いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

日本株アクティブで年0.275%の低コスト ノーロード明治安田日本株式アクティブは日本株アクティブに低コスト革命を巻き起こせるか?

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016の第一部で世界中に投資するアクティブファンドに低コスト化の兆しが見え始めているという話をしましたが、日本株アクティブにも低コスト化の兆しが見えました。

明治安田アセットマネジメントが2016年12月に運用を開始したノーロード明治安田日本株式アクティブは運用管理費用(信託報酬)がアクティブファンドにも関わらずなんと年0.275%(税抜)です。f:id:m-at:20170129234543p:plain

低コストインデックスファンドシリーズの先駆けとなったSMTインデックスシリーズのSMT TOPIXインデックス・オープンが年0.37%(税抜)でしたので一世代前のインデックスファンド以下のコストを実現しています。

それでは、ノーロード明治安田日本株式アクティブを5つのPに則って見てみましょう。

Philosophy:投資哲学

  • 明治安田日本株式ポートフォリオ・マザーファンド受益証券を通じて、TOPIX500に含まれる銘柄を中心に投資を行います。
  • リサーチを最重要視し、ファンダメンタル分析、ボトムアップ型リサーチに基づく成長株への投資が運用パフォーマンスの向上に繋がるとの考えに基づいて運用を行います。
  • アナリスト及びポートフォリオ・マネージャーによるファンダメンタル分析、企業への訪問・ヒアリング、グラスルーツリサーチをベースとして、企業の成長性、クオリティーおよびバリュエーション(企業価値評価)を重視した銘柄選定を行います。
  • 年金運用で培ったリスクコントロール手法を活用し、長期保有での資産価値の増大を目指します。

ベンチマークはTOPIXでした。わかりやすいという面はあるのでしょうが、投資対象がTOPIX500に含まれる銘柄という事もあり、配当込みで運用しているアクティブファンドとしてはTOPIX配当込みをベンチマークにして欲しかったですね。

People:人材

HPに掲載されている運用担当者等に係る事項によると国内株式運用部はポートフォリオ・マネジャーが7名、平均運用経験年数は17年という事でした。

運用責任者は国内株式運用部長で運用経験年数20年です。

会社としてフィデューシャリー・デューティー取り組み方針も出されていて、お客様サービス向上への取り組みとしてわかりやすい目論見書、ディスクローズを目指すとありますので、運用に関わる人材情報や投資哲学などもっと開示して欲しいですね。

Process:運用プロセス

交付目論見書に掲載されている運用プロセスです。スクリーニングをした後に企業訪問等を経てレーティング。モデルポートフォリオを構築の上、リバランスなどの微調整をしていく運用です。

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Portfolio:ポートフォリオ

交付目論見書に掲載されている直近のマザーファンドの上位投資銘柄です。

第16期末(2016年4月18日)現在で投資銘柄数は40。かなり銘柄数は絞り込まれている印象です。また、マザーファンドの規模は42.2億円でした。

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Performance:運用成果

マザーファンドの運用成果を調査するにあたって明治安田日本株式リサーチオープン【愛称:和太鼓】がポートフォリオの90%程度を明治安田日本株式ポートフォリオ・マザーファンドに投資しているのでそちらの第16期運用報告書(全体版)を参照しました。

直近5年の運用成績

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株式売買金額の平均組入株式時価総額に対する割合

第14期(2013/4/19〜2014/4/18):1.31
第15期(2014/4/19〜2015/4/20):1.73
第16期(2015/4/21〜2016/4/18):2.26

直近のポートフォリオの回転率は2.26と多めですね。

1万口当たりの費用明細

第15期(2014/4/19〜2015/4/20):0.221%
第16期(2015/4/21〜2016/4/18):0.356%

マザーファンドでの費用明細に売買委託手数料の費用が掲載されていました。回転率が高いファンドなので売買委託手数料もそれなりの水準です。

実際のファンドの場合は信託報酬の他にこうした売買委託手数料、監査費用などが実質コストとしてプラスされます。その他費用を含めた実質コストは年0.5〜0.6%程度になりそうですが、それでもこれまでとは違うコスト水準なのは間違いありません。

ただ、TOPIXに配当分を上乗せしてファンドの信託報酬分を差し引いたとしても十分にベンチマークに対して超過収益を残しているように思います。

総評

アクティブファンドにおけるコストは競馬の斤量に相当するもので低ければ有利ではあるものの、それだけでいいという単純なものではありません。ベンチマークが設定されている場合はしっかりベンチマークを超過するパフォーマンスを出す事が求められます。

このファンドのマザーファンドは設定から既に17年目に入っており、過去の成績を見てもしっかり結果を残しているように思います。明治安田アセットマネジメントは楽天525でもそうですが、低コストなファンドであってもアクティブファンドでそれをしっかり出してきた運用会社です。

今回のファンドも長期投資に向いた低コストファンドが求められているという時代の要請に反応したものなのではないかと思いました。信託期限も無期限で設定日にシードマネーと見られる3億円を入れていたり、時間をかけて育てていこうという気持ちが伺えます。

一方で投資家向けの情報開示という面においてはまだまだと言ったところです。せっかくの良ファンドをこのまま眠らせてしまうのか、しっかり陽の当たる存在にできるかはこれからの情報開示次第と言えるのではないでしょうか。

今回、日本国内資産とバランスファンドでノーロードファンドシリーズを立ち上げましたが、まだ海外株式へ投資するファンドは設定されていません。マザーファンドはあるのですから、是非ともノーロードファンドシリーズでリリースして欲しいと思います。

 

販売会社:SBI証券、楽天証券 (2017年1月30日現在)