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"いい投資"探検日誌 from 新所沢

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています

オーガニックコットンセミナー2017レポート (2) bioRe INDIA CEO ヴィヴェクさんのお話

イベント

3月24日(金)に3×3 Lab Futureで開催されたオーガニックコットンセミナー2017に参加しました。このセミナーではIKEUCHI ORGANICがオーガニックコットンを仕入れているスイスのREMEI社のCEO HelmutさんとbioRe INDIAのCEO ヴィヴェクさんが話されました。

第二部はbioRe INDIAのCEO ヴィヴェクさんのお話でした。

GMOでない種を証明するためにモンサントがGMOであることをテストする機材を使うというのがなんともいえない面白いところです。数年前にIKEUCHI ORGANICの池内代表からインドではオーガニックコットンが遺伝子組み換えされた種子の混入により危機的な状況と聞いていましたが、bioReでは自分達で種子を作るという事で盛り返そうとしているようです。応援したいですね!

bioRe INDIA Ltd. CEO ヴィヴェクさん

bioRe Indiaについて

bioRe indiaでどういったものを作っているのか紹介したいと思います。

インドでは株式会社としてのbioReと財団としてのbioRe、2つの組織があります。私は株式会社の方で働いていますが、2001年に企業の形になりました。

1991年にこのあたりでコットンの栽培が始まっていました。だいたい4千人の農家が登録しており、2万エーカーの土地のうち7千エーカーで綿を、それ以外の土地では大豆や大麦を栽培しています。オーガニックコットンを育てるためには輪作が必要なため、綿以外も栽培しています。

bioRe indiaでは43人が働いています。それ以外に綿繰り工場で働く人たちがいます。理事会はパトリックさんを筆頭に6人で構成されています。 

企業としてのbioReはオーガニックコットンを栽培し、綿繰を得て糸を生産しています。

bioRe協会について

もう一つのbioRe、NGOのbioRe協会はオーガニック農家を支援していくのが仕事で、健康、教育、生活など様々な分野の社会的問題に対して活動しています。こちらは全ての人が農家の人達によって管理運営されていて、プレジデントも農家の人が務めています。bioRe協会ではだいたい135人が働いています。

会社という形とNGOの形で職業、2つの側面で持続可能な取り組みをしていますが、これは創始者のパトリック・ホーマンさんの考えです。

インド中部のカスラワッドというところでやっています。1991年、75人で紡績工場を始めるところから始めましたが最初は趣味的なものでした。2001年ににbioReが企業になり、2004年にNGOとしてのbioRe協会がたちあがりました。2005年にはトレーニングセンターが作られ、2016年には綿繰工場も出来ました。世界的にみてユニークで先進的なこれらを誇らしく思っており、代表として皆さんに話せることが嬉しいです。

オーガニック農法

オーガニック農法にはたくさんのメリットがありますが、その中でも種が大変重要になります。オーガニック農法を行う上で農家に利子のつかないローンを組んでもらい、そのお金で種を買ってもらっています。農家の人はわざわざ市場に行って買わなくても、私たちから提供された種を買うことができます。それだけで十分な量ではありませんが。

農業は種を蒔くところから始まりますが、慣行農業とオーガニック農業は全く違います。インドでは98%が従来型農業をしており、少ないオーガニック農法をしてる人達にきちんとした知識を伝えることが重要です。私たちは一年を通じてオーガニック農法の農家に専門のアドバイザが訪ねていって助言やトレーニングを提供しています。

知識は日々変わるダイナミックなものですので一回教えて終わりではなく、新しい知識に更新し続ける必要があります。私たちは研究にも力を入れています。

種を農家へ渡す時、オーガニックな種かどうか科学的に証明できる方法を無料で提供しています。種を植えた後もどのように育てるかの知識も必要になります。育てていく中で、正しくオーガニック農法で育ててている事を認証するシステムも必要です。そうして、ちゃんとオーガニック農法が行われていることを証明できたら私たちは市場価格よりも15%上乗せした価格で綿を買い取ります。他では絶対にこんな事をしません。

また、他にも農家の利になることとして収穫した後、市場へ綿持って行く必要はありません。私たちが受け取りに行きます。私たちは綿繰やプレスの工場も持っていて、オーガニックな綿が織られて布になります。綿繰してSA8000認証されたインドで初めてのシステムです。

bioRe協会は農家の人それぞれに参画してもらっています。200の村と協力して仕事をしていますが、各村から一人代表を決めてもらいます。それぞれの村で選ばれた代表です。200の村の代表たちがどういう風に組織を動かすか検討し、会長もそこから選出しています。bioRe協会からbioRe株式会社の理事会にも参加しています。

収穫された綿は昨年完成した綿繰工場に集められます。ジーニングユニットを通してコットンボールは綿の形になっていきます。その際、計測器で品質についても調べていますが、インドの中でも最高級の品質です。一年を通して何をしているかというと、毎シーズン新しい農家がいないか探すところから始めて種を渡し、トレーニングを行い、認証、収穫、買い取りまで一貫して行っています。農家と一緒にどんどん成長していこうとすればするほど課題が出てきます。

オーガニックコットンの課題(遺伝子組み換え)

オーガニックコットンとbioReの課題も紹介させてください。

一つはオーガニック農法は生産性が低いとインドの農家に信じ込まれています。その認識はインドの綿作り農家にすごく根強く存在し、オーガニックコットンを普及させることを難しくしています。

GMO(遺伝子組み換え)ではないコットンをいい状態でつくるのは難しく、インドで生産される綿の95%がGMOです。それにも関わらずインドで生産されるオーガニックコットンが世界一の量なんです。 いかに通常の綿が多いか!冗談のような話ですが。種を作っている工場は遺伝子組み換え種子も作っています。

綿はハイブリッド種(1世代だけの種。出来た種を植えても違う性質の作物が育つ)を使って栽培する場合が多く、収穫された種を次の年に植えることは出来ません。次の年にはまた新しい種を買う必要があります。また、オーガニックコットンに切り替えた農家は綿以外の作物と輪作をするため、他の作物も収穫することになります。彼らは綿をだけでなく他の作物を売る先も確保しなくてはいけません。

今最大の問題なのが後程話しますが害虫による影響です。

それでもオーガニック農法が従来よりも良いと証明しないといけません。その為、長期間おいてオーガニック、バイオダイナミック、慣行農業、遺伝子組み換えを比較しながら実験していくプロジェクトを行っています。そこでは2007年から長期的に同じ種、環境で育てた結果を比較しています。

これまでにオーガニック農法では年ベースで7〜15%生産量は少ないですが、かかるコストも38%くらい低い事がわかっています。38%もコストが安いと中長期的に続けていけば生産量が少ない分を差し引いてもかなりメリットがでてきます。

オーガニックはiFORMの認証に合わせて行っています。そこではGMOにどう対処するかが大きな課題になります。先ほども申しましたがインドでは95%がGMOなんです。逆にGMOでないものを研究対象にしているリサーチセンターはありません。

モンサントや他の種子会社からプロパガンダがされている中、オーガニックの種を確保することは難しいです。私たちは市場に頼るのをもうやめました。私たちは自分たちで大学と共同研究しながらGMOでない種を作っています。悲しい状況ですがオーガニック農法の中で種を作っていこうとしているのは世界的に見てここだけです。一般的にはオーガニック農法をしようとしてもGMOのサイクルでできた種を買わざるをえない状況です。

ここで嬉しい発表をしたいのですが、2017年に2種類の種をNonGMOの種として発表することになりました。研究を重ねる中で300もの種を作ってきましたが10種類が最終段階に残り、最終的にようやく2種類発表できる事になりました。

最後のステージでは農業からも工業からもちゃんとしたものだという事を検証しました。2020年までに私たちの研究と栽培が持続可能に回っていく事を目指しています。

オーガニックコットンの課題(害虫)

インドの農家では蛾の幼虫が強敵です。2005年までは一番の害虫がボールウォームでした。最近では蛾の幼虫が一番強いため、それまでの強敵であったボールウォームの存在が忘れられるくらいです。

GMOコットンはボールウォームへの耐性がありますが、一度収束した一世代前の害虫が強くなってきたのです。自然や植物に対応していくのは難しいことです。一つのことに対して対策すると自然はそれ以上に対抗してきます。自然に対抗することを考えてはいけません。

インドでは専門家たちは今後スーパーテストが出てくるんじゃないかとびくびくしてます。どんなGMOであっても害虫が新しく出てくる事には対抗できません。唯一の解決策は肥えた土地を作ることです。バイオダイナミック的にも富んだ土地を作ることはオーガニック農法をすることからのみできることです。

こういったことに対応しながら専門家の意見を聞きながら農家と一緒に生産しています。

遺伝子組み換えテスト

GMOテストは様々です。一人で全てのテストをすることはできません。本当にピュアなオーガニックコットンにするにはたくさんのテストを重ねないといけません。

まずは種の段階で確認します。これは全ての種に対してです。私たちが種を買って農家に渡す時にはその種はGMOではないと確認済として渡しています。次に農家が植えた畑に行って渡した種が育てられているかチェックします。でも、私たちが綿を買うにはこれだけではまだ条件を満たしていません。その後に科学的なDNAテストを行います。これはGMOかどうかをチェックするツールを使います。その検査でGMOでないとされたものだけを私たちは買い取ります。

チェックは3段階で行われます。

  • レベル1 種を買う段階
  • レベル2 綿を育てる段階
  • レベル3 綿が買われて綿繰工場に入ってくる前に工場の人が確認します

買ったものをトラックに乗せて工場まで運んで来るまでに意図せず混ざることがあるんです。全ての行程において透明性が確保されています。

また、REIEIはヨーロッパの第三者機関に確認を依頼しています。これはインドの中で一番厳しいチェックシステムです。

行っているテストはたくさんの種類がありますが、一つここで紹介します。GMO種子を売っているモンサントがテスト機器をつくりました。これはGMOなのかどうかを確認するためのツールですが、私たちは逆にGMOでないことをチェックしています。

bioRe財団の活動

bioRe財団について紹介します。

私個人にとってもこれは嬉しい事なんです。なぜなら私もアソシエイションの一人として働き始めたからです。最初の雇用スタッフが私でした。

bioReのNGOの方で社会的課題の解決に取り組んでいます。具体的には教育や健康、家庭の発展、環境のために仕事をしています。

この写真はリゾート地や畑に見えますがトレーニングセンターです。ここに株式会社と協会のオフィスがあります。ゲストやここに来た人に滞在してもらう場所でもあります。もし、みなさんも私たちを訪ねてくださったらこちらに泊まれます。

農家のトレーニングが重要です。私たちは一年間に4000人にトレーニングしています。オーガニック農法の仕方や認証方法について、概念や理念についても理解を深めてもらいます。

教育:

私たちは18のアニメーションスクールを運営しています。アニメーションスクールは学校がない地域で地域の人たちによって運営されている学校で、制服や教科書がすべて無料で提供されます。このスクールは面白いことに全て私たちのクライアントさんと関係があります。

例えば2007年にはパノコトレーディングさんの支援を受けて建てられた学校があります。2010年にはパノコトレーディング猪蔵さんが来てくださいました。この学校では農家さんが学校に土地を提供し、現在2人の先生と41人の生徒が学んでいます。すべての学校を合わせると11000人くらいの生徒が学んでいます。

アニメーションスクールは12歳までが対象ですが、その後の教育も受けられるように3つの学校を作りました。こちらにはスイスのコープスイス社が1300万USドルを提供して下さいました。既に一つの学校では授業が始まっており、500人の生徒が学んでいます。アニメーションスクールがある地域はとても貧しい地域なので、そこの卒業生の場合は無償で授業を受けられます。この学校はbioReコミュニティ外の生徒も入学できますが、コミュニティ外からの学生は無償ではありません。

健康:

医療用のバスがあって中は病院のようになっています。例えばレントゲンがとれたり心電図などの健康診断が受けられます。健康チェックや診療も相場の半分で受ける事ができ、2007年から累計で9万人以上が診断や治療を受けています。

カーボンニュートラル:

カーボンニュートラルについては特定の一点だけ見るのではなく全部の行程を見る必要があります。私たちはバイオガスを使ったり煙の出ないストーブを使ったりしています。

生活改善:

郊外では家の中にトイレがないことが多いので農家にトイレの作り方も伝えています。
また、女性たちのグループを作って編み物を作ったり縫製をしたりしていますが定期的にそうしたコミュニティができたりしてます。

私たちは創始者の理念にもとづいて社会的な経済を作っていきます。
少し余裕が持てると少し社会のための視点を持つ。そのサイクルが重要です。

 

【質疑応答】
Q.
NoGMOの種が完成したと聞いて楽しみにしています。これまでの種がGMOでないことは確認済ですか?

A.
これまでの種がGMOでない事は確認しています。

新しく種を生産するにあたり、種をオーガニックのまま育てるのは難しいことでした。
私たちは本当に何もないところから試行錯誤を続けてきましたが安定的に種を供給するまで8年かかります。

何世代かすべてオーガニックな環境で育て、3世代まわった時にGMOでない事を改めてチェックしました。農家の人たちと工場の人たちが両方ハッピーになるような種を作りました。

2020年までには私たちがつくった完全なNoGMOな種を提供する計画です。
また、種だけでなく土壌や育て方もNoGMOなものを目指しています。

Q.
REIMEIのオーガニックコットンは他の国でも販売していますか?
また、農家を増やしていく二人から見てマーケットが普及するスピードと消費の量についてどう考えていますか?

A.
他の国でも販売しています。中心的にはヨーロッパでアメリカでの販売はしてません。
ただ、糸を販売しているのでそれで作られた製品が売られているという間接的な販売はしています。

オーガニックを増やしていくことは難しいですが、プロジェクトが経済的に持続可能になっていくように努力しています。今、年間4000〜5000t生産していますが、害虫の影響などで2000tという時もあります。質も量もこれからゆっくり改善されるだろうと思います。

オーガニックコットンとは何なのか理解がだんだん進んできました。今のところお金を出すまでには至っていませんが、これから10年後にはオーガニックコットンにもっとお金を出すようになるのではないかと思います。

 

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