いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

よくわかる つみたてNISA 積立NISA説明会at金融庁 参加レポート(2)質疑応答編

4月7日(金)19:00より金融庁の会議室で一般投資家向けの積立NISA説明会が開催されました。90分の説明会のうち金融庁職員による説明は30分。残りの60分は質疑応答でしたが、時間を過ぎても質問が尽きない活発な会でした。

前編の制度説明編

引き続き、メモを元に質疑応答の内容を紹介します。

制度全体について

Q.

バランスファンドに投資しているが、そのファンドがいま使っている金融機関で積立NISAの対象になるのか知りたいです。対象ファンドはいつわかりますか?

A.
どのファンドかわからないので明言できませんが可能性として積立NISAの対象に選ばれる事はあります。まず運用会社が届け出をして販売会社が取り扱う必要があります。両方の条件を満たすと積立NISAで買うことができますが、それがわかるのは10月に届け出を受け付けた後になります。

Q.
コストが低くて金融機関のやる気が出ないのではないか危惧している。
それに対しての施策は?
A.
金融機関と対話して準備を促したい。ネット証券や地銀はやる気がありそうな手応えを感じている。協力してくれるのではないか。

Q.
販売手数料ゼロについて。ある販売会社ではゼロだが他の販売会社ではゼロではないという現状があるが、運用会社が指示するのかそれとも販売会社が決めるのか。

A.
販売会社で決めた販売手数料をみる。目論見書ベースではない。

Q.
定額積立について年の途中から始めた場合はどうなるのか。
残り数ヶ月だから大きな金額を指定できるのか、金額はどうやって指定するのか。

A.
現時点では決まっていないが、残り2ヶ月だから20万円ずつというわけにはいかないだろう。ただし、ボーナス月はふやせるように現行の積立契約の申し込みでやっているような事はできるようにする見込み。

Q.
分散が大事だと思うが、積立NISAは株式が中心で月に3万円は少ないと思う。

A.
実際サラリーマンで月3万円を積立するのはきつい方が多いと思う。
これだけあれば中間層の資産形成を支援する制度としては十分ではないか。

Q.
引き落とし口座にゆうちょ銀行を選べる金融機関を選んでいる。
積立NISAを広げていくには引き落としできる金融機関も広く対応して欲しい。

A.
貴重なご意見ありがとうございます。
金融機関に伝えます。

Q.
株が絶対入っていないといけないというのはやりすぎではないか。
投資においては債券も重要。債券投資をしっかり学ぶ必要があるのではないかと思う。
初心者向けという事では個人向け国債を積立できるようになるといいのでは。

A.
まず、NISAは株を買ってもらう制度。それがインチキでなんちゃって商品を売られてしまっている。まず株式投資してもらい、家計に滞留している預金を株式投資へという流れに変えたい。

Q.
家計資産における金融資産を金融庁としてはどの水準にもってきたいのか?

A.
NISAとしては25兆円を目指している。
もっと大きな話というのは正式に言っていないが、家計資産を伸ばしていくためにも諸外国並の水準には近づけたい。

Q.
利用者を増やしていきたいとのことだが、どんな人をターゲットにしているのか?

A.
預貯金を動かしていかないといけないと考えていて、NISAも元々はそういった制度だった。現時点で成人の10人に1人くらいがNISA口座を開設していてよくやったと思っているが、一方で少額から積立投資は安定した資産形成にむいているのにも関わらず積立での利用が少ない。更にいうと口座は開設したが非稼働の何もしていない人も多い。

そういった投機的な使い方をしている人に積立で資産形成して欲しいし、非稼働の人にも資産形成に利用してもらいたい。

アンケート結果を見ると資産形成は大事だと思うがやっていないという人が多い。なぜかというとまとまったお金がないという答えが7割を占めていて、少額でできる制度を用意した。また、投資は大変だと思っている人にとっても放っておいてもいい積立で簡単に投資ができる。

Q.
そもそも国としてなぜ国民が株というリスク資産を買うようにしたいのか?
個人の金融資産を増やす事を推奨しないといけないのか根本的な理由をお伺いしたい。

A.
どうしてもやりたくない人にまで強制したいわけではない。
900兆円のお金を動かさないと日本の将来がうまくいかないのではと考えている。
金利も低く、銀行の貸出も少ない中お金を生まないお金が滞ってしまっている。
日本の経済を発展させるためにも家計に眠るお金を有効活用させたい。

Q.
20年という長期間にわたって国民の資産をリスク商品に動かしたいというのは大変なこと。
インフレ目標だったり年金支給額が減るだろうと言われたり国民は危機を感じているのではないかと思う一方で国からのメッセージが聞こえてこない。

A.
実際には言っているがマスコミが扱ってくれないという部分もある。
先日も麻生大臣が話していたがなかなか取り上げられなかった。

Q.
金融庁としての積立NISAの目標数値は

A.
考えているが言いづらい。
金融庁として庁内で持っている数字はない。

Q.
取り扱い商品を制限しているがこれはネット証券や郵便局、地銀などですべて同じになるのか?初心者にとってネット証券は敷居が高い。

A.
基本的に金融機関ごとに取り扱い商品は異なるだろうと思う。
届け出のあったものをすべての金融機関が全部販売することはないだろう。
運用会社が積立NISAに届け出をする他、販売会社はどういう理念でその商品を選んだか説明することを求めている。

Q.
資金流入のスクリーニングは運用がスタートしてから1年ずつという事だと開始時期がそれぞれのファンドで異なるという事か。

A.
ファンドによってそれぞれ異なる。

Q.
告示は難しくて読めなかったがワーキング・グループの報告書と告示の内容は同じか

A.
ワーキング・グループは考え方、それを反映して決めたのが告示。

Q.
告示では財務省と金融庁の取り決めでしかないように思えたが

A.
細かい要件は告示で決めてくれという事になっている。
命令の分類の法令の一種にあたるのでこれでその他分類は決まった。
パブコメは税制については除外されている。

Q.
現行NISAとの選択制になるが今のNISAの非課税枠はどうなるのか?

A.
毎年現行NISAと積立NISAの変更可能な制度になる。
ただ、実際の運用上はどうなるかは販売会社の対応次第となる。

Q.
この制度はこれで完成ではなく随時見直していくと考えて良いのか?

A.
適時見直す。

投資教育について

Q.
投資を考えていない人にどうやって投資を促していくのか。

A.
投資を考えていない人には2種類いる。
アンケートで興味ないと答える人と、興味はあるがやってない人。
興味はあるがやっていない人に積立NISAでアプローチしたい。
興味ない人にはどうやってという話になるとわかってもらうしか道はない。
実践的な投資教育いう事で草の根運動をしていく。
積立NISAだけでなく金融機関もそうした活動を通して自分自身を変えていく必要があるのではないか。

Q.
投資教育の推進という事だが、資料が読みにくかったりなかなか一歩を踏み出せない人がたくさんいる。
そこをくみ取らないと広がらないと思うが具体的なアプローチが聞きたい。

A.
今はまだ発表できないが教材含めて検討している。
まずは金融機関に丁寧な説明をお願いして金融機関からのアプローチを考えている。
他についても検討しているがはまだ言える段階でない。

Q.
やりやすくしても株は怖いという印象があり、広がらないように感じる。
投資教育は文科省がそもそもやるべきではないか。
金融庁はそれについてどう考えるか。

A.
金融については金融庁が責任を持ってやることだと思っている。
過去のシミュレーションを見てもらってどう判断するかはあくまでも個人の考え。
無理して投資を強制させようというものではない。

指定インデックス投資信託について

Q.
SDGs(国連が策定した持続可能な開発目標)など市場全体に投資するのではなくESG投資も求められている背景があるが、指定インデックスにESGインデックスを入れることは検討にものぼらなかったのか?

A.
ESGやスマートベータについては今回は検討していないが、今後の普及具合を見て検討していくこともある。

指定インデックス以外の投資信託について

Q.
条件にあてはまらなくなった時はどうなるのか?

A.
今決めているのは入口基準だが、それでいいのかという問題はある。
アクティブで条件を満たすのは片手くらいしかないのに条件に当てはまらなくなったからといって追い出すのか?そうしたらそれまで投資してきた人はどうなるのかという問題があり、今後の検討課題。どうするかやりながら見ていく。

Q.
目論見書上は世界中に投資できるようにしているのに実際には国内にしか投資していないなどアクティブファンドで目論見書と運用実態が違う場合、国内に投資するファンドとして見るのか海外に投資するファンドという扱いなのか。

A.
有価証券取引報告書で投資の実態を見て判断する。

Q.
指定インデックス以外の条件で残るファンドの顔ぶれを見ると、(直販投信がほとんどを占めていて)それらのファンドを残すための追加要件というような恣意的な印象を持った。純資産の流入率などわざわざ5本を残すために条件を追加したのでは?

A.
そのような事はない。実際に信託報酬だけで絞り込んでもかなり数が減ってしまう。
あくまでも条件を設定してスクリーニングしたらその本数になった。

Q.
指定以外のインデックスというのは金融庁としてどう考えてるのか。

A.
今回の積立NISAは初心者にも投資をして欲しいというニッチな制度であり、その制度上ふさわしいと考えられるものを指定インデックスに選んだ。あくまでもこの制度として選択したものであり、現行NISAや課税口座で投資される分については自由だと考えている。

ETFについて

Q.
ETFを1000円から小口発注できるようにとの事だが、販売会社のシステム負担が厳しそうだ。

A.
おっしゃるとおり課題が残っている。国内ETFで条件を満たすのは10本くらい。
るいせき投資契約を扱っているのは現在3社に近々1社増える見込み。
ネット証券は今のところ対応していないので供給できるようにお願いしている。
外国籍のるいとうに至っては1件も取り扱っているところがないので今やれば独占ですよとお願いしている。

Q.
ETFに関して1000円以下という事だが、最低取引単位がそれより高いETFはどうなるのか?
A.
るいとうのように証券会社で少額で買えるような制度を導入すればできるようになる。海外ETFをるいとうで買える証券会社は現状いないので今やれば独占できると言ってお願いしている。

Q.
ETFは米ドルで買うことはできますか?

A.
円ベースで1000円から買えるようになれば海外ETFも積立NISAで買うことができる。
積立NISAは条件を満たすだけでなく運用会社が届出を出すことが必要になる。実際に海外の運用会社に対して積立NISAとして届出するようお願いするため接触している。

Q.
ETFについて条件が厳しいと感じた。
今後は運用してみて緩くする気はあるのか?そういっためどは?

A.
日本のETF市場はこのままでいいのかという想いがまずある。
海外はいいけど日本のETFには課題が多い。
日本のETF市場にも育ってもらわないといけないと考えていて、国民に支持される市場になるよう積立NISA制度とあわせてそちらもやっていく。

感想

金融庁の方がとても丁寧に制度について説明してくださり、質問にも誠実に回答いただけました。本当にありがとうございます。そして会の案内などして下さった虫取り小僧さん、ありがとうございます。

積立NISAについてこれまで預貯金しかやってこなかった人に家計資産をふやすための方策として作ったのだとしたらあまりにも過剰に投資家保護しすぎたのではないかという印象です。

指定インデックス投資信託以外の投資信託として5本くらいと話されていましたが、私が調べた限りではさわかみファンド、セゾン資産形成の達人ファンド、ひふみ投信、結い2101など直販投信が中心です。こちらのコラムを読むと積立NISAの対象はインデックスファンドだけになる・・・そんな声が漏れ聞こえていた事もあるそうですが、東証とも一緒になって長期投資、積立投資を啓蒙していた直販投信は救うけど後はいいやというような線引きにも思えました。

コストが高いとリターンのぶれ幅が大きくなると言っていますが、それをマイルドにしてくれるのが積立投資です。コストが高くても成績のいいファンドは存在していますし(悪いファンドも存在します)、どのファンドに投資するかは金融庁が選んであげるものではなくて投資家が選べばいいのではないでしょうか?積立NISAといえど20年たたずに解約できるわけですから暴落時に売っちゃう人は出てくるでしょうし、継続のしやすさという意味では課税口座での投資と変わりはありません。

確定拠出年金の世界でも起こっている選択肢が多すぎると結局選べないという事も考慮されたのだと思いますが、ここまでコスト重視でファンドを選ばれると販売会社側のシステムコストに対して1口座年間40万円という投資金額では見合わない制度だと思います。金融機関の所行にご立腹なのは私も同じ気持ちですが、金融機関も民間企業ですのでiDeCoに続いて積立NISAのような利益の出そうにない制度を乱立されても困ります。

個人型確定拠出年金はiDeCoになる前も良い制度でしたが、金融機関は取扱はしているけれども宣伝せずひっそりと飼い殺していました。積立NISAもそんな扱いになってしまうのではないかと危惧しています。

これまで預金しかしていなかった層へ投資をすることで家計資産をふやす後押しをしたい。そしてそれを日本経済の成長の後押しとしたいというのが金融庁の狙いだとしたら、給与振込口座を持つ銀行が積立NISAを自信を持って顧客に営業できる程度の自由度のある制度設計にして良かったのではないでしょうか。

アクティブファンドの世界でも低コストのファンドを作らないと資産形成層の支持を得ることができないとピクテのiTrustシリーズやブラックロックのインパクト投資ファンド、日興アセットのノーロード世界株式トップフォーカス、明治安田アセットマネジメントの明治安田日本株式ポートフォリオのような新進の低コストファンドは積立NISAの要件を満たしていません。一方で指定インデックスのファンドであればコスト水準さえ満たせば設定直後から積立NISAの対象になります。

アクティブファンド2,707本のうち、5年以上存続、存続年数の2/3以上で資金流入超過、純資産50億円以上で130本まで絞り込まれています。インデックスもアクティブも繰上償還リスクは同様にあるのに指定インデックス以外のファンドにだけこのような条件を付けるのはフェアではないと思いました。例えばインデックスファンドであってもNYダウに連動するファンドもこの条件を満たさないと積立NISAは利用出来ないですし、この条件では今後アクティブファンドが追加されることは相当難しいと思います。

実践的な金融教育の場としての意味合いが積立NISAには込められていると理解しており、制度そのものは歓迎していますが対象ファンドの絞込についてはやり過ぎだと思っています。

これが積立NISAへの個人的な感想ですが、いい面もあります。

投資家にその年に支払った信託報酬額の概要を伝える制度というのは画期的です。年間40万円しか投資しない人達にそのようなシステムを提供する苦労を考えると民間企業に勤める人間としては割に合わないと思いますが、投資家としては歓迎します。できれば積立NISAではなくトータルリターン通知制度のように投信口座全体に対して導入して欲しかった制度です。

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