組みが必要で、やるからには持続可能でまわる仕組みが必要だと思った。
  3. 欲しい支援:
    メンバー26人でやっているが申請資料の作成などプロボノの方には助けていただいている。 特に英語で書ける方、助成金の申請などを出来る方は嬉しい。
  4. これまで活動してきて嬉しかったこと:
    置き薬を使っている方にありがとうと言われて欲しい言葉をくれたなと嬉しかった。 一人では何もできなかったので仲間がいて、プロボノで忙しい中で時間を割いてくださっていることにも感謝。
    仲間と一緒に活動したいと言われたのも嬉しかった。
  5. 受け取る側として寄付とは:
    お金は無機質だとおもってたが愛あるお金だと思うようになった。 クラウドファンディングをするまでお金をもらうことに抵抗あったが、クラウドファンディングしてお金と一緒に応援の声をもらい、応援の言葉から力をもらった。
    メッセージをもらうことは物質的な交換と違う「愛ある交換」ではないか。

   

感想

普通に考えると私の興味の範囲(森+坂本龍一)からいってmoreTreesという事になるのですが、AfriMedicoも以前から気になっていた団体だったという事と、ホームレスの方への支援というのも自分がいままで寄付をしていなかった分野なので応援したい気持ちもありました。今年も迷うなと思って、直に話を聞いてみようと出掛けたのですがやっぱり話を聞いても迷いますね。

Homedoorの川口さんの話はホームレスという自分にとって遠い存在だった問題を身近に感じさせるものでした。さすがに講演慣れしていますね。支援者ともいい関係性を築いていて、路上生活を抜け出したおっちゃんが一緒になって支援しているのはいいなと思いました。認定NPOという事ですし、早速寄付しました。

コモンズSEEDCapの推薦についてはもう少し悩んでから最終的に決めたいと思います。

今年は推薦理由が選択式+コメントになったので推薦しやすくなったと思います。受益者の皆さん、是非推薦してくださいね!