"いい投資"探検日誌 from 新所沢

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社会を意識した投資が必要なのはなぜか? Part 2/本日のスープ73皿目

2014年2月に始まった『本日のスープ 〜株式投資をめぐる三重奏〜』。73皿目はrennyさんからの寄稿です。


社会を意識した投資が必要なのはなぜか?

前回、損益計算書を見れば「社会を意識した投資が必要だ」と まろさん が力説してくださいました。
損益計算書と来れば、貸借対照表です。
貸借対照表を見ても「社会を意識した投資が必要だ」ということになるのか、考えてみたいと思います。

BalanceSheet_picture

当然見るべきは、貸借対照表の右側、どのように資本を調達しているか、ということ。

まず「資本」から見てみましょう。

資本を提供しているのは株主です。その株主が経営者を選び、企業活動を委嘱する、これが株式会社の基本的構造です。どんな経営者を選ぶのか、それは株主の仕事ではあります。しかし、今、多くの上場会社では株式の保有者が広く分散してしまっていて、次の経営者選びを行っているのは実質的に今の経営者であり、株主がその選択を株主総会で追認する、それが主流になっているのが実状かと思います。企業価値の創造を担うのは経営者です。その経営者を選ぶのが経営者という現状にあっても、その選択の場で株主がどんな考えを持っているのか、というのは考慮されているものと想像します。

四半期決算の行方を必死で追いかけていたり、内部留保を還元せよと声高に叫ぶばかりだったり、という短期志向の株主、その会社が上場しているからというだけで株を保有している株主、こうした株主が大勢を占めている、そう今の経営者が認識していれば、その意に沿うような人物を次の経営者に選ぶことでしょう。果たして、そこに、その企業の社会的存在意義、責任を認め、その責任を果たし続けることを求める株主が一定数いることを、経営者が認めた場合はどうでしょうか。次の経営者を選ぶ際に、どれだけ考慮されるか、わかりません。しかし、そうした考えの株主が多いな、と感じれば感ずるほどに経営者選びは違ってくるものと私は考えています。甘い!青い!と言われるかもしれませんが。

続いて「負債」

投資には関係ないでしょ?!

ノンノン、関係あるんですよ、これが。

鎌倉投信が運用している投資信託、【結い 2101】。この投資信託の組入れ資産には債券が含まれています。これは間違いなく「投資」です。債券の発行体は、未上場のベンチャー企業です。社会の課題を企業活動を通じて解決しようとしているベンチャー企業です。これらのベンチャー企業に債券で投資する理由は何でしょうか。

ここからは私の想像です。

債券であれば発行体は期限が到来すれば債務を返済しなければなりません。期限が到来しなくても何か債務不履行や契約違反があれば債権者は返済を要求することができます。これがベンチャー企業の持続的な成長、独り立ちに寄与しているのではないか、ということです。こうした企業に株式で投資してしまうと、いくら契約を結んだところで、基本的に、お金は片道切符なのです。しかし、債券であれば往復切符にできる可能性が高まります。企業が成長、独り立ちしていくには、前回、まろさんがご指摘の通り、社会から必要とされて利益を生まなければなりません。それができて初めて、借りたお金を返すことができるようになるのです。したがって、「負債」という視点でも、社会を意識した投資が求められているように私は感じています。いわゆるマイクロファイナンスの分野では「片道切符」ではなく「往復切符」なファイナンスがもっともっと求められていますが、真面目にやれば非常に手間暇の掛かる仕事だと思います。真面目に向き合って、信頼を積み重ねる、この分野の金融業のプレイヤーが増えて欲しいなあ、とも考えています。

以上、貸借対照表から見ても、社会を意識した投資が益々必要だと私は感じています。


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