いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

社会をよくするソーシャルインパクト経営についてパタゴニア、マザーハウス、鎌倉投信に学びました

NPO法人いい会社をふやしましょうのソーシャルインパクト経営を考えるセミナーに参加しました。講師はソーシャルインパクト経営をまさに実践しているパタゴニアの辻井さんとマザーハウスの山崎さん。パネルディスカッションでは鎌倉投信の新井さんがファシリテーターでした。

パタゴニアが考えるソーシャルインパクトと実践例(辻井隆行さん)

パタゴニアの辻井さんからソーシャルインパクト経営とは組織として社会に存在価値を出すこととお話がありました。世の中に溢れる製品には機能やスペックは調べられるけれどもこだわりを調べようとすると厚いカーテンの向こう側に隠されています。

パタゴニアでは環境負荷を下げた製品づくりに取り組んでいるが、それは死んだ地球ではパタゴニアのビジネスが成り立たないから。ミッションがしっかりしているから製品づくりにも迷いがなく、ソーシャルなインパクトを生み出しながらビジネスを続けていけるのだと思いました。

長崎県川棚町の石木ダム建設反対運動についても述べられ、人口が減り続ける佐世保市のために小川のような石木川に本当にダムは必要なのか?今も日本各地でダム建設計画が進んでいて、これは佐世保だけの問題ではないので皆さんにも賛成か反対か考えてみて欲しいと話がありました。

石木ダムの建設に反対しているそこに住んでいる人達は本当に普通の人達。そんな人達の素の生活している姿をおさめたという映画『ほたるの川のまもりびと』の山田英二監督もいらしていました。

ダム建設反対というと過激な人達が声を高らかに活動しているというイメージがありますが、ふるさとを守りたいという純粋な気持ちで活動されている方達のようです。私もA-Portで映画制作費のクラウドファンディングに支援することにしました。

マザーハウスの思いと行動(山崎大祐さん)

マザーハウスは社長の山口さんの思いから誕生しました。大学で開発援助に興味を持ち米州開発銀行のインターンとして働きますが、現場を知らないことに違和感を感じて当時世界債貧困といわれていたバングラデシュへ。現場を知るために現地の大学院に通いますが日本人だから助けて当たり前という周りからの目に違和感を感じたそうです。

そこでビジネスを見てみたところ、いいものづくりが出来る技術を持っていることに気づき、バッグづくりを始めました。その後ネパールでストールを作ったり、インドネシアのジョグジャカルタで伝統工芸を生かしたジュエリーも販売するようになりました。

日本の従業員はストーリーテラーと位置づけていますが、生活不安を抱えながらみんなの事を考えることが出来ないだろうと小売業の平均よりも高い給与を払っています。このあたりがNPOのフェアトレード商品販売との違いかなと思います。

途上国から世界に通用するものづくりをミッションにしているマザーハウスですが、日本の社員も良い意味で自己犠牲的我慢をしていないという点はソーシャルインパクトを持続的に生み出すためには必要なことだと思います。

パネルディスカッション:社会をよくするビジネスのつくり方

パネルディスカッションでは顔の見える関係性という事で目の前にソーシャルがあり、それを大事に取り組んでいる様子が語られました。

パタゴニアでは毎年売上の1%を寄付する1% for Planetという仕組みがありますが、これは地球から資源を借りて製品に変えているのだから地球に対する税金だという創業者の想いから始まったそうです。

支援先について過去に失敗もあったものの、環境問題についてはやって失敗してマイナスかもしれないリスクを考えてもやった方がいいだろうという言葉が印象的でした。

マザーハウスの山崎さんは異文化交流と言われるけれども「異文化を理解できないことを理解することが重要」と話していました。現地の代表のモインさんはこちらが話したことをしっかりと意訳してくれる。そのまま通訳されたのではうまくいかなかったと思うという話は最近の自分の身の回りを考えても納得です。

グローバルな大企業で生産は委託しているパタゴニア、まだ規模は小さいけれども自社生産しているマザーハウス。社会的インパクトをビジネスの中で生み出しながらもアプローチは異なります。その違いを辻井さん、山崎さんのお話を聞きながら考えるのもよい刺激になりました。

最後に新井さんがヤマトHDの木川会長から「為さざるは罪だ」と言われたと話していました。出来る力を持っているのにやらないのは罪という言葉はぐさっと刺さりますね。私も出来ることを一歩ずつ、やっていきます。 

 

社会をよくするビジネスのつくり方 〜ソーシャルインパクト経営を考える〜

日時:2016年9月17日(土) 17:00〜20:00
場所:3×3 Lab Future
主催:NPO法人いい会社をふやしましょう
講師:辻井隆行さん パタゴニア 日本支社長
   山崎大祐さん マザーハウス 取締役副社長
ファシリテーター:
   新井和宏さん 鎌倉投信 投資責任者